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都市→地方の”ふるさと納税”に変化!?地域課題の解決へ。

森本毅郎 スタンバイ!

今日から11月!今年も残りあと二ヶ月ですね。ところで、最近”ふるさと納税”のCM見聞きしませんか?また年末の控除申請の時期だなぁ~、と思い始めるタイミングでコマーシャルが始まるんですね!今年は”ふるさと納税”しようかな、と思っている人もいるかもしれません。そのふるさと納税ですが、『高額な返礼品競争が過熱』や『都市部では税収が大幅に減る』という問題も挙げられており、23区の区長さんたちが合同で、税収が大幅に減るとして国に、過熱する返礼品競争の是正を要求し、総務省が今年4月、金額3割以下に抑えてと、通達を出しました。そんな”ふるさと納税”に、今年は少し変化も起きている、といいます。そこで・・・!

「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!11月1日(水)は、レポーター近堂かおりが『都市→地方の”ふるさと納税”に変化!?地域課題の解決へ。』をテーマに取材しました!

★東京都文京区へ”ふるさと納税”?

東京文京区の”ふるさと納税”のひとつに、予想以上のお金が集まっている、というのです。いったいどんな”ふるさと納税”なのでしょうか。文京区・子育て支援課の鈴木裕佳さんのお話です。

鈴木裕佳さん
「ふるさと納税の中で、返戻品なしで寄付金をもとに、こども宅食プロジェクトというのを今年始めまして、内容は文京区の中で経済的にお困りの方を対象に、食材を保存食なんですけどお届けするという内容。こども宅食、そっと支援をするという形で普通に宅配便が届くように食材が届くので、はた目にはわからない形になっています。実は7月20日に開始しまして、ふるさと納税の申し込みがおかげさまで3500万円を超える寄付金が集まっている状況です。目標上回ってびっくりです正直。文京区長の方は、ふるさと納税に一石を投じたかったということで、あらゆる方面で発言させてもらってますので、他の自治体にも考えるきっかけになったのでは。」

文京区は、今年から5つのNPO団体と一緒に、『こども宅食』というプロジェクトを実施。『こども宅食』は、1人親世帯など経済的に困っている世帯のこどもに、二ヶ月に一度、お米やパスタ、缶詰などの食材を届けるというものです。このプロジェクトの活動資金としての寄付を、”ふるさと納税”で募ったところ、目標の2千万円を大きく上回るお金が集まった、というわけなのです。しかもこれが、返礼品で対抗したものではなく、見返りを求めない”ふるさと納税”という形だったことは、正直驚きです。”ふるさと納税”では、東京はお金が出ていくイメージがありましたが、まさに、それに一石を投じた形となりました。

★地域課題を知ってもらえる場でもある!

どうしてこのような変化が起きているのでしょうか。ふるさと納税に詳しい神戸大学准教授、保田隆明さんに聞きました。

保田隆明さん
「昨年度でいうと2800億円を超えるお金が動いたわけですけど、そのうちの約半分というのは一都三県、この首都圏から地方に動いています。一方で、都市部は潤っている、というステレオタイプがある中、いやいや例えば待機児童の問題ですとか、やはり問題は抱えています。そういう中で、うちにもたくさん課題があるのに、なんでたくさんお金とられているんですかという危機意識を各自治体がもっています。このこども食堂の問題重要だと思いますか?思いませんか?重要だと思えば、みなさんの払っている住民税をこっちに回してくださいという、民意をとりにいっていんですね。確かにそれが重要だと思ってもらえれば、モノ目的じゃない人の心も動かし得る。今回、ふるさと納税のプラットフォームが登場した事で、各地域が抱える地域課題が浮き彫りになったと言えると思います。」

2016年度、世田谷は16億円、港区は15億4千万の税収減。今年度も、それぞれ1.5倍以上膨らむとみられています。このままお金が出ていくだけでいいのか、都市部でも見過ごされている問題がたくさんあるのに、そうした危機感意識から都市部も具体的に動き出した、ということですね!『住民の皆さんが解決したい課題に、税金を使うますよ!』というアピールを”ふるさと納税”でする、ということをし始めたのです。文京区の場合は、寄付をした人の中には、『ふるさと納税サイトで、お肉やカニが目当てで納税先を探していたけど、そういう課題があると知って、返礼品なしでも寄付をしました!』という人が多くいたそうです。たくさんの人の目に触れ、区の課題を知ってもらえる、という大きなメリットもあるのですね。

