音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる音楽コラム「プリンスのオマージュソング」特集
※以下、番組内容書き起こし by みやーん(文字起こし職人)
【高橋芳朗】
今週はこんなテーマでお送りしたいと思います! 「最近リリースされたプリンスのオマージュソング特集」。
(BGMでプリンスの「Kiss」が流れる)
【高橋芳朗】
1ヶ月後の4月21日にニ周忌を迎えるプリンス。まあ、プリンスの影響を受けた曲なんていうのはもう日常的に出続けているものなんですけど、ここ最近重要アーティストによるプリンスのオマージュ、クオリティの高いプリンスのオマージュが立て続けにリリースされているので、実際にプリンス関連楽曲と聴き比べながら紹介していきたいと思います。計4曲です。
【ジェーン・スー】
よろしくお願いします。
【高橋芳朗】
まずは「王道プリンス・オマージュ」としてジャネル・モネイの「Make Me Feel」。ジャネル・モネイ、ここ数年はシンガーよりも女優としての活動が目立っている感じでしょうか。昨年日本公開された映画『ドリーム』や『ムーンライト』での好演が記憶に新しいところです。この「Make Me Feel」は、いままさにBGMとして流れているプリンスの1986年の全米ナンバーワンヒット「Kiss」を彷彿させる仕上がりになっています。
M1 Make Me Feel / Janelle Monae
【高橋芳朗】
続いては「未来派プリンス・オマージュ」として、日本から三浦大知さんです。
【ジェーン・スー】
おーっ!
【高橋芳朗】
3月7日にリリースされたばかりのベストアルバム、今週のオリコンウィークリーチャートで初登場1位に輝いた『BEST』から、新曲の「DIVE!」を。この曲、ミュージックビデオの冒頭はマイケル・ジャクソン「Black Or White」のオマージュになっているんですけど、楽曲的にはプリンスの影響を強く感じさせる内容になっています。ただ、どちらかというとプリンスというよりはプリンスとそのファミリーがつくりあげていったミネアポリスサウンドのオマージュといった印象ですかね。ミネアポリスサウンドのを現代的に増強したファンク。サンプルとしてはミネアポリスサウンドの代表的なヒット曲、1985年に全米1位になったレディ・フォー・ザ・ワールドの「Oh Sheila」を聞いてみましょう。
(BGMでレディ・フォー・ザ・ワールドの「Oh Sheila」が流れる)
【高橋芳朗】
わかりやすいところでいうと、このテンポの速さとシンセサイザーの音色がミネアポリスサウンドの大きな特徴のひとつですね。このあたりを踏まえて三浦大知さんの「DIVE!」、聴いてみてください。
M2 DIVE! / 三浦大知
【高橋芳朗】
3曲目は「80’s型プリンス・オマージュ」としてツイン・シャドウの「Saturdays」。プリンスの全盛期は80年代なんだから「80’s型」なのは当たり前といえば当たり前なんですけど、これはちょっと不思議な曲なんですよ。サンプルとしてはプリンスの「When You Were Mine」を用意しました。1980年の作品。
(BGMでプリンスの「When You Were Mine」が流れる)
【ジェーン・スー】
最高! もう全部の曲が最高ですね。すべての曲にオリジナリティーがある。すごいね、プリンスはやっぱりすごい。
【高橋芳朗】
この「When You Were Mine」のように、ファンク系の曲というよりはポップロック寄りの曲をモチーフにしているんじゃないかと思います。ただ、歌が入ってきたときは「プリンスっぽい!」と思うんですけど、曲が進んでいくにつれてブルース・スプリングスティーンやブライアン・アダムスのドライブ感のある曲みたいになっていって、最終的にはジョン・ヒューズの映画のサウンドトラックに入ってるような曲になります。でも、ずっとプリンスの雰囲気は引きずってるんですよね。実際に聴いてもらえば僕が言わんとしていることはなんとなく理解していただけるのではないかと。
M3 Saturdays feat. HAIM / Twin Shadow
【高橋芳朗】
最後はプリンスと同郷のミネアポリス出身、今年に入って日本デビューしたカレブ・ホーリーの「Pieces on the Inside」を。これまで「王道プリンスオマージュ」「未来派プリンスオマージュ」「80’s型プリンスオマージュ」と紹介してきましたが、これは強いて言うなら「やりすぎプリンスオマージュ」。もはやサンプルとしてプリンスの曲を聴いてもらうまでもないっていう。
【ジェーン・スー】
フフフフフ。「プリンス芸人」みたいな感じ?
【高橋芳朗】
うん。もうプリンス愛がダダ漏れしちゃってます!
M4 Pieces on the Inside / Caleb Hawley
【高橋芳朗】
というわけで計4曲聴いていただきました。こうしたプリンスのオマージュということでは、ビッグネームだとジャスティン・ティンバーレイクが先日のNFLのスーパーボウルのハーフタイムショーでプリンスのトリビュートパフォーマンスを披露していましたけど、彼が最近リリースしたニューアルバム『Man of the Woods』にもプリンスにインスパイアされたと思われる曲がいくつか収録されています。この盛り上がりからすると、ひょっとしたら今年はプリンスのオマージュ楽曲がひとつのトレンドになってくるのかもしれないですね。
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当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。
3/12(月)
(11:03) Sweet Baby / Stanley Clarke & George Duke
(11:41) Who’ll Be The Fool Tonight / Larsen-Feiten Band
(12:16) Just Tell Me Pretty Lies / Lee Ritenour
(12:47) You’re Blue Too / Robert Kraft
3/13(火)
(11:03) Hallelujah, I Love Her So / Ray Charles
(11:15) GoodyGoody / Frankie Lymon & The Teenagers
(12:17) Reet Petite / Jackie Wilson
3/14(水)
(11:03) Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is a Season) / The Byrds
(11:16) April Come She Will〜四月になれば彼女も〜 / Simon & Garfunkel
(11:44) Nowadays Clancy Can’t Even Sing〜クランシーは歌わない〜 / Buffalo Springfield
(12:17) Fourth Time Around / Bob Dylan
(12:51) It’s Not Time Now / The Lovin’ Spoonful
3/15(木)
(11:02) It Might As Well Be Spring / Peggy Lee
(11:17) I’m All Smiles / Joanie Sommers
(12:15) Wonderful Life / Irene Kral
(12:24) Gimme Some / June Christy
(12:50) Love Life / Chris Connor
3/16(金)
(11:01) Treat Her Like a Lady / The Temptations
(12:19) Tell My Why / Change