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獣医はメディカルイラストレーター

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
11月11日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、メディカルイラストレーターの tokco(とくこ)さんをお迎えしました。メディカルイラストレーターというのは、医学の論文や本などにイラストを描いて、医師から患者へ、また医師同士の間で、イメージを分かりやすく伝えるというのが仕事です。

tokcoさん

tokcoさんは1981年、兵庫県生まれ。化学者の祖父、カーデザイナーの父、薬剤師の母の間で育ち、イラストレーターになるのが夢でしたが、「そんな甘い世界じゃない。イラストをなめるな」という父の厳しい一言でいったん保留。母からは「手に職をつけておきなさい」と言われ、イラストの次に動物が好だったので(いつも図鑑を見て模写していたそうです)、北海道にある獣医学系の大学へ進学しました。

卒業後は、神戸にある最先端医療の研究開発拠点「神戸医療機器開発センター」に就職。センターでは実験動物としてブタが使われるので(生理学的・解剖学的にヒトに近いからだそうです)、獣医の資格を持つtokcoさんは貴重な存在でした。医学の知識に加え、イラストの才能もあったtokcoさんが描く解剖図やイラストは、現場のドクターたちから「分かりやすい」と、とても重宝されました。これはtokcoさんにとって大きな発見でした。

臓器のイラスト

「医療現場でイラストが役立つシチュエーションがこんなに多いなら、もっと使えるはず」。そう実感したtokcoさんは、2008年に医療機関の仕事を辞めて上京。専門学校に通ってパソコンを使ったイラスト制作を学び、医学論文などに入れるイラストの仕事を始めたのです。そして2013年、メディカルイラスト制作専門の会社「株式会社レーマン」を設立しました。

スタジオ風景

メディカルイラストレーターという職業は日本ではほとんど知られていませんが、欧米では100年の歴史があり、専門職としての地位が確立されています。大病院や医療系の出版社には、イラストレーターの養成部署が置かれたり、イラストレーターが常駐しているそうです。医学論文でも、医療機器メーカーのパンフレットでも、薬剤メーカーの資料でも、イラストにかなり力を入れているのです。つまり、それだけ欧米の医療現場ではイラストのもつ力や価値を重要視しているということです。その力の入れようとクオリティの高さは、日本とはとても比べものにならないとtokcoさんは言います。海外から大きく立ち遅れていた日本でも、2016年12月に初の学会が発足するなど、ようやくこの仕事に注目が集まり始めたところです。

手術のポイントを示したイラスト

写真や動画があるのに、どうしてイラストが有効なのか。それは、写真や動画だと臓器の姿・形がかえって分かりにくいことがあるからです。例えばおなかをメスで切り開いた様子の写真を見ると、画像は鮮明でも、一本一本の筋肉の流れがどうなっているかとか、血管がどのように通っているのかといったことはなかなか分かりません。そういう場合、筋肉や血管の細かい様子を描いたイラストを写真と並べておくと、非常によく分かるのです。また、大量の血液で溢れている場合だと写真で記録しても細部がよく分かりませんが、イラストなら描くことができます。あるいは、細胞を動画や写真で映しても色がありませんが、イラストなら必要な部分に色をつけて、重要な部分を見やすくすることができます。メディカルイラストは写真や動画と併用することで、理解を一層深めるのに非常に役立つのです。

手術のポイントを示したイラスト

実は医療現場では、もう少しうまくイラストを描けるようになりたいと思っているドクターが結構いるそうです。外科医はオペの後に「手術記録」を必ず書いていて、そこにイラストを多用するからです。どんなオペが行われたのか、どこが難しかったか、患部の様子はどうだったのか、そういった貴重な情報をほかのドクターと共有します。若手の医師なら、手術記録をつけることでオペを追体験し、理解と知識を深めることになるのです。tokcoさんは現場のニーズに応えて、数百人300人のドクターを前に、実演を交えながら、イラストを短時間でうまく描くコツをレクチャーすることもあるそうです。

海外では、医学論文に優れたイラストを多用すれば論文自体の価値を高めると考えられているので、専門家であるメディカルイラストレーターに仕事を依頼するのが普通。一方、日本の医療現場ではイラストにはお金はかけられないという認識がまだあって、教授やドクターがあまり上手でないイラストを自分で描いたりしているそうです

眼球のイラスト

日本ではメディカルイラストのニーズはあっても、それを専門に生業にしている人はまだ10人もいないそうです。それは、専門職としての地位が確立していないので、その対価も低く考えられていることが影響していることもあるでしょう。。それでもtokcoさんは、ここ2~3年で徐々にイラストの価値が認められるようになってきたと言います。「以前は、タダで描いてくれと言われました。負けてや、負けてやって(笑)。今は料金を強気に主張できるようになりました」(tokcoさん)。

久米宏さん

スウェーデンの小学校の社会科の教科書では、髪の毛を真っ赤に染めて学校に行ったら、初めは何か言われるかもしれないけど、頑張ってそれを続けたら周りの反応が変わるかもしれないって教えているんです。突飛なことでも、あなたが頑張って続ければ、世の中のルールは変わるって。tokcoさんは金髪で、ほかにやる人がいないような仕事をやっています。なんで金髪なんですか?」(久米さん)

スタジオ風景

「白髪対策です(笑)」(tokcoさん)

「なあんだ!」(久米さん)

tokcoさんのご感想

tokcoさん

久米さんは腸の話にとてもお詳しかったので、面白かったですし、話しやすかったです。

今、メディカルイラストレーターを目指している人も多いので、今日、仕事の内容をいろいろお話しできてよかったと思います。ありがとうございました。

2017年11月11日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:tokcoさんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171111140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、「指導死」親の会・大貫隆志さん

11月18日の「今週のスポットライト」には、「指導死」親の会の共同代表・大貫隆志さんをお迎えします。学校の生活指導という名目で生徒を死に追いこんでしまう「指導死」の問題に取り組んでいます。教師の「行き過ぎた指導」はなぜ起きてしまうのか伺います。

2017年11月18日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171118140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)