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カレンダーとうちわの深い関係

久米宏 ラジオなんですけど

TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
9月9日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、関東最大手のカレンダーメーカー「トーダン」の社長・強口邦雄(こわぐち・くにお)さんをお迎えしました。今日9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句といって、五節句の中でいちばん重要な日。暦の話をお聞きするのにぴったりです(もっとも9月9日は北朝鮮の建国記念日で、これに合わせてミサイル実験があるかどうか気になっていた人のほうが多かったと思いますが…)。ということで今回はカレンダーの話。

トーダンのカレンダー

強口さんは1950年、東京都生まれ。 慶応義塾大学卒業後、1976年に父が社長を務めるカレンダーメーカー「トーダン」に入社。1985年、35歳で5代目の社長に就任しました。

トーダンの歴史は古く、創業は1903年(明治36年)。当時の社名は「東京団扇(とうきょうだんせん)合名会社」。東京・日本橋でうちわを作る会社だったんです。現在の社名の由来は、東京団扇→東団→トーダンというわけです。現在のメイン商品は、会社や商店が得意先に配る「社名入りのカレンダー」。茨城県の工場で毎年およそ200種類、1千万冊のカレンダーを作っている関東最大手メーカーです。ちなみに、日本全国で一年間に出回るカンレダーの数は1億冊ほどで、その大半は名入れカレンダーです。一方、文房具店などで売られているのは「店頭小売りカレンダー」といい、こちらは数としてはそれほど多くないそうです。

スタジオ風景

ところで、うちわを作っていた会社がどうしてカレンダーを作るようになったのか? 元々、うちわや扇子を作っている人は、閑散期である秋冬になるとカレンダーを作って売っていたのです。というのも、うちわとカレンダーには共通点があったから。それは、うちわもカレンダーも、商店が屋号を入れて(これを「名入れ」といいます)配った「販売促進グッズ」だったのです。現在、「全国団扇(だんせん)扇子(せんす)カレンダー協議会」という不思議な名前の業界団体があるのも、そのルーツを知れば納得です。面白いことに、アメリカのカレンダーメーカーも夏はうちわを作って売っていたそうです。強口さんの父・雄三さんは東京・丸の内界隈の大手企業をすべてお得意様にして、名入れのうちわを年間400万本作っていたそうです。

うちわから出発したトーダンがカレンダー会社としての地位を不動のものにしたのが、1960年に強口さんの父・雄三さんが手がけて大ヒットした「アルプスカンレダー」。当時、日本人にとって海外がまだ遠かった時代、アルプスの山々の美しい写真をふんだんに使ったカレンダーは、相当なインパクトを与えました。当時カレンダーは、3万部売れればまあまあ、5万部売れたら大ヒット。それがこのアルプスカレンダーは、なんと28万部も売れたそうです。さらにその翌年、翌々年もヒットが続き、その売上でトーダンは新しい本社ビルが建ったそうです。

新作カレンダー

強口さんが手がけた大ヒットカレンダーは、1980年代に発売した「プレイボーイカンレダー」。当時、強口さんは、国内の有名ブランドに「カレンダーを作らせてほしい」と訪ねて回りましたが、ことごとく断られていました。美術館に営業で訪れた時には「国宝を広告宣伝に使うとは何事だ!」と追い返されたそうです。そんなとき、プレイボーイ社がアメリカで名入れカレンダーを許可していたことを知って、手紙を出しました。2年間の交渉の末、ついに日本でのカレンダー出版権を取得。プレイメイツのカレンダーが発売されると、ほかのアメリカやヨーロッパの様々な有名ブランドが、契約に応じてくれるようになりました。プレイボーイというとセクシーグラビアの印象が強いかもしれませんが、向こうではエグゼクティブが読む雑誌として、かなりステータスがありました。そういう会社がカレンダー出版を許可したということで、トーダンのブランド力が大きく上がり、収益も大幅にアップ。さすがにもう新しい本社ビルは建ちませんでしたが、それでも社員全員で何度も海外旅行に行ったぐらいの大ヒットだったそうです。

海外のカレンダーは日付の数字だけしか書いていないものが多く、暦に関する様々な情報が記載されている日本のカレンダーとは違うようです。ヨーロッパではドイツ人とイタリア人はカレンダーが大好きだそうです。日独伊三国同盟ではないですが、不思議な共通点があるものです。反対に、イギリス人はカレンダーに関心が低く、向こうではほとんどカレンダーを見ないそうです。フランスのカレンダーは小さくて、ただ日付だけが書かれているだけのものが多く、予定やメモを書き込むくことに全く向いていないそうです。一方、アジア諸国は農耕民族なので暦への関心は高く、カレンダー文化が広く根付いているようです。

久米宏さん

近年、スマートフォンやタブレットが普及すると、ヨーロッパでは紙のカレンダーが急速に姿を消しているそうです。日付しか書いていないカレンダーだと、スマホの多機能なカレンダーに取って代わられてしまうのですね。ところが日本の場合は、暦に関する様々な情報が盛り込まれているため、根強い人気があり、減少傾向ではあるものの「微減」だそうです。

今、日本のカレンダー業界のいちばんの関心事は、2019年に変わることになっている「新元号」。カレンダーメーカーとしては、そろそろ新しい元号の名称を公表してもらわないと、もう製造が間に合わないのです。というのも、カレンダーメーカーは、毎年秋(11月)には、2年先のカレンダーを完成させているのです。ですから今すでに2019年のカレンダー作りが佳境を迎えようとしているのです。ところが政府はまだ新元号を発表していません。このままいくと、もしかすると2019年は、元号が入っていないカレンダーが出てくるかもしれないということです。

スタジオ風景

このようにカレンダー業界は、政治や世の中の動きに振り回されることも多く、2000年には当時の森喜朗総理の「神の国」発言のおかげで、4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」にする祝日法改正案が廃案となってしまい、「昭和の日」と印刷したカレンダーが大量にムダになってしまったことがありました。それでトーダンも当時は、1億円の損害となったそうです。「新元号」をめぐる動き、業界の心配はまだ続きそうです。

強口邦雄さんのご感想

強口邦雄さん

とても楽しくお話しできました。

久米さんはとても勉強されているなあと思いました。森喜朗元総理の「神の国」発言の一件など、知る人ぞ知るということもご存知でしたね。大変、気を遣っていただいて、「えっ?」と思うような質問をされることもなく、よかったです。かえって私のほうが、想定にない話をしてしまったかもしれません。ありがとうございました。

2017年9月9日(土)放送「今週のスポットライト」、ゲスト:強口邦雄さんhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170909140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

次回のゲストは、フリーキャスターの小宮悦子さん

9月16日の「今週のスポットライト」には、フリーキャスターの小宮悦子さんをお迎えします。19年ぶりに「ニュースステーション」のコンビの声が戻ってきます!

2017年9月16日(土)放送「久米宏 ラジオなんですけど」http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170916140000

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)