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時代遅れの「ビンタ」

東京ポッド許可局

ジャズトランペット奏者の日野皓正さんがコンサートの最中、ドラムを演奏していた男子中学生の顔を往復ビンタした事件で、体罰の是非など、様々な論争が巻き起こりました。そんな議論が一段落ついた中、ビンタされた経験もあるマキタスポーツ局員、プチ鹿島局員、サンキュータツオ局員が、TBSラジオで放送中『東京ポッド許可局』でこの「ビンタ問題」について語り合って・・・

許可局

■ビンタはもう時代遅れ―――

鹿島 :あの話って、ビンタの有り無し・体罰の有り無しじゃなくて、たぶんビンタは時代遅れなんですよ。本当にそう思います。だってビンタっておじさんのものっていうイメージないですか?例えば20代・30代のジャズの先生が生徒にビンタしてたら、僕ら「えっ!?」って思うじゃないですか。発想ないから。

タツオ:うんうん、確かに。

鹿島 :おじさんって子供の頃からやられてきたじゃないですか。愛のムチとか言われて。理不尽なものとか精神主義とか…わかりやすく言うと戦争ですよね。その匂いが生々しかったからじゃないの?だから戦後70年経った今の若者たちがビンタに慣れていないって、ある意味、平和の裏返しで良いことだと思うんですけどね。

タツオ:そうか。ビンタに慣れてないのか。

東京ポッド

鹿島 :ビンタに慣れていないのは当たり前でしょう?何のために戦争は終わったんですか?って僕は思ったんですよ。だから是非じゃなくてね。関係性の距離とかによって必要・不必要って論争はあると思うんですけど…単純に時代遅れ。だからこういう風に論争になるんじゃないかなと思って。

■修学旅行で「愛のムチ」―――

「ビンタ」という風習が廃れて珍しいものになっていくのは正常なこと。だからアントニオ猪木さんの闘魂注入ビンタも珍しがられ、面白がられているのではないか?と鹿島局員は語ります。続いて話は、マキタ局員の修学旅行での体験に。

マキタ:俺さ、修学旅行の時にゲームウォッチを持って行って。

タツオ:それ、もうダメだよ。ビンタ対象だよ。

マキタ:で、ゲームウォッチだけだったらまだよかったんだけど、めっちゃ騒いでいたんだよ。屁こいたり。

タツオ:屁こいたり、騒いでゲームウォッチやって(笑)それ、バカじゃないの?

マキタ:(笑)それで、忘れもしないですね。学年主任の先生は普段、鉄拳制裁をするタイプの先生じゃなかったんです。騒ぎの中心メンバーだった俺を筆頭に他の奴らも民宿の廊下に並ばせて。で、片っ端から、「行くぞ!愛のムチだ!」ってパーン!パーン!パーン!ただ、忘れもしない。あの先生、相当酔っ払ってました。

タツオ:(笑)

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鹿島 :だからそれ、軍隊の理不尽な…そういうシーン、ありますよね。

マキタ:普段は温厚だけど、先生は先生で、修学旅行でようやく子供たちが寝静まった後に宴会をやっていたんですよ。忘れもしない。お酒の匂いとイカ燻の匂いがすごいして。

タツオ:(笑)

マキタ:だから俺、それは解せなかったですよ。

■マキタ局員の高校のイニシエーション体験―――

3人はさらに深掘りしていきます。「関係性の近さ・遠さ」によって是非が語られることが多いビンタや体罰。マキタ局員の高校時代の濃いイニシエーション的体験から話が進んでいきます。

マキタ:俺の出た学校は非常にバンカラで、昔気質の学校だったんです。今はもう、そういうのはもちろんないんですけど。まず、入学式の段階からオリエンテーションで、入学するにあたっていろいろと教え込まれるやつ、あるじゃん?その儀式が1週間近くあるんです。暗幕をひいた状態の真っ暗に近いような体育館に集合させられて、正座させられてずっと学生歌を…学生歌その1、その2、応援歌その1、その2、学校の校歌。6つぐらい応援練習をずっとやって、上の方に手を掲げながら、手拍子をさせられながらやっていくっていう。で、手が下がってくるとバーン!って手を引っ叩かれて。

タツオ:もうちょっと宗教じゃん(笑)

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鹿島 :そういうのあったよ。「あれ、嫌だったねー。理不尽だったよね」みたいな感じで話すけど、だからって今、導入しようとは俺、思わないんですよ。あの頃の話としてもう消化するしかないじゃん。

マキタ:今でもYouTubeに僕の出た山梨県立日川高等学校のオリエンテーションって検索すると出てきますけども。もう「こんな時代があったのか」みたいな映像で。それがね、1週間近くその行事が行われた後…もう本当、すごいシゴキにあうんですが、最終的に生徒会長と書記長と応援団長が「今までいろいろあったけんどな、おまんとこのことが俺は好きだ!」って。そしたら、みんな涙を流すの。

タツオ:宗教だよ、それ(笑)

マキタ:学生側が主体的にやってることになってるから、先生たちはノータッチ。で、途中で具合が悪くなって保健室に行こうとするじゃん?すると、保健室の女の先生が「ダメ。帰って」って追い払うんですよ。俺が入ってた剣道部にもイニシエーションがあって。「ミーティングだ」って先輩たちが言うわけですよ。「今日、部活が終わった後にミーティングがあるらしいからさ」って。そしたら3年生が1年生に、ものすごい怒号を飛ばしながら「おい、わかってんのか、オラァ!」って、剣道部の竹刀でバーン!バーン!

タツオ:ああ、軍隊みたいに。

マキタ:あまりに理不尽で、俺たちの代からそれを止めたのよ。自主的に止めたの。止めたんだけど、その下の代からめちゃめちゃ規律が不安定になって。その経験もあるんだよね。でも、規律が不安定になったけども、仕方がないことだと思うようにはしたし。「もうちょっと違った関係性を作らなきゃな」っていうことを工夫したんですよ。

タツオ:恐怖政治でしか維持できなかった関係性っていうことだもんね。

■新しい理不尽と古い理不尽―――

続いては、理不尽さを体験するツールとしてのビンタについてもトーク。その「理不尽さ」自体が時代によって変化しているという話に。

鹿島 :僕は「理不尽さを全部排除しろ」と言っているわけじゃないんですよ。っていうのは、今の若い子は若い子で、若い子なりの理不尽さって絶対に毎日経験していると思うんです。SNSで変なリプライが来るとか。僕らの時代はそんな理不尽さ、知らないじゃないですか。時代が変われば、新しい理不尽と付き合っていかなくちゃいけないし、日々付き合っていると思うんですよ。そんな時に、前時代的なビンタっていう過去のオプションが追加されるのは意味ないじゃない?だから、そこは排除してあげようよ。

タツオ:たしかに!理不尽は時代によってアップデートされてるんだ。

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マキタ:「オプション」って言ったけど。俺らの時代はそのオプションが純正で付けられていたわけだよね。それが外れて以降とかは、また別の理不尽は確かにあるし、それに対して上の人たちは考えなくちゃいけないよね。

鹿島 :もっと、だから白黒…「絶対に暴力はダメだ」って言ったら、もう観念的な話になって。なんだったら、「一切ダメなんだ。痛えな…」みたいな感じになるんだけど、そういうのはちょっと横にどけてオプション論で考えたら、もうビンタはいらないじゃんって考えるしかないよ。

■ビンタは時短のための強制終了ボタン―――

今度はビンタの効果についても掘り下げ。10年以上、小学生にバスケットボールの指導をしていたタツオ局員が、体罰的なもののある種の「便利さ」について、指導者の立場から話しています。

タツオ:単純に時間の問題かな?って思ってたの。ビンタってもう強制終了。時間の節約。っていうのはさ、僕は小学生にずっと、12年ぐらいバスケットボールを教えていたわけ。で、やっぱり小5、小6ぐらいになると、もう言うことを聞かなくなるわけ。

マキタ:特に女子とかね。

タツオ:女子はもう本当に言うことを聞かなくなる。で、そういう時にどうすれば問題が早く解決するか?っていうと、恐怖政治ですよね。で、大声を出して言うことを聞かせる。あとはキャプテンのせいにするとか。規律を守るために、まずロジックを説明して。「みんなの責任はこの人の責任になります」っていう。

マキタ:血祭りにあげるところをちゃんと決めておくわけね。

タツオ:それをしてビンタするって最短の解決の仕方というか。自分が行きたい状態まですぐに行ける麻薬みたいな。一本そこは張っておいて、すぐに理想の静かな状態に持っていくような強制終了ボタン。だけど、その強制終了ボタンがなかった場合、割と言葉を尽くして話を聞いてもらって。しかも相手がわかるように変換しなきゃいけないっていう、結構な手間と時間を要するんですよ。それは、とても難しいことですよ。

マキタ:そうだね。

タツオ:「今、この場ですぐになんとかしなきゃいけない」っていう時にそれ、どうしたらいいのかな?っていうね。でも、そうしたことが求められている時代になっているんだよね。