徳冨蘆花(とくとみろか)は、1868年12月8日、熊本に生まれました。
同志社英学校に学び、キリスト教の影響を受け、海外の作家にも、関心を示します。
特にトルストイに傾倒。実際に会って、インタビューを試みたこともあります。
この『不如帰』で一躍、ときのひとになりました。
『不如帰』は、明治31年から32年に『国民新聞』に連載され、のちに出版されると、
大ベストセラーになりました。
明治時代で、最も売れた小説と言われています。
嫁、姑の確執、封建的なものへの反発、不治の病、悲恋など、
読者の興味をひくテーマが、ふんだんに散りばめられています。
「不如帰(ほととぎす)」
海軍少尉の川島武男と、浪子は、熱愛の末に、めでたく夫婦になった。
しかし、武男の継母のいじめ、千々石の横恋慕など、
武男と浪子の仲を裂こうとするものたちが二人の障壁となる。
そんなとき、浪子は、結核に侵されてしまう。
武男は外地への赴任が決まり、二人は離れ離れになってしまう。