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小林よしのりさん登場 「保守」は「保身」とは違う!

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
3月3日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、保守派の論客として知られる漫画家の小林よしのりさんをお迎えしました。

小林よしのりさん

小林さんは1953年福岡県に生まれ、大学在学中の1976年に「週刊少年ジャンプ」の連載『東大一直線』でデビュー。1986年から「月刊コロコロコミック」に連載した『おぼっちゃまくん』はアニメ化もされ、子供たちの人気を博しました。

1992年に雑誌「SPA!」で『ゴーマニズム宣言』の連載を開始し、様々な社会問題に斬り込んでいきます。そのシリーズ本として「戦争論」「沖縄論」「天皇論」などを出版し、社会思想漫画という新しいジャンルを開拓。またテレビ朝日の「朝まで生テレビ」への出演や雑誌の連載などで、現在は保守派の論客として知られています。その小林さんが2017年10月の衆議院選挙で自民党ではなく、立憲民主党を応援し、話題になりました。今回の対談では小林さんが考える「保守」とは何か、そして憲法改正についてたっぷりお聞きしました。

「保守派の論客と言われることはどうなんですか?」(久米さん)

「構わないですよ。西部邁とはかなり長い間議論をしましたし、影響も受けたから」(小林さん)

「ゴリゴリの反米というのは?」(久米さん)

「アメリカは戦争をする国だということが頭から離れないんです。小学生のときにベトナム戦争があって、当時から批判していました。それはマルクス主義者の親父の影響もありましたけど。それからイラク戦争のときもものすごく批判しました。これは侵略戦争だと言い続けて、それで保守論壇から総スカンをくった(笑)」(小林さん)

「小林さんは、アメリカ追従の政府が許せないということですね?」(久米さん)

「そう。いまの日本はアメリカの属国になっているから沖縄の苦しみも解消できない。いちばん強烈なのが地位協定で、あれは治外法権が認められているような状況なんです。もし国会議事堂に米軍ヘリが墜落したら、米軍に封鎖されて日本の権限が及ばない、警察も入れないという状態になるんです。そこまで強烈な属国状態はほかにないです。米軍基地があるほかの国でも」(小林さん)

「何でなんですか?」(久米さん)

「結局、憲法を作る時に戦力を封じられてしまったために、アメリカに依存するしかなくなってしまったからです。アメリカに常に守ってもらわなくちゃいけない状態になっているから。自分で自分を守るという覚悟を持ちさえすれば、そこは解消するんです。ほかの国はそうです。米軍基地はそこまで治外法権になっていません」(小林さん)

スタジオ風景

「トランプさんが大統領に決まって、真っ先にトランプタワーに会いに行ったでしょ、安倍総理は。これだけ人を見る目がない人が総理大臣なのかと思って、ひどく不安になったんです」(久米さん)

「ああいうことをやらなきゃいけないという状況になってしまっているんです、日本の総理は。いちばんにあいさつに行けば保守派たちは『さすが安倍総理』ということになりますから」(小林さん)

「いま言っている保守派って、どういう人ですか」(久米さん)

「自民党支持者で、なかでも安倍政権支持者。安倍さんがやることは全部肯定するという人」(小林さん)

「ただ、属国から抜け出すと言っても日本の外交はいつも国連中心主義っていうじゃないですか。国連というと戦後できた素晴らしい組織みたいに思っちゃうんですけど、実際は戦勝国グループがやっているもので、決してフェアなものじゃない」(久米さん)

「いまはもっとひどいことになってしまって、いまはすぐ日米同盟っていうでしょ。日米同盟というのは、国連はもう役に立たないから日本とアメリカだけでやろうという話なんです。だからもう質が変わっているんです。だからもっと従属する形になっちゃってるんですよ。この状態で集団的自衛権を改憲してしまうと、日本は個別的自衛権で十全な態勢がとれないままアメリカにくっついて行くというのが必定なんですよ」(小林さん)

「そうすると何か紛争が起きますか」(久米さん)

「そりゃいくらでも起きますよ。北朝鮮だけじゃない。北朝鮮というのは個別的自衛権で対処できる話ですけど、中東はわかりませんよ。イスラエルの首都をエルサレムに移すとかやってるでしょ。シリアの問題もあります。いつでも戦争が起こり得るんです。アメリカは、例えば大統領の求心力を上げるために、あるいは武器庫を一掃するために、やるんですよ戦争を。それについて行かなきゃいけない」(小林さん)

