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宇多丸、人気SF最新作『ザ・プレデター』を語る!【映画評書き起こし 2018.9.14放送】

アフター6ジャンクション

宇多丸:

ここからは週刊映画時評ムービーウォッチメン。このコーナーでは前の週にランダムに決まった課題映画を私、宇多丸が自腹で映画館にて鑑賞し、その感想を約20分間に渡って語り下ろすという映画評論コーナーです。今夜はこの作品。『ザ・プレデター』

(曲が流れる)

ねえ、このプレデターのテーマ曲。元はアラン・シルヴェストリが書いたこのテーマ曲を聞くだけでね、ニヤリとしてしまいます。獲物を求めて宇宙を翔け巡る戦闘種族プレデターと人類の戦いを描く、SFアクションシリーズ最新作。1人の少年がプレデターを呼び寄せる装置を作動させてしまったことから、再び地球が戦場と化していく。出演は『LOGAN/ローガン』のボイド・ホルブルック。『ルーム』『ワンダー 君は太陽』の天才子役ジェイコブ・トレンブレイなどでございます。監督はアーノルド・シュワルツェネッガー主演の第一作でプレデターに殺される兵士を演じたシェーン・ブラック、ということです。

ということで、この『ザ・プレデター』をもう見たよというリスナーのみなさま、<ウォッチメン>のからの監視報告(感想)をメールなどでいただいております。ありがとうございます。メールの量は、「普通」。あら、まあ。賛否の比率は賛(褒め)が6割、否定的意見が4割。主な褒める意見は「残虐。野蛮で最高!」「こんなプレデターが見たかった。冒頭から死体の山を築いていくプレデターの勇姿にガッツポーズ」「人間側のメインキャラクターたち、ルーニーズ(はみ出し者チーム)最高! 軍人くずれのボンクラたちが見せる男気に涙」「『アイアンマン3』『ナイスガイズ!』に続きシェーン・ブラックの賢い子供の使い方が光る」「アクションの派手さと挟み込まれるブラックジョークのバランスが見事」「脚本に言いたいことがないわけではないが、見ている時は楽しめたのでOK」といったご意見。

否定的な意見としては「ジャンル映画にしても脚本が雑すぎる」「プレデターが姿を見せすぎ。プレデターらしさが薄くなっていて残念」「プレデターが何者なのか、余計わからなくなった」「人があまりにも軽く死にすぎて気分が悪くなった」。これは本当にシェーン・ブラックの資質の問題ですね(笑)。ということで、代表的なところをご紹介いたしましょう。

■「1987年のオリジナル版『プレデター』を愛を持って継承」(byリスナー)

ラジオネーム「ふんどし茹で太郎」さんのメール。「見た感想としては『ルーニーズ最高! プレデター最高!』な楽しい作品でした。今作を見た多くの人が魅力として挙げるであろう、軍人崩れの個性的ボンクラ野郎たち、ルーニーズ。彼らのホモソーシャルで男くさくてバカバカしい言動、悪ノリにニヤニヤとさせられ、そんな彼らの男の友情の描写に涙。87年の『プレデター』はダッチ率いる部隊の個性的なメンツの言動の楽しさが作品のカルト的な人気につながったと思いますが、その部隊の一味の1人でもあったシェーン・ブラックは意図的に今作の『プレデター』でその87年『プレデター』の要素を引き継ぎ、愛をこめて提示してるように思います」という。現場でも役者さんたちみんなが仲良かった、みたいな話も書いております。

「……また今作のプレデターは実際にそこにあって映っているものとCGで表現されているものの組み合わせのバランスが絶妙でした」とかね、いろいろと書いていただいております。すいませんね、ちょっと先を急ぎたいんで。申し訳ない。ちょっと省略しますけども。「プレデターのアクションシーンも概ね最高で、特に冒頭の登場シーンからのタイトルクレジットまでのところはすごくアガりました。あのシーンで『これはいい映画だ!』と確信」ということでございます。

