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紫舟さん「ヴェネチアの拍手が、書を立体で表現するきっかけに」

コシノジュンコ MASACA

TBSラジオで日曜17時から放送中の『コシノジュンコ MASACA』
コシノジュンコが今、気になる人をお招きしお話を伺います。
2015年8月9日(日)、16日(日)は、紫舟さんをお招きしました。

ヴェネチアの拍手が、書を立体で表現するきっかけに

ゲスト:紫舟さん part1

出水:紫舟さんは2001年に書家としてデビュー。NHK「龍馬伝」「美の壺」、伊勢神宮「祝御遷宮」、内閣官房・農水省「JAPAN」など、日本の伝統的な書をアートとして国内外に発信され高く評価されていらっしゃいます。昨年は、フランス国民美術協会から日本代表アーティストに選出され、ルーブル美術館 Carrousel Du Louvreでの展示作品が「SNBA金賞」および最高賞となる「審査員賞金賞」を受賞されていらっしゃいます。そしてなにより美しいですね。

JK:テレビじゃなくてごめんなさい(笑)
こういうカワイイ方が、ものすごくダイナミックで「どうだ!」って書くのよね。

紫舟:ミラノでも3mくらいの大きな書を書いて来ました。

出水:そうですねミラノ万博のジャパンデーでも書いていらして・・・

JK:そういうときってね、筆の大きなのって重いじゃない?トレーニングとかするんですか?

紫舟:一応体力は落ちないように、軽くトレーニングは継続しています。

JK:そうですよね。。。紫舟さんの展覧会、何度か見ているんだけど、やっぱりね、書が飛び出てきたっていう感じがする。平面じゃなくて立体で。

出水:立体化されて、しかも光をあてて影をも見せていくような作品を作っていらっしゃいますよね。平面ではなくて立体化しようと思ったのは、どういったことがきっかけだったんですか?


(作品「∞無限大」)

紫舟:そもそもは10年くらい前に、ヴェネチアビエンナーレの審査員枠という形で展示したことがあったんですけど、それは紙に書いた書で、沢山拍手をもらいながら、拍手って不思議ですけど、見た人の気持ちが、拍手を通じて受け取った人にわかるんですよね。その拍手を訊いた時に「文化の域を越えられなかったなあ」と。

JK:どうして?

紫舟:その拍手の中で感じ取ったのは、極東のアジアに黒い墨を使って文字を書く文化があるんだなあ、という粋を越えられなかった。音楽とか芸術っていうのは、もっと簡単に国境を越えることができると思うんですね。
私が使っているのは日本語で、文化であって、そこに越えられない、通用していない壁を感じて。そこからですね、日本語ですとか、この国の文化を知らない人にも伝わる表現はないかと模索していたところ、文字が、紙とか、伝統から解放されて、立体になっていきました。

JK:立体っていう方法は、凄く珍しいですけれども、紙に書くっていうこと以外に、したことありますか?

紫舟:紙に書く以外に、、、、水に書くとか、ありますね。

出水:水?にじんじゃいますよね?

紫舟:水に書いていくと、どうなるんだろうとか・・・

JK:それ、すぐ写真撮らなくちゃね。

紫舟:そうですね、動画でとらえてみたりとか。磁性流体っていう、産業で使われている液体を使って書いてみたいとか、アトリエで実験しています。

JK:それ面白い。

出水:そういった実験を、拍手で文化の壁を越えられないと感じてから模索されたということですか?

紫舟:そうですね。ちゃんと通用する。海外で実績を積んだ、ではなくて、作品が通用する作家になりたいな、と。

JK:書ってルーツは中国じゃないですか。中国っていろんなタイプの書がありますよね。紫舟さんは、どんなタイプの書ですか?

紫舟:私ですか・・・?

出水:先生、チャレンジングな質問ですね。

紫舟:新しい時代ですかね。新しい時代の扉を・・・

JK:デジタルに通用するような?

紫舟:そうですね。扉を開けた先にある作品で、まだ誰も観たことが無いようなものを作りたいと、いつも思っています。

JK:書を通じてね。でもそれは不可能じゃないわね。面白い。紫舟さんならできると思う。ひとつの形にはまらないで、開拓しようという気持ちがあるもの。

出水:最初の立体の作品は「さみしい」というものだと聞いているのですが、なぜ。

紫舟:何も考えずに書を書いていると、私が感じている気持ちよりも、もっと奥の潜在意識みたいなところの感情がでてくるんですね。おそらくこの時は、東京に来て、本当に自分では楽しいと思っていて、刺激的だと思っているけど、心の底では寂しかったと思うんですね。

JK:感情ですね。

紫舟:感情ですね。はい。それで、紙に書いた書を紙から解放して、立体にして、そこに光をあてて、その鉄でつくられた寂しいという字を、より深くて大きな影が覆いかぶさるような作品表現にしました。

JK:本当は、影を作りたかったんですか?

紫舟:そうですね。影が主体です。さすが。

JK:「影を慕いて」って、あるじゃないですか、、、

紫舟:?

出水:?