「アメリカは武器商人のための国ですから」(久米)

「台湾海峡もあります。中国が革新的利益っていってるでしょ、台湾を。そこでも何か起こるかもしれない。そうすると日本の国家存亡の危機ということで、アメリカは日本を助けるために中国と戦わなくてはならなくなるかもしれない」(小林さん)

「それで大統領がトランプさんだったら、危険極まりないじゃないですか」(久米さん)

「だからアメリカに従属したままだと戦争に巻き込まれていく。それで、いまの憲法体制ではだめだと言ってるんですよ」(小林さん)

「憲法を変えれば何とかなるものですか?」(久米さん)

「立憲主義というものをいまの国民が全く分かっていないのが問題なんです。立憲主義というのは、権力を縛ることなんです。けれど縛れていないわけです。憲法違反をどんどんやってるでしょ。森友・加計問題だってそうじゃないですか。公務員というのは特定の利益の団体に奉仕してはならないってなってるんです。憲法違反を平然とやってるわけですよ、いまの権力は。それに対してみんな指をくわえて見てるだけでしょ。意味がないんです。だから、絶対守らなければいけないという憲法を作ればいいんです」(小林さん)

久米宏さん

「そこなんですよ。憲法には、国民は文化的な生活を守る権利を妨げられないということが書いてありますけど、いまの日本は恐ろしいくらい貧富の差が広がっていて、これも憲法に反する事態になっています。自衛隊についても憲法学者の多くは憲法違反だと言っています。つまり、せっかく良いことが書いてあったって憲法は守られていない。僕の考えでは、ハナから守られていないんだから、こんなものを変えようが変えまいが意味がないんじゃないかと。どっちみち守りやしないから、それならとりあえずいまの憲法を理想の灯として、不変のものとして掲げていこうよ。変えたって守らないんだから」(久米さん)

「それは保守というよりも、保身主義ですよね。だから守らなければならない憲法を作ればいいんです、立憲主義で。憲法裁判所を作ればいいわけですよ。憲法裁判所を作れば、法案が出たときにこれは憲法違反だっていう判定が下されるんですよ。そういうものを入れ込んだ憲法を新たに作らなきゃいけないんです。わしが立憲民主党を応援したのは、立憲主義を守ると言ったからなんです。立憲主義というのは権力を縛るということですから」(小林さん)

「いま自民党の憲法改正推進本部が頑張っていて、今年中に憲法改正の発議をしたいと言ってますけど、できますか?」(久米さん)

「できるかできないかと言ったら、やらなきゃ仕方がなくなっちゃってるんじゃないですか。だから発議はするでしょう」(小林さん)

「だけど国民投票することになったら、反対が過半数を超える可能性はかなり高いと僕は読んでいるんですよ」(久米さん)

「いや、わしはそうは読まないですね。いま現在も国民投票に賛成というのは過半数を超えてるんです。朝日新聞の調査でですよ。それでいざ自衛隊明記で憲法改正の国民投票をやるとなったら、発議してからなるべく短い期間にしますよね。その間にいろんな広告会社を使ってものすごい勢いで宣伝しますよ」(小林さん)

「テレビでコマーシャルを見て、新聞で広告を見たりしたら、みんないまの改憲案に賛成のほうに回りますかね」(久米さん)

「回るでしょう」(小林さん)

「逆効果ってことはないですか」(久米さん)

「それだけ知恵があればいいけど、そうはならんでしょう(笑)。震災のときなんかで自衛隊に対して同情心を持ってますからね。いまの改憲案に反対のほうに投票するってことは自衛隊を違憲にするってことですよ。それはないでしょう」(小林さん)

「そうだろうか? 僕、小林さんの話を聞いていて時々分からなくなるんですけど、小林さんは日本人をあんまり信用していない?」(久米さん)

「信用できていたら、戦前あんなことにはなってないですよね」(小林さん)

「じゃあ、これから将来の日本人もあまり信用しない?」(久米さん)

「うん。日本人を信用しないし、自分自身すら信用しないということですよね。だから法で定めようということです。法を信じることしかないぞということになりますよね」(小林さん)

「さっき、小林さんと仲のいい中島岳志さんがこちらにいらっしゃったんですけど(笑)、人間は不完全なんだというのが彼のモットーなんですよ」(久米さん)

「そうですよね。全くその通り」(小林さん)

