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「追悼フランス・ギャル〜彼女がJ-POPに与えた影響を聴く」

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリスト高橋芳朗さんによる音楽コラム、追悼フランス・ギャル特集

高橋芳朗のミュージックプレゼント 追悼フランス・ギャル特集http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171229112559

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

※以下、番組内容書き起こし by みやーん(文字起こし職人)

【高橋芳朗】
今週のテーマはこちら! 「追悼フランス・ギャル〜彼女がJ-POPに与えた影響を聴く」。

BGM Poupee de cire, poupee de son / France Gall

【高橋芳朗】
いまバックで流れている「夢見るシャンソン人形」でおなじみ、フランスの女性歌手フランス・ギャルが7日、乳がんで亡くなりました。70歳でした。マクロン大統領がツイッターで哀悼の意を表していたことからもわかると思うんですけど、フランスの国民的シンガーでした。

【ジェーン・スー】
70歳か……早いね。

【高橋芳朗】
そう、まだ70歳だったっていうね。そんなフランス・ギャルはここ日本でも世代を超えて愛されているシンガーで、フレンチポップス/フレンチロリータの代名詞的な存在と言っていいでしょう。セルジュ・ゲンズブールが提供した代表曲の「夢見るシャンソン人形」は、フランス・ギャルがヒットさせた1965年直後から中尾ミエさんや弘田三枝子さんがカバーしていました。以降も、南沙織さん、小林麻美さん、浅田美代子さん、麻丘めぐみさん、石野真子さん他、大勢の女性歌手に取り上げられています。伊藤つかささんの「少女人形」のようなオマージュ作品も大量にありますね。

【ジェーン・スー】
うん。

【高橋芳朗】
ここからもわかるようにフランス・ギャルは昭和の歌謡曲、特にアイドルポップの形成に絶大な影響を及ぼしているわけなんですけど、今日は平成以降、90年代以降のJ-POPにおけるフランス・ギャルの影響を聴いていきたいと思います。90年代の日本でのフランス・ギャルの受容のされ方というと、「渋谷系」と呼ばれたアーティスト、フリッパーズ・ギターやピチカート・ファイブが好きな女の子たちにとってのアイドルでありファッションアイコンだったんですよね。「渋谷系」の文脈でフランス・ギャル再評価の機運がじわじわと高まっていって。

【ジェーン・スー】
そうですね。

【高橋芳朗】
僕は90年内初頭にタワーレコード渋谷店で働いていたんですけど、「渋谷系」のアーティストに心酔しているような女の子たち、ベレー帽をかぶって首にスカーフ巻いてアニエスベーのボーダーシャツを身にまとった女の子たち……というとちょっとステレオタイプがすぎるけど、そういう女の子たちがこぞってフランス・ギャルのCDを買っていたんですよ。フランス・ギャルのベスト盤は渋谷系の入門編みたいなところがありました。

【ジェーン・スー】
あっそう!

【高橋芳朗】
そんななかで、フリッパーズ・ギターの小山田圭吾さんが主宰していたトラットリアからデビューしたbridgeが1993年に「夢見るシャンソン人形」をカバーするんです。bridgeはTBSラジオ『オーディナリーミュージック』でもおなじみのカジヒデキさんが在籍していたバンドですね。Bridgeの「夢見るシャンソン人形」は当時車のコマーシャルで使われていたから覚えている方も多いと思います。

M1 夢見るシャンソン人形 / Bridge

【高橋芳朗】
これは聴き覚えあるでしょ?

【ジェーン・スー】
あるある!

【堀井美香】
三菱ミニカだ(笑)。

【高橋芳朗】
そうそう(笑)。

【ジェーン・スー】
まだ日本がちょっと景気がよかったころの感じがありますよね。がんばれ、日経平均!

【高橋芳朗】
フランス・ギャルの影響を受けたアーティストとしては、デビュー当時「渋谷系」ならぬ「新宿系」を名乗っていた椎名林檎さんがいます。椎名林檎さんはフランス・ギャルの「Jazz a Gogo」という曲をカバーしているのでちょっと聴き比べてみましょう。まずはフランス・ギャルのオリジナルから。1965年の作品です。

M2 Jazz A Gogo / France Gall

【高橋芳朗】
フランス・ギャルはブリブリのアイドル路線とは別にこういうジャズっぽい曲にも名曲がたくさんあるんですけど、このちょっといかがわしいジャズ感というかデフォルメされたジャズ館は、椎名林檎さんや東京事変の音楽性に少なからぬ影響を与えているのでは、という気がします。椎名さん自身はもともと家にあったフランス・ギャルのレコードを子供のころから聴いていたみたいで、彼女については「あの棒のような歌い方が大好き」とコメントしていますね。では、2002年リリースのカバーアルバム『唄ひ手冥利〜其ノ壱〜』から「Jazz a Gogo」です。