一方、ダメだったという方。この方、お名前はないのか。「『ザ・プレデター』、つまらないを通り越して不機嫌になってしまうような作品でした。20年ぶりに一作目を見直してあまりにも面白かったこと。本作の監督は『ナイスガイズ!』や『アイアンマン3』を手がけ、『プレデター』シリーズの一作目にも出演していたシェーン・ブラックであるということから期待値をものすごく上げて見に行きました。しかし、出来はどうだったかというと、シェーン・ブラックのシェーン・ブラックによるシェーン・ブラックのための映画。自己愛がダダ漏れの映画になっていました。

本作の問題は一作目の全体的なイズムを継承するよりも、監督自身が演じた役柄のイズムを極端に拡大した挙句、上手くまとめられなかったことだと思います」。あの下ネタキャラですかね。「……監督は1本目でコメディーリリーフ的なひたすら下ネタを言う軍人を演じていましたが、本作のキャラクターの多くはシェーン・ブラックが演じたキャラクターの分身です。仲間が1人ずつ倒れていく中で、シュワルツェネッガーが最後は一対一でプレデターと戦う1本目のイズムは『人間ナメんな!』だったと思います。それに対して今回ははぐれ者チームの『ダメ人間ナメんな!』だと思います。骨太なSFホラーをブロマンス仕立てにすること自体がかならずしも悪いわけではありません。

ただ、監督が得意とするような外した演出がしつこすぎるし、登場人物に対する愛情が足りなかったことが問題です。たとえば仲間の死に方。人間側のいちばんの悪役がどのように死んだかもわからない……」。これ、描いているんだけども、たしかにわかりづらい。「……仲間の中には見せ場を作ることもなく、極めてグロテスクな死に方をする者もいます。映画の最後の方で死んだ仲間を弔うシーンがありますが、とってつけたような感じがしました」。まあ、これもたしかに否めないね(笑)。ということでございます。ありがとうございました。

■誇り高き戦闘種族「プレデター」を主役に据えた人気シリーズ

といったあたりで『ザ・プレデター』、私もバルト9で字幕2Dを2回、見てまいりました。本当はIMAX3Dでも見たかったんですが、そういういろんなバージョンで見るということがしづらくなったというのは、ちょっとこの番組を始めて辛いあたりですね。で、プレデターというクリーチャーが出てくる作品全般について詳しく話してる時間は、当然ここではないので……『映画秘宝』10月号を見てください。これ以上ないほど突っ込んだ特集です。素晴らしいと思います。

ただ、プレデターをよく知らないっていうビギナーの方に、超ざっくりと説明をしておくなら……動物的なモンスターではなくて、実は誇り高きハンターたち、そういう種族。ちゃんと文明化されていて、独自の倫理や文化も強固にあって、人間とコミュニケートもしようと思えばできるし、場合によっては共闘関係的になることもある、という。つまり、割とストレートに「かっこいい」キャラでもあるクリーチャー。そういう要素が、作品を重ねるごとに積み重なっていった、設定が積み重なっていった、という。そこに魅力や面白さもある、という感じですね。

で、プレデター一作目、1987年の『プレデター』は、当時絶好調だったアーノルド・シュワルツェネッガー主演映画としての側面が、まずいちばんのメインでもあって。彼主演の、要は『コマンドー』……彼の代表作『コマンドー』の、今度は「小隊物」というか、はみ出し者チームの小隊物、チーム物という面白さ、魅力が、まず大きかったわけですね。シュワルツェネッガー演じるダッチという主人公を中心に、いずれ劣らぬ曲者揃いの戦場の猛者たちが、荒っぽいジョークをぶつけあいながら戦地の潜入をしていく、という。

まあ、戦争映画内で確立された一ジャンルですよね。『特攻大作戦』『戦略大作戦』など、枚挙にいとまがないですが……元は西部劇、それこそさらに元をたどれば『七人の侍』、とかがありますけども。で、実際(『プレデター』の)前半部分では、彼らがその敵のアジトを、余裕のチームプレイで全滅させるところっていうのを、いかにも80年代アクション的な雑さ、ゆるさ込みで見せていくという場面があって……これがどう撮られたのか?っていうあたりは、てらさわホークさんの素晴らしい本、『シュワルツェネッガー主義』に詳しいので、ぜひ読んでいただきたいんですけども。