★”ふるさと納税”の活かし方、その可能性。

そうした、ふるさと納税の活用の変化に、自治体以外の、外から見ている人も、可能性を感じています。スタディ・クーポン・イニシアチブ代表の今井悠介さんのお話です。

今井悠介さん
「今回渋谷区と協同させて頂いて、このスタディークーポンを渋谷区内の低所得者世帯の子たちに届けようということで始めます。お金が理由で塾とかにいけないような、特に中学3年生に対して、提供するクーポン券でして、月謝の代わりに使っていただける。このプロジェクトは現時点では寄付金で始めているわけですけど、将来的には全国で政策にしていきたい。政策化するときの財源として、非常にふるさと納税の仕組みは自分のふるさとの子供たちを応援しようと、納税して頂ければその子たちの学びの機会になっていくと思うので、すごく事業との相性もいいと思っています。子供たちの教育は本来的には公的な資金でやっていくべきもので、それは予算化をしていくというのは我々としても政策提言していくんですけども、その中で、各自治体の予算はカツカツなので、可能性を感じて頂いてる自治体はあります。」
スタディ・クーポン・イニシアチブ代表 今井悠介さんと

スタディ・クーポン・イニシアチブ代表 今井悠介さんと

塾などで月謝代わりに利用できる『スタディ・クーポン』を渋谷区と一緒に区内の低所得者世帯の中学3年生=高校受験生に提供する取り組み。中学3年は、小中高の中でも、学校外の教育支出が多く、年間30万円程かかる。教育格差がそこで生まれることもあるので、その解消に、年間20万円分のクーポンを配布しています。その資金として、今はインターネット経由で、不特定多数の人から資金等を募るクラウドファンディングを使っている仕組みなのですが、ふるさと納税も同じように、ネット上で課題に対して自分で選べる仕組みなので、教育関連の課題を解決するにはマッチしていて、予算もとれるかもしれないと期待していらっしゃいました。実際に、すでに自治体への働きかけをはじめているそうですから、今後、こういった地域課題解決のための”ふるさと納税”は増えそうです。

★国の問題?自治体の問題?税金で解決する問題??

これまで以上に、”ふるさと納税”の選択肢が増え、自分の税金の使い道を具体的に選べるのは、とても良いことですよね。応援したい地域を、応援したいプロジェクトを、選んで納税できるのは、とても気分も良さそうで、期待が高まります。ただ今後こういった形の”ふるさと納税”が広がれば、こんな問題が出てくるかもしれない、と神戸大学の保田隆明准教授はおっしゃいます。

保田隆明さん
「これ結局ユニークなものを出した人のところにお金が集まりますので、わかりやすさですさとか共感のされやすさとかが一つ重要なアピールポイントになるんですね。そうすると地味な案件だけど実は重要な案件がクローズアップされないという問題は抱えていると思う。一方で、解決するためのお金を調達する、そうすると本当に税金で解決すべき課題なのか?といのを審査する必要が出てくる。例えば、難病の治療は全国的に抱えている問題で一地域だけで抱えている問題ではない。全国的な問題は、本来は国がやるべきことでしょう。しかし、国がやっていないからどこかの自治体が手を挙げて、うちの自治体のふるさと納税を活用して国の問題を解決するのは、本当にそれが地方の一自治体がやるべき問題なんですか、みたいな問題は出てくる可能性があります。」

あくまでも、ふるさと納税の主旨は、地域の課題を解決すること。そして課題を知ってもらうために、役立てるのは良いことだが、そもそも税金を使っていること。そのため、地域と国のすべきことの線引きはする、必要がある、ということでした。”ふるさと納税”は、まだまだ様々な課題がありそうですね。

「現場にアタック」近堂かおり

近堂かおりが「現場にアタック」で取材リポートしました。