M3 Jazz A Gogo / 椎名林檎

【高橋芳朗】
続いては、フランス・ギャルの歌詞に焦点を当ててみたいと思います。まずはこの曲を聴いてもらいましょうか。新潟を拠点に活動するアイドルグループ、ジェーン・スーさんも詞を提供したことがあるNegiccoの2013年のシングルで「アイドルばかり聴かないで」。

M4 アイドルばかり聴かないで / Negicco

【高橋芳朗】
この曲はピチカート・ファイブの小西康陽さんが作詞・作曲・プロデュースを手掛けているんですけど、リリース当初は昨今のアイドルブームをメタ的な視点で綴った歌詞が話題になりましたね。「どんなに握手をしたってあのコとはデートとかできないのよ、ざんねーん!!」って。そういえば去年の年末に開催されたAKB48グループの紅白歌合戦にNegiccoちゃんがサプライズ出演してこの「アイドルばかり聴かないで」を披露したらしいんですけど、さすがに客席に緊張がはしったみたいですね(笑)。

【堀井美香】
ええーっ!?

【ジェーン・スー】
AKB紅白で「どんなに握手をしたってあのコとはデートとかできないのよ、ざんねーん!!」って言われたらそりゃあね(笑)。

【高橋芳朗】
で、実はこのNegiccoの「アイドルばかり聴かないで」のコンセプトはフランス・ギャルが元ネタなんですよ。フランス・ギャルにはそのものずばり「アイドルばかり聞かないで」という同名の邦題の曲があって、歌詞も「アイドルばかり聴いていないで私のほうを振り向いて」という内容で。要は、Negiccoの「アイドルばかり聴かないで」は小西さんによるフランス・ギャルのオマージュなんですね。

【ジェーン・スー】
うん。

【高橋芳朗】
そもそもセルジュ・ゲンズブールが書いたフランス・ギャルの曲はこうしたメタ的な構造をもったシニカルな歌詞が多いんですよ。それは「夢見るシャンソン人形」にしてもそうで、あの曲は「私は歌う蝋人形。私の心は歌のなかに刻まれている」という内容の歌なんですね。つまり「私はなにも知らずに歌わされている操り人形」みたいなことを歌っているわけで、一種のアイドル批評になってる。アイドルのメタ視点ソングの草分けと言っていいと思います。じゃあNegiccoちゃん「アイドルばかり聴かないで」の元ネタになってるフランス・ギャル版の「アイドルばかり聞かないで」を聴いてみましょう。1964年の作品です。

M5 N’Ecoute pas les idoles / France Gall

【高橋芳朗】
小西さんが手掛けたアイドルポップでは、小倉優子さんの「オンナのコ♡オトコのコ」や野本かりあさんの「ショコラに夢中」などもフランス・ギャルのオマージュと言っていいでしょうね。今日紹介したようなフランス・ギャルの60年代の作品は今月31日にユニバーサル・ミュージックから再発されるので、この機会にぜひチェックしてみてください。いろいろと発見が多いと思いますよ。

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

1/8(月)

(11:06) Show You The Way to Go  / The Jacksons
(11:44) Let Life Flow / The O’Jays
(12:24) You’re The Love of My Life / The Spinners
(12:51) Reaching for the World / Harold Melvin & The Blue Notes

1/9(火)

(11:04) In The Bad, Bad Old Days / The Foundations
(11:17) Someday / The Paper Dolls
(12:17) Heaven Knows I’m Missing Him N / Sandie Shaw

1/10(水)

(11:03) Why Do Fools Fall in Love 〜恋はくせもの〜 / Frankie Lymon & The Teenagers
(11:43) Gee / The Crows
(12:15) What’s Buggin’ You Baby / The El Dorados
(12:23) Sh-Boom (Life Could Be a Dream) / The Chords
(12:51) Your Cash Ain’t Nothin’ But Trash / The Clovers

1/11(木)

(11:04) I Wanna Be Your Boyfriend / The Rubinoos
(11:44) Come On, Come On / Cheap Trick
(12:18) Yellow Pills / 20/20
(12:51) What I Like About You / The Romantics

1/12(金)

(11:03) Jack and Jill / Raydio
(11:16) Love So Fine / Smokey Robinson
(12:17) Take Me I’m Yours / Michael Henderson