■途中でジャンルがシフトしていくのが『プレデター』シリーズの特徴

とにかく今回の『ザ・プレデター』。ご覧になった方はお分かりの通り、メールでも指摘されていた方は多いですが、今回の主人公クイン・マッケナという人が行動を共にする、はみ出し者チーム……「ルーニーズ」と自分たちをちょっと自虐的に言っていますけども、まさしく一作目のこの「小隊物」テイストの復活、というのを目指している。これは間違いないわけですね。まあ、ロバート・ロドリゲスの、2010年の『プレデターズ』という作品も、軍人というかチームなんだけど、あれはどっちかっていうとバトルロワイヤル物っていう感じなんで……こんな感じで、「既存のジャンル映画の枠組み+プレデター」っていうのが、『プレデター』シリーズそれぞれの成り立ちだったりするんですけどね。

で、一作目に関して言うと、そんな最強のマッチョ集団が、当初の敵軍とはまた異なる、第3の謎の存在に、1人また1人と狩られていく……つまり、最初は戦争物の一サブジャンルとしての小隊物なんだと思って見ていたら、それがいつの間にかスラッシャーホラーへと、ジャンルがシフトしていくという。これが一作目の醍醐味の部分だった。ちなみに、さっきから言っているように、そこで最初の犠牲者になるのが、今回の監督であるシェーン・ブラック、っていうことですね。で、まあそんな感じで一作目の『プレデター』は、その小隊物からスラッシャー物へとジャンルがシフトしていく、ちょっと変わった映画でもあるわけです。

で、しかもそのスラッシャー映画で言う「ファイナルガール」、最後にだいたい女の子が生き残るんだけど、『プレデター』一作目におけるファイナルガールは、シュワルツェネッガー!っていうね(笑)。で、最終的にはやっぱり、まごうことなきシュワルツェネッガー映画になっていくという。本当に唯一無二の傑作、という感じだと思いますね。まあシリーズの中でも、一作目は別格の面白さだと思いますね。で、そこからクリーチャー、キャラクターとしてのプレデターにスポットが当たって、さっき言ったような設定がどんどんどんどん重なっていくのは、1990年の『プレデター2』以降、ということになっていくと思いますが。だからね、一作目と今回のを見比べて「ダメだ!」って言う人は、『エイリアンVSプレデター』とかいろいろと間にあるんで(笑)、いろいろ見比べるとその基準も変わってくると思うんですけど。

■雑というより「乱暴」な話運びだった、あの時代のアメリカ製アクション映画

で、まあそんなこんなでいろいろとあってからの、8年ぶりの新作。当初はリブート企画だったものを、脚本・監督のシェーン・ブラックの主張で、世界観的には『1』『2』の延長線上……たとえば「1987年と1997年にプレデター事件が起こりましたよ」っていうセリフがあったりとか。あと、『2』に出てきた特別捜査官ピーター・キースというキャラクター。これを演じているのは──僕らは「ゲイリー・ビジー」ってずっと読んでいたんだけど、実は「ゲイリー・ビューシイ(Gary Busey)」さんって読むんだね──ゲイリー・ビューシイが演じていた役柄の息子っていう役柄で、リアルなゲイリー・ビューシイの息子のジェイク・ビューシイが、ドクター・シェーン・キースっていうキャラクターを演じて出ていたりとか。

あと、その彼が勤めているスターゲイザー研究所というところにある、プレデターの装具コレクションがあるんだけど、その中には、『エイリアンVSプレデター』に出てきた槍がチラッと映っていたりとかする、というような感じ。とにかく、「話としては独立した続編」的な位置づけなわけですね、今回の『ザ・プレデター』は。で、脚本・監督のシェーン・ブラック。さっき言ったように一作目で最初に殺される役なんだけど、これはパンフレットに載ってる製作のジョン・デイビスさんとの談話を信じるならば、その一作目の時点で実は、シェーン・ブラックに脚本のリライトを依頼しようとしていたんだけど、シェーン・ブラックが嫌がって……みたいなことらしいんだけど。

とにかくそのシェーン・ブラックは、同じく1987年公開の『リーサル・ウェポン』で、脚本家として大ブレイクします。以降、『ラスト・ボーイスカウト』(1991年)、同じく1991年の『ラスト・アクション・ヒーロー』、これはまあリライトですけども。あとは『ロング・キス・グッドナイト』、などなどで、80年代後半から90年代にかけてのアメリカ製アクション映画の、一大潮流を作った。話運びは、とにかく乱暴。あのね、「雑」っていうよりは、「乱暴」っていう方が僕はふさわしいと思います。とにかく乱暴なんですね。で、とてつもなくバイオレントな事態にも、どこか不謹慎なユーモアが漂う。まさに「人を殺して捨てゼリフ」系の映画っていうことですね。で、特にバディ物が多い。やっぱり冗談を……戦いの最中にしょうもない軽口を叩きあっている、というような感じ。

どれだけ危機的な状況でも、どこか遊戯感が漂うという、これが特徴でもある。あと、そこに利発な子供が絡んできて、ちょっとジュヴナイル物的なムードが混じってくるようなパターンも実は多かったりする、という。要は「心は少年」っていうタイプだったりするわけですね。

■傑作『ナイスガイズ!』をモノにしたシェーン・ブラック監督を奮い立たせたのは……

とにかく、そんな作風のシェーン・ブラックさん。監督としても、2005年、『キスキス,バンバン』という、ノワールコメディーという感じですかね、それでロバート・ダウニー・Jrを見事に再復活させた、見事に生かして使ったのが縁で、『アイアンマン3』、ビッグバジェット映画に――2013年5月18日に僕は映画評をしましたけども――その監督に大抜擢されて。

続いてまた監督作、やはりこれもノワールコメディーの『ナイズガイズ!』というね、私は2017年3月14日、去年に評しまして。これはまだ書き起こしが普通に読めますので、ぜひこれを参照していただきたいですが、『ナイズガイズ!』。これはもう完全に、彼、シェーン・ブラックの諸々の資質が……たとえば、乱暴な話運びっていうのすらも、ノワールというジャンル特有の、なんというかストーリーはよくわかんない。煙に巻かれた感というか、結局全てがなにかわかったわけじゃない感みたいな感じとも合っていたりして、とにかく全てがドンピシャにハマった、いま思い返してみても大傑作、という風に僕は思います。少なくとも僕は大好きな一作でございます。

で、そんなシェーン・ブラックさんですが、これまた今回の『ザ・プレデター』のタイミングのインタビューの発言などを鵜呑みにするならば、50歳を超えたぐらいから、ミドルエイジクライシスに陥って。何をやってもつまらない、やる気が出ないという日々を送っていた、ということなんですね。そこで今回の『プレデター』企画を振られた彼が呼んできたのが、旧友のフレッド・デッカーさんという方。みなさんね、シェーン・ブラックさん、そして今回はフレッド・デッカーさん。この名前を覚えて帰ってくださいね。

■「少年の心を持ったオッサンふたり」が組んだ会心の一作

フレッド・デッカーさん、86年に『クリープス』という、もうね、登場人物の名前1個取っても、無邪気すぎるホラー映画オタク丸出しな1本を撮っているんですけども。まあ、そのシェーン・ブラックさんとは10代の頃からの付き合いで、一緒にキャッキャキャッキャ言いながら映画館に行っていた仲。で、そのフレッド・デッカーさんの監督二作目、1987年の『ドラキュリアン』という、原題は『The Monster Squad』という映画があって。これは要は、現代に蘇ったユニバーサル・クラシックモンスターたちの軍団を、『グーニーズ』的なちびっ子チームが撃退する、というですね、やはり「お前は本当に無邪気だな!」っていう(笑)、無邪気なオタク丸出しの、かわいい一作でございます。

で、この『ドラキュリアン』は、そのフレッド・デッカーさんとシェーン・ブラックとの共同脚本。続くフレッド・デッカーさん監督三作目は、『ロボコップ3』。『ロボコップ3』も、『1』『2』のちょっとダークな感じというのが薄れて、ヒーロー的なかっこよさを無邪気に喜んでいる感じの一作になっていたりして。まあ、おそらくはシェーン・ブラックさん以上に、このフレッド・デッカーさんは、「心が少年」の人なわけですよ。(快適生活)村井さんみたいな人なわけですよ(笑)。ということで今回の『ザ・プレデター』、テレビ映画『Edge』っていう2015年の西部劇に続いてではあるんだけど、劇場用映画としてはたぶん、本当に『ドラキュリアン』、1987年以来、30年以上ぶりのシェーン・ブラック&フレッド・デッカー監督脚本コンビっていうところが、何気に座組みとしてアツい一作、ということなんですよね。アツい!っていう感じでね。

で、実際に今回の『ザ・プレデター』、これはインターネット・ムービー・データベースに載っていた情報ですけども、彼らの84年に書かれていたという未映画化脚本、『Shadow Company』というのがあって。これは実は、監督がジョン・カーペンター、主演がカート・ラッセルという座組みで……だから、(実現していたら)『ゴーストハンターズ』とかああいうノリになったんですかね? で、製作が進んでいたんだけど、頓挫しちゃったという。で、その『Shadow Company』の元の脚本からの引用要素も結構含まれているらしい、ということで今回の『ザ・プレデター』。そんな感じで、要はこのシェーン・ブラックさん、そしてフレッド・デッカーという、少年の心を持った、いまは疲れきったおっさんコンビの(笑)、リユニオンかリベンジマッチっていう、そういう色が濃い一作なんですよね、今回の『ザ・プレデター』は。

■80年代ジュヴナイル要素を筆頭とするシェーン・ブラック監督のはしゃぎ感

そう思って見ればですよ。多少のはしゃぎ感は許してあげてくださいよ!(笑) たしかに全編はしゃいでますよ。でも、そのはしゃぎ感が今回の映画のミソだ、と僕は思っているぐらいなんですけどね。ということで今回の『ザ・プレデター』は、まずさっき言ったはみ出し者チーム……小隊物にも近い、はみ出し者チーム要素。そして、さっき言ったコンビが大好きなのであろう、80年代ジュヴナイル要素。だからまあ、とにかく『グーニーズ』とホラーを合わせるとか、そういうのが大好きなわけですよ。80年代ジュヴナイル要素。

まあたとえば、「大人が解けない謎を解き明かしてしまう利発な少年」……モロに80年代ジュヴナイル!っていうね。まあ『ウォー・ゲーム』とかなんでもいいですけど、そういう感じもするし。あと、その少年と、いじめっ子、そしてハロウィンの夜……っていう、ちょっとノスタルジックな空気の中で何かが起こる、みたいな。80年代ジュヴナイル!っていうそういう要素。プラス、もちろんプレデター要素。今回は特に、プレデターの行動原理のその真の動機、っていう部分が、大きなミステリーかつサプライズ要素ともなっている、っていう感じなんですけども。

で、そのはみ出し者チーム要素+80年代ジュヴナイル要素+プレデター要素✕シェーン・ブラックならではのダークなユーモアと乱暴な語り口っていう……それでその結果、イコールこんなん出ました!っていう一作だと思ってください。要約して言えば。

■ルーニーズたちのキャッキャウフフ感に萌えじゃくる

で、なにしろまず、僕も「本作最大の魅力」と言い切って言ってしまっていいと思います。さっきから言っているはみ出し者チーム、今回で言う「ルーニーズ」と自虐して称している面々が、もうとにかくめちゃめちゃキュート。あれはだから、彼らがキャッキャキャッキャやっているのは、そのシェーン・ブラックとフレッド・デッカーさんたち自身のキャッキャキャッキャでもあるという。

あと、その俳優たち自身も、本当にキャッキャキャッキャやっているという。たとえば、そのチームのリーダー的な役割ですね。『ムーンライト』のトレバンテ・ローズさん演じるネブラスカの、非常に頼りになるしマッチョだけど、でもたとえば、彼がなんではぐれ者チームに合流したかといえば……本当は繊細かつ、非常に危うげでさえあるハートを持っていて。つまり『ムーンライト』のあのブラックの役柄にも重なるような、トレバンテ・ローズの、あの本当につくづく愛しくなるたたずまい。もうはっきり言います。僕はトレバンテ・ローズは好みです!(笑) もう。めちゃめちゃグッと来てしまいますね。

とかそんな感じで、全部挙げていると時間がないんだけど、少なくとも全員の顔とキャラクター、これは『ザ・プレデター』を見れば、一発で忘れられなくなるじゃないですか。それだけでもう、これは大したものなんですよ。チーム物の描き方として。あと、そのはみ出し者チーム、最近の映画でもちょいちょい出てくる映画はあるけど、「“チームプレーの成功”をちゃんと描いてない映画が多い」って僕、文句を言ってきましたが、(本作では)ちゃんとチームプレーの成功を……たとえばバスジャックの瞬間の、ポンポンポン、っていう感じの(連携プレー)、あの動きの見事さとかで、非常にタイトかつしっかり描いてるし。

終盤には、何気にほとんどBL寄りと言っていいぐらい、濃厚なブロマンス描写もあったりなんかして。で、とにかく彼らがまとっているキャッキャ感ですね。そんなものがある。それとも関連してですけど、シェーン・ブラックならではの十八番ですね。はっきり言えばこういうことです。「人の死をサラッとギャグにする、不謹慎なジョークセンス」は、いつも以上に悪趣味に炸裂している。まあアメリカではそれでR指定、日本ではR-15指定がついていますけどね。だから、ここで彼のギャグセンスが、やっぱり嫌な気持ちがする人が出るのはそれはしょうがないっていうか、ごもっともですっていう感じで。「低い」です(笑)。はっきり言って本当に。

「ああ、映画って楽しい!」と心底思える冴えたアクション演出

たとえばさ、序盤の、最初に出てくるあの死体の扱い方。バーンとお腹が切れて、ドボドボドボッ!って……しかも内臓の落ち方が、ズルッ、ドボッ、ドボドボドボッ!って(笑)。やりすぎです!っていうのとか。あとね、これぞ90年代アメリカアクションによくあった描写だけど、「人の死体を盾にする」。90年代によくありましたけどね。久々に見ましたね。まだやるか、それ?(笑)っていうね。それをまだやってますし。あとはあの、「サムアップ」ギャグ。親指を立てるギャグ。あれも80年代後半〜90年代的というか。死体を使ったギャグ。しかも、プレデターにジョークセンスがある、っていうことですから(笑)。どういうことなんだ?っていうのがありますね。

あと、当然「人を殺して捨てゼリフ」も満載でございます。特に今回の『ザ・プレデター』、人によっては「何だ、これ?」っていうことになるであろうのは、子供の目の前で平然と殺しを実行した挙句、捨てゼリフ。ちょっとどうかと思う無造作さでそれをギャグにする、というのがあったりとか。まあそのジェイコブ・トレンブレイくん、いじめっ子に悩まされつつもハロウィンの夜に出かけて……というね、自閉症の超天才児という役で、ちょっと今年の6月29日に評したばかりですが『ワンダー 君は太陽』に続いて、似たような場面はありましたよね。ハロウィンの夜っていう。

なんだけど、今回は起こることが全然違うというか、「うん、ジェイコブ・トレンブレイくん、君はそれはいいのか?」(笑)っていう場面になっていたりしますよね。はい。これは褒めてもいるし、どうかとも思っている、っていう感じですけど。あと、シェーン・ブラックらしいアクション演出……高低差などをうまく使った、空間をうまく生かしたアクション演出。たとえば、前半にこんな場面が出てくる。屋根の上を猛然と駆け抜けてくプレデター。その真下を、やはり猛然と走って追いかけるオリヴィア・マン演じる女生物学者。それを、横の動きで、バーッとカメラが横で並走して撮っている。

すると今度は、その道を挟んだ向こう側で並行して…さらに道を挟んだ向こう側で、並走して走っている主人公たちのトラック。要するに、位置の違う三者が、並行してバーッと走っている様を、ものすごいテンションのカメラがブワーッと横で並走して追いかけて撮っていく、というこの、なんか知らんがテンションは高いこの一場面、ワンショットだけで、僕は映画館で泣きそうになりましたね。もう、「ああっ、幸せ~!」っていう。こういう、なんか知らんがアホらしくもテンションが上がるワンショットだけで、「ああ、映画って楽しい!」っていう気持ちになりますね。あと、その車を運転してるところで、運転しているそのショットはスタジオ別撮り風になっていたりするのも、昔の映画風っぽくて、なんかダサかわいい感じでいいですね。

■演じている人たちの多幸感が伝わってくる、それが本作最大の魅了

かわいいと言えばね、今回出てきたプレデター犬。あの『プレデターズ』に出てきたあれより一億倍かわいい、プレデター犬が出ています。みなさん注目していただきたいのは、これ、橋Pが強調していました。このね、プレデター犬が出てくるラストショット。ピントは合っていませんが、彼のたたずまいのかわいさに、萌え死んでください。本当に最高です! あとプレデター要素で言うと、今回その、「途中で話の方向が180度違う方向にシフトする」。これは僕、一作目のダイナミズムを継承した構成だな、という風に思ったりもしました。

たしかに、話し運びは乱暴だし……たとえばクライマックスの森の中の戦い。正直、何が起きたかわかんないところもある。あと、いつの間にかさっくり退場している人がたしかに多すぎる。特にやっぱり、悪役に当たるあのキルモンガーのお父さんのあの人(の最期)は、俺正直なんだかよくわからなかった。そんなのもあるし、それ以前に、これはストーリーの穴とかですらなく、単純に編集でバッサリ切りすぎたせいか、「えっ、なんで急にそこに場面が飛ぶの?」とか、「えっ、なんで?」っていうところが数ヶ所あったりしましたし。このへんはソフトでね、ひょっとしたら完全版みたいなのが出るのかも知れないけど、それにしたってちょっとぶつ切りすぎるところもありましたし。

あと、展開的な不満で言えば、やっぱり最後の最後は、プレデターと人間はタイマンを……最後はタイマンにしてくれ! あと、プレデターの武器で勝負つけるのはやめてくれ。最後はタイマンかつ、地球側にあるもので何とかしてくれ、みたいな。まあいろいろと言いたいことはあるんですが。たとえば主演のボイド・ホルブルックさん。この人ね、『ラン・オールナイト』にしろ『LOGAN/ローガン』にしろ、悪役メインの人だと思っていたのに、しっかり80年代後半から90年代的な、マッチョな主人公……マッチョなまま反省しない主人公(笑)みたいなのを、完全に体現していました。見事なもんでしたし。そんな感じで、とにかく諸々作り手たち、そして演じ手たちの多幸感が伝わってくる、というところに、この作品の最大の魅力があるなと思います。

僕はやっぱりルーニーズの面々、結構死んじゃっているんで……あ、すいませんね、「死んじゃってる」とかネタバレしちゃっているか(笑)。まあ、ルーニーズの面々だけで、スピンオフを延々見たいぐらいですし。あと、これはやっぱり午後ローでも見たいね! いつか午後ローで見たい。午後ローで不意に、「あっ、今日は『ザ・プレデター』じゃん!」って見る。そうすると、「ああ、結局また最後まで見ちゃったよ! おかしいな。変な、ダメな映画なのにな……」って。そういう映画の良さもある、ということです。シェーン・ブラックとフレッド・デッカーさん。この名前を覚えて、ぜひね、劇場で、そしていつか午後ローでもウォッチしてください!

(ガチャ回しパート中略 ~ 来週の課題映画は『愛しのアイリーン』に決定!)

以上、「誰が映画を見張るのか?」 週刊映画時評ムービーウォッチメンのコーナーでした。

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