毎週日曜、夜9時からお送りしている
【ラジオシアター~文学の扉】
今週はゲストに野島直人さんをお迎えしてフローベールの『ボヴァリー夫人』前篇をお届けしました。

野島さんは韓国でもご活躍。
韓国ミュージカル特有の1人で何役も担うキャスト、マルチマンとしてよく舞台に立つそうです。
多いときは1人で22役も!
というわけで今回は中嶋さんが1役、ゲストの野島さんに3役という、この番組では珍しい形でラジオドラマをお届けしました。
中嶋さん演じるエンマのモノローグは、いつも満たされない心の声が素直に漏れていて、ひどい言われようの夫に同情してしまいそうなほどでした。
その夫シャルルを演じた野島さんは、この役がしっくり来ていたようです。
野島さんの人の良さがマッチしたという印象でした。
「エンマに寄り添うように」とディレクションがあった語り役を男性である野島さんが担当しましたが、不思議と良いバランスでした。
押し付けがましくないというか、かえってドラマの聴き手がエンマの気持ちに寄り添えるようになった気もします。
一見、手に負えない困った女性に感じられるエンマですが、欲求とは裏腹な言動をしてしまう姿を見ると共感します。
理想と現実の違いに不満を抱くことは誰にでもあるし、理想を目指して自ら道を修正していくことは難しいことです。
後篇では、野島さんの演じる役がさらに増え、様々な男性がエンマの人生を動かしていきます。
来週もお楽しみに!
by田上真里奈