TBSラジオで毎週土曜日、午後1時から放送している「久米宏 ラジオなんですけど」。
9月2日(土)放送のゲストコーナー「今週のスポットライト」では、セメントとコンクリートの業界紙「セメント新聞」の広報担当、猪熊夏子さんをお迎えしました。2年前にスタイリストから転身して、業界をもっとPRしようと取り組んでいます。

みなさんはセメントとコンクリートの違いはおわかりでしょうか? セメントはコンクリートの材料。セメントに水・砂・砂利を混ぜて作るのがコンクリート。セメントは粉で、どろどろしているのは生コンクリート。セメントは大手の寡占、コンクリートは中小企業が大半。セメントは巨大な工場が全国に30ほどあり、コンクリートは小さな工場が全国各地にたくさんあります(3000ほど)。

ほかにも…
- 「ミキサー車」は、本当は「アジテータ車」という。
- 生コンクリートを運搬する時間は90分と決められている。
- 生コンは乾燥して固まるのではなく、化学反応によって固まる。
と、知らないことがいろいろありました。

猪熊さんは高校卒業後、アメリカ留学を経て、スタイリストのアシスタントとして修業を積んだのち、2007年、26歳で独立。女性ファッション雑誌を中心に華やかな世界で8年間、活躍してきました。ところが2年前(2015年)、34歳になって、ファッションとはまるで畑違いの業界へ突如、転身。「セメント新聞社」に入社したのです。
どうしてそんな地味な業界に転職したの? まわりの人たちにはそう言われましたが、猪熊さんはそんなふうには思っていませんでした。というのも猪熊さんは、アメリカ・ラスベガスで毎年開催されている「ワールド・オブ・コンクリート(WOC)」という世界最大のコンクリート関係の国際展示会を何度も見ていたので、「コンクリートはカッコイイ!」というイメージができあがっていたのです。

猪熊さんを毎年WOCに連れていっていたのは叔母の和子さん。この和子さんがセメント新聞社の社長なのです(なんと、元タカラジェンヌ!)。セメント新聞社は、叔母の父(つまり猪熊さんの祖父)・猛雄さんが1948年(昭和23年)に設立しました。当時は敗戦の焼け野原からようやく立ち上がろうかという時で、日本にはまだ生コン工場が一つもありませんでしたが、これからはセメントとコンクリートの時代になるということで、新たな産業を振興しようと「セメント新聞」を創刊したのです(その貴重な創刊第1号の新聞をスタジオにお持ちいただきました)。

「セメントとコンクリートってすごいんです。この業界に入ってみてびっくりしました」と猪熊さんは言います。これもあまり知られていないことですが、セメントやコンクリートは実は私たちの社会に大きく貢献しているんです。例えば、セメントには産業廃棄物や都市ゴミ、汚泥などが有効活用されていて、1トンのセメントのおよそ半分は廃棄物が利用されているんです。災害時の復旧の際に大量に出るがれきや土なども、地域のセメント工場で処理・再利用されているんです。またコンクリート会社も社会貢献していて、地震などで断水した時に、生コン工場の地下に確保している大量の水をミキサー車(本当はアジテータ車ですけどね)に入れ、消防車が入っていけない現場に運ぶことがあるそうです。
建物や土木施設に使われる意外に、セメントやコンクリートがこんなに大きく役立っているということは、あまり知られていないかもしれません。猪熊さんは、せっかくすごいことをやっているのだから世の中にもっとPRしようと日々、取り組んでいます。
猪熊夏子さんのご感想

久米さんにセメントと生コンクリートを説明していただいて、私より詳しいかもしれないと思いました。
今日は生コンの話が多くなりましたが、セメントのほうもPRしたいことはまだまだたくさんありますね。ありがとうございました。
次回のゲストは、老舗カレンダーメーカー「トーダン」の社長・強口邦雄さん
9月9日の「今週のスポットライト」には、1903年(明治36年)創業のカレンダーメーカー「トーダン」の社長・強口邦雄(こわぐち・くにお)さんをお迎えします。2019年からの新しい元号に変わるということで、大変な状況になっているカレンダー業界の話をお聞きします。