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イスラム教徒の墓地問題▼人権TODAY(8月26日放送分)

人権TODAY

毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時15分頃から放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは…2017年8月26日放送「イスラム教徒の墓地問題」です。

イスラム教徒は土葬

日本に在留する外国人の数は年々増えていますが、その中にはイスラム教徒が10万人いると言われています。文化や生活習慣の異なる国で暮らしていくことは大変ですが、一番大変なのが実は「亡くなった後」なんです。現在、日本では一般的ではない「土葬」が、彼らにとって宗教上のルールだからです。

日本イスラム文化センター・事務局長のクレイシ・ハールーンさん
イスラムの場合は火葬ではなく土葬です。土からできた人間を土に返すという考え方。イスラムの場合は葬式や埋葬も非常に簡単です。亡くなった後は、近くの地域で早めに埋葬するという教えがあるんですね。死者や先祖に対して「私たちを守ってください」という祈りではなく、神様に「亡くなったおじいちゃん、おばあちