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花の咲く時期をコントロールできる「フロリゲン」ってなに?

森本毅郎 スタンバイ!

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忙しい朝でもニュースがわかる「森本毅郎・スタンバイ!」
(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)
7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」。本日4月11日(月)はレポーター阿部真澄が花を咲かせる植物ホルモン『フロリゲン』を取材しました!

阿部真澄

現場にアタックレポーターの阿部真澄

★花を自在に咲かすことができる!その植物ホルモンとは?

4月に入り、そろそろ春の花が咲く時期となりました。そんな中、自在に花を咲かせる時期をコントロールできる物質が見つかり、研究が行われているそうです。どんな研究なのか横浜市立大学・木原生物研究所 准教授 辻寛之さんにお話を伺いました。

辻寛之さん
「花を咲かせるフロリゲンと呼ばれる植物ホルモンを見つけて、さらに、どんな仕組みでフロリゲンが花を作っているのかを明らかにしました。フロリゲンは花が咲くタイミングをコントロールする、いわば花を作らせるスイッチです。実験された植物は全て、フロリゲンの量を増やせば花が咲く時期が早くなり、量を減らせば遅くなりました。」
フロリゲン1

高校の教科書にも掲載されている「フロリゲン」

「フロリゲン」の量を増やすと花が咲く時期が早くなり、減らすと遅くできる・・すごいですよね!梅の花で例えると、遅咲きの梅である「豊後梅」の咲く時期を早めたい!というときは、遅咲きの梅の品種「扇流し」のフロリゲンをとってきて掛け合わせると、花の咲く時期をコントロールできるそうなんです。フロリゲンは、植物自身が元から持つホルモンなので、植物に悪影響を与えることはほとんどないというのもいいですね。

★花の咲く時期を調整・・・こんな場面で活躍できる「フロリゲン」

花の時期をコントロールすることでどういうことに役立てられるのか?再び辻さんに伺いました。

辻寛之さん
「例えば、台風の時期が決まっていれば、台風の時期よりも早く花をつけさせるとか、その間は必ず待たせるとか調整できます。また、カーネーションを母の日に合わせて咲かせるとか、コスモスなども、同時に見るようなできない品種をフロリゲンの量を変えることによって、同じタイミングで咲かせられるような調節が将来可能になるかもしれません。」
フロリゲン4

フロリゲンの量を調節することによって予定より早咲きとなったキク(横浜市立大学で実験中)

台風などの自然災害に備えて花の咲く時期をコントロールすることもできますし、冷夏になるときに花の咲く時期を早くして花に被害が出るのを防ぐこともできます。花を生産する農家さんには朗報ですね。また、コスモス祭りやチューリップ祭りなどさまざまなお花のイベントに合わせて、花を咲かせることもできます。

★この研究に期待したい自治体が・・・桜の開花時期に悩む弘前市

この時期の花といえば桜。桜の開花時期をコントロールしたい!と切実な自治体がありました。それは毎年「弘前さくらまつり」を開催している青森県弘前市。実はここ数年、桜の開花時期に振り回されて色々とご苦労されているのです。弘前市 海老名雄二さん のお話です。

海老名雄二さん
「最近の桜祭りの傾向としては、早く桜が咲いてしまう状況です。桜祭りの期間は、実は条例で決まっていて、変更することができないんです。条例改正が必要なので、開花に合わせて祭りの期間をずらすのは難しい。桜の期間が祭りの期間と合わない事が多いので、桜の根元に雪を積んで冷やしてみたり、色々やってはいるのですが、思い通りにはいかないところがある。祭りに来たけれど花がないのも寂しいので、こうした研究で、開花時期をコントロールできるのは非常に助かる技術です。」

「弘前さくらまつり」は市の条例で「4月23日~5月5日まで」と決まっています。ただ、ここ数年桜の開花が早く、今年の満開予想もまつりが始まる前の4月22日です。そこで弘前市では、「準さくらまつり期間」を設けていて、条例で決められている日以外に桜が咲く場合、事実上、まつり期間を早めたり延期したりして調整しています。(今年は準さくらまつり期間が4月16日~22日です)。ただ、人手の多いゴールデウィークに桜が咲いて欲しいというのが本音で、今も独自の品種を作るために大学と共同で品種改良をしたり、試行錯誤しています。では、この桜の開花調整はうまくいくのか?さきほどの辻さんに伺うと・・・

★では弘前市の願いはかなうのか?桜の開花調整は・・・

辻寛之さん
「桜の花自体は、初夏あたりに花を作って、花を作った後、長い間待って、次の春まで待った挙句に花が開く。僕らが実験しているような簡単な植物とは花の咲く仕組みが違うんです。フロリゲンによって花を作り、花を咲かせるタイミングをコントロールできる植物はたくさんあるが、今でも難しいものの代表は桜です。」

弘前の方には残念な情報ですが、桜だけは花の咲く時期をコントロールすることが難しいそうなのです。というのも、基本的に植物は花の芽をつけた後すぐに花が咲くので、フロリゲンで花の芽さえ作ってあげればすぐに咲かすことができます。しかし桜は花をつけた後長い休眠状態に入ってしまうので、このコントロールができません。桜の場合は花を作るスイッチのほかに、花を咲かせるスイッチを見つけないといけないのです。

★「フロリゲン」によって将来こんなことまで可能に!?

桜に関してはフロリゲンの量では開花をコントロールできないのですが、それ以外の植物であればコントロールできる!ということで、辻さんは最後にこんな話をしてくれました。

辻寛之さん
「フロリゲンは大きいタンパク質なので、そのままでは細胞の中に入らない。いま、それを細胞の中に入れて花を咲かせるような方法を作っているところ。例えば花を付けるようなスプレーを作ってそれを吹きかけると植物の中に入って活性化するようなもの。それができれば『花咲かじいさんの灰』(花さか爺さんが木に撒いて花を咲かせる灰)ができたということになるので、科学者としては面白い挑戦ですね。」

今後、この研究をどう生かせるのか考えていきたいと話していました。植物ホルモン「フロリゲン」の研究は、特に自然災害による作物被害を防ぎたい農家の方たちから注目を集めているようです!

(取材・レポート:阿部真澄)


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