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どこまでも進化する内視鏡

森本毅郎 スタンバイ!

病気の早期発見の強い味方が「内視鏡」です。胃を見るもの、大腸を見るものなどありますし、胃を診るものは、口から入れるものと鼻から入れるものと2種類あり、進化してきました。さらには、小腸も、口から入れるもので前半を、そしてお尻から入れるもので後半を見ることができるようになっています。内視鏡では直接、中を確認できるのに加え、そのまま治療することもできます。

この内視鏡が来年、さらに進化したものが出るということで、今回、取材した内容を、11月6日(月)、松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★内視鏡の歴史

内視鏡は、日本人に多い胃がんを見つける胃カメラとして、1950年頃に実用化。と言っても、今とはだいぶ違っていて、胃を直接のぞけるのではなく、胃の中にカメラを入れて、写真を撮って、それを後で診察する、という仕組みでした。

そこから、一眼レフカメラのように、のぞき穴を覗いてレンズの先が見られる仕組みの「ファイバースコープ」に進化して、さらに、デジカメのように、レンズの先がモニターに映し出される「ビデオスコープ」へと進化してきました。複数の医師で診られるようになったわけです。

 

★「鼻から内視鏡」は画質が弱点

そうした中、まず、来年1月、鼻から入れる胃の内視鏡が進化します。

胃など、上部消化管を見る内視鏡は、口から入れるものと、鼻から入れるものがあります。口だと、経験された方も多いと思いますが、挿入時に「おえっ」となる辛さがあります。これを避けるために、口からのものよりも細い、鼻からの内視鏡が活躍しています。ただ、鼻からのものは、口より細いため、通す配線が少なく、画像が悪いんです。

よく病院で「口からにしますか?鼻からにしますか?」と聞かれ、「鼻からの方が楽ですが、画像は口からの方がいいです」と説明されます。

 

★「鼻から内視鏡」がハイビジョンに!

この画像の差は大きくて、口からは2002年にハイビジョンで見られるようになっていますが、鼻からはまだでした。正常な粘膜と異常な粘膜を見分ける場合は、炎症のわずかな色合いの違いで判別しますが、画質が悪いと、色合いがわからず、見落とす可能性もあるという難しさがありました。

これが来年1月、鼻から入れる内視鏡でも、ハイビジョンで見られるものが発売されます。そうすると、胃の内視鏡は、一般の健康診断なら、もう口からではなく、鼻からで十分です。

 

★「口から内視鏡」で細胞がくっきり!

一方で、口からの内視鏡も進化するんです。これまでの口からの拡大内視鏡の倍率は「80倍」でした。オリンパスから来年の2月発売予定の内視鏡はそれが「520倍」になります。これはどれくらい凄いかというと、「細胞の核」まで見えるレベルということです。

これまでの80倍でも、ポリープの表面構造をみることができ、例えば、毛細血管の血の流れが、見える顕微鏡に近いレベルでした。この80倍レベルでも正常か異常か、一般の私でも違いがわかるレベルでした。ただ細胞の核レベルではないので、確かな診断のためには、一部の細胞を取り出す「生検」という検査が必要となり、組織を切ったり、傷つけるリスクがありました。

ところが、520倍だと、組織を取り出して、顕微鏡で見るという、生検と同じレベルの映像が、内視鏡で、リアルタイムで見ることができます。見るだけで内視鏡医が、がんか否かを確認できることになるので、必要な場合は、今のような確定診断を待たず、すぐに治療に入れるというわけです。

 

★鼻から?口から?選び方は?

ここまで進化すると、使い分け方も変わってくるかもしれません。今までは、鼻からか、口からかは、苦しいか、苦しくないかで選んでいますが・・

これからは、一般的な検査は鼻からで十分で、前年にポリープをとったとか、今回もポリープが疑われ、即治療が必要な可能性がある場合は口から、が良いかもしれません。

 

★大腸の内視鏡の難しさ

次に、大腸の内視鏡も進化します。

内視鏡検査で多くの人のポリープが発見されるのが、大腸。50歳以上では5割以上が内視鏡で発見されるという調査もありますが、大腸には1つ大きな特徴があります。それは「曲がりくねっている」ということです。

大腸は120~150センチほどと長く、途中で4つの大きな急カーブがあります。そのカーブの形に合わせて、内視鏡を進めたり、戻したりする必要があります。そのため、いかに小回りがきくかが、重要な要素になってきます。

また、大腸がんの治療では、より大きな早期がんを治療するため、内視鏡の先から、ポリープを切り取る危機を出して行う「ESD」と呼ばれる治療が主流になっています。もし、4つ目のカーブを曲がったような奥まったところに、ポリープがあるとすると、医師の手元の操作は難しく、やはり、より小回りの利くものが求められます。

となると、曲がりやすく、柔らかさも必要、と思いますが・・・柔らかすぎると、途中でたるみが出て、内視鏡を押し込むことが難しくなるんです。ということで、柔らかさと同時に、硬さも重要ですが、さらにここには、扱う医師の好みもあるので、医師にあった柔らかさ、硬さが欲しいんです。

 

★大腸の内視鏡が柔軟に進化!

そんな医師の希望を叶えるような大腸用の内視鏡が、来年の3月ごろに登場します。これまでよりも急カーブに対応できるように細かく曲がるのに加え、硬さを自由に変え、たわみで歪まないよう、押し込む力がスムーズに伝わるそうです。

スムーズに入るということは治療が細かく出来るだけでなく、患者さんの体の負担も減るので、大きな進化といえるでしょう。

 

★将来は内視鏡でロボット手術!

その次の進化としては、ダヴィンチのようなロボット手術を内視鏡で行うことです。ロボット手術は、今は、腹腔鏡手術と言って、お腹に小さな穴をあけて、そこからロボットの腕を入れて手術する方法です。これが、将来的には、内視鏡の先から、ロボットの腕2本が出て、手術できるようになりそうです。

実はもう、腕が2本出るものが作られ始めています。まだ大きすぎて実用化の段階ではないですが、数年かけて小さくなれば、大腸の手術などは、お腹に穴を開けなくても、おしりからの内視鏡で簡単に手術できることになります。さらに進めば、胃の手術も、口からの内視鏡だけで手術できるくらいに、格段に進化する可能性があります。

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20171106080000

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