JK:ちょっとダメか・・・(笑)
(※影を慕いて:1932年藤山一郎のヒット曲 作詞作曲古賀政男)

JK:でも私も影が凄く好きで、影って形がないのに在るじゃないですか。形がそこに描いてあるんじゃなくて、偶然にできた、光りから。光がないと影は無いですものね。

紫舟:まさにそうで。不思議なんですけど、こうやって手に触れられる距離にある人でも、みんな笑顔だし。その人の心の深い部分は悟ることも分かることもないんですけれども、影のような曖昧なものにこそ、よりその人らしさを感じたりとか、リアリティを感じたりとか、感情移入しやすいというのは、おそらく日本人だけじゃない、世界に共通しているものなのではないかと思いますね。

=オンエア楽曲=
M1. You Can’t Hurry Love / Diana Ross & The Supremes
M2. Stuck In The Middle With You / Stealers Wheel

MASACA!書は好きではなかった・・・

ゲスト:紫舟さん part2

JK:紫舟さんは6歳から書を始めているんでしょ。

紫舟:はい。

JK:きっかけは何ですか?大人っぽいはね。書を6歳でって。

紫舟:当時は、日本の家族の中で祖母は強い地位を占めていたと思うんですね。ウチもそうで。祖母が自分の孫全員に、日本舞踊とお習字の稽古はさせるという「ルール」でして。

JK:ええっ!?

紫舟:そして私も両方スタートさせて、というのがきっかけですね。

JK:それから好きになった?

紫舟:好きだと思ったことは、多分一度もないですね。

JK:そうなんですか!意外ですね。

紫舟:はい。

JK:やりなさいって言われるとね。

紫舟:そうですね。そう言った意味では自発的ではなかったので、好きではなかったんですけど、幼稚園の頃からスタートしていたので、先生がとっても熱心で、人より早く上達できたので、そう言った意味では、自分を支える、子供ながらの自信になっていたので、そういった自分を支える礎なるものを手放すのは、子供ながらにも違うと思い、いつもいつも辞めたいと思いながら辞めずに、高校に入っても続けていました。

出水:小さい頃は、書ではなく、絵描きになりたいなんていうお話もありましたけど・・・

JK:絵も上手よね。

紫舟:ありがとうございます(照笑)絵が大好きで、絵描きになりたかったんですけど、高校生のときに先生に相談したところ、「絵描きになったら食っていけないと」

JK:おんなじだわ!!!!

紫舟:絵描きは美大とか芸大に行くためには予備校に通わなくてはいけなくて、凄い大変なんだって言われて。長い間ずっと絵描きになりたかったんだけど、たったその一言で簡単にあきらめてしまった自分に、いまでもずっと悔んでいて。

JK:その経験とか、コンプレックスって力になるでしょ。

紫舟:その悔いがあるので、もう二度とあんな想いはしたくないと思っていて、いまではできるだけ悔いが残らないような選択をしたりとか、その時諦めてしまったので、いまでも絵をずっとかいています。

JK:あ~、活力になっているんだ。同じような生き方だと思う。子供の頃、いまに至るまでね。まず画家を志願してて、結果的にそうじゃない方向に私もファッションだけど、、、その想いがずっとあるでしょ。だから私も最近、絵を描いているし。だから、その想いが今頃、後から出てくるのよ。

紫舟:ね。あの頃やりきれなかったものって、後から出てきますね。

JK:でね。画家って死んでから有名になるでしょ。大抵みんな貧乏画家じゃないですか。よかったですね、書で。

出水:(笑)歴史上。

紫舟:(笑)そうかもしれません。

JK:でもね。書っていうけど、、それこそ俵屋宗達の絵の上に、本阿弥光悦が字を書いてっていう、あのコラボレーションは、この前もやっていらしたけど、どうですか?誰かの絵じゃなくて自分の絵ですよね。

紫舟:あのコラボレーションは、ひとりコラボで、絵の中に書が書かれていて、その書は意味を重視するのではなくて、絵を鑑賞するためのガイド的な役割だとか、絵をよりよく見せるための絵の柄の一部だとか、造形としての書の書き方というのを、いま取り組んでいるところです。

JK:どっちが主役というのではなくて。

紫舟:そうですね。ふたつでひとつ。

JK:絵を見せるための書?書を見せるための絵?

紫舟:どちらかというとマンガのような感覚で。マンガは絵もあって文章もあって成立するというか、そう言った間隔ですね。そう言ったところに到達したいと思い、取り組んでいるところですね。

JK:面白い!それ凄く日本的。

紫舟:そうですね。日本的だと思います。西洋では、絵の中に物語が書かれていたりとか、文章が書かれていたりすることは無いんですけど、日本とか、一部東洋では、絵の中に筆で物語が書かれていて。そう言った言い出は、美術と文学が非常に密接で、だからこそ世界でCOOL JAPANと呼ばれるようなマンガやアニメが発達したんじゃないかと思うんです。

JK:だから、マンガって言葉がすごく単純だけど、すごく長い長い歴史があった上で、あのような感性の人たちがいたんですよね。若冲とか何とか、マンガですよね。一種のね。

出水:紫舟さんは現在開催中のミラノ万博で日本館のサポーター、そして展示クリエイターも務めていらっしゃいますよね。日本館に入ってすぐのところに紫舟さんの作品が展示してあると伺ったんですけど。

紫舟:はい、ジュンコ先生の樽を越えた、エントランスを入った一番最初の空間に、映像作品と絵画とガラスと鉄の彫刻も飾っています。そこでは、書だけで構成されている映像なんですけれども、自然と調和していた私たちが、或る日、人が傲慢になって自然を壊してしまい、そして再び自然を取り戻すというストーリーを、書だけで、書のアニメーションで構成しているんですけれども、文楽の声ですとか、鼓の音とかが入り。本来ならば日本語なので世界の人たちが理解できない可能性もあるんですけれども、観に行ったときにですね、映像を観終わった人たちが拍手をしてくれていて。そう言った意味では、先週お伝えした越えられなかった文化の壁とか、言語の壁というのを、少し超えられた感じがしました。


(ミラノ万博日本館展示)

=オンエア楽曲=
1.FUNK FUJIYAMA / 米米クラブ
2.I WANT YOU BACK / The Jackson 5

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