「人間が作った組織とかシステムとか法律というのも不完全だと。だから、少しずつ変えていくしかないんだと。いっぺんにガラッとひっくり返すのは危険だと。僕は、小林さんの言う憲法改正はガラッとひっくり返すことに入ると思うんです。これは微調整には入らないとは思うんですよ」(久米さん)

「いや、わしはそういうことにはならないと思いますよ。憲法を全面的に変えるという話でもないし。それを言っていたら、ずっとこの憲法のままですよ。それでこの憲法のまま形骸化していくんですよ。『でもこの憲法があるから』と言っていたってしょうがないですよ」(小林さん)

「小林さんの話を聞いていると、憲法を変えるより前に、対米追従の外交を変える方が先だっていうふうに思うんですよね。これは憲法を変えなくたってできると思うんです。きついことをアメリカに言える政治家が何人も出てくればいいんですよ」(久米さん)

「それは精神論になってくるからかなり難しいんですよ。法で規制しないとだめなんです。集団的自衛権が行使できないってことになったらアメリカについて行けないんです。憲法で縛られてしまうから。そのほうが良いシステムじゃないですか? いまの憲法のままだとついて行くんですよ? どっちを選びますかということです」(小林さん)。

スタジオ風景

「小林さんが立憲民主党を支持したのは『立憲』という言葉がついたからということでした。立憲民主党というのは、これから伸びていく党ですか?」(久米さん)

「枝野代表がどうするかですよ。今のまま保身主義だったらどうにも伸びないですよ、本当に立憲主義を採らないと。立憲主義を通す政党だったら可能性がある。ほかの野党にはもう可能性がない」(小林さん)

「立憲・保守・リベラルというのが枝野さんの考え方ですよね。立憲は必ず通してもらいたい?」(久米さん)

「そうです。そこを通さなかったら旧社会党でしょ。ただ反対するだけの政党というふうに見られますし、とても若者の支持なんか集められないですよ。いまは就職率がすごく良いということで若者は安倍政権を支持しちゃうわけでしょ。その保身主義。保守じゃないですよ、保身主義。それが本当に情けない状態になっているわけですよ」(小林さん)

「若者は安倍総理を支持してるんだ」(久米さん)

「支持してますよ。立憲民主党なんかはじいさんばっかりでしょ、支持者は」(小林さん)

「安倍さんのどこがいいんでしょうね、若者から見て」(久米さん)

「結局、自民党のほうがいろんなことを仕掛けていくから、非常にリベラルだというふうに思っているわけでしょ」(小林さん)

「頭が痛くなってきた(笑)。安倍さんのほうが、野党よりもリベラル」(久米さん)

「そうそう。それで野党のほうはリベラルなところがない。いつも反対だけして保守的だと思ってるわけ。保守という言葉が悪くとらえられてしまっているんですよね。実際、冒険もしない。安倍総理のやることは非常にきわどいけれども、いろんなことをやり始める。ということでリベラルだ、ということになっちゃってるから」(小林さん)

「今日の話でいちばんショックでしたね、それ(笑)」(久米さん)

「もっと革新的に見えるようなことを立憲民主党がやればいいわけですよ。でも支持者がじいさんばっかりだから、じいさん向けのことばっかりやるからですよ」(小林さん)

「小林さんも支持者でしょ?」(久米さん)

「そうなんですよ、じいさんなんです(笑)」(小林さん)

小林よしのりさんのご感想

小林よしのりさん

いやあ、ちょっとびっくりしました。ずいぶん突っ込んできましたね。あんなに聞いてくると思ってなかったから。最初に渡された台本とも全然違うし、その前のコーナーのときの感じとも全然違うし、久米宏の頭の回転が全然衰えていないというのがびっくりした。すごいなという感じでしたね。

ああいうインタビューアーがいるとすごく助かるんですよ。どんどん話せるから。あんなに聞ける人、今いないもん。「朝生(朝まで生テレビ)」でもこんなしゃべってないですよ。質問の切り口もあんなにうまくないし。こんなに突っ込んでくる人はいないですよ。全然、予想外だった。だから答えることが楽しかったという感じです。


次回のゲストは、植物学者・田中修さん

3月3日の「今週のスポットライト」には、甲南大学特別客員教授の田中修さんをお迎えします。ユニークな語り口で講演会でも大人気の植物学者。『植物はすごい』『植物のあっぱれな生き方』『植物は人類最強の相棒である』など著書多数。植物のしたたかで、驚くべき生き残り術をお聞きします。

2018年3月10日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20180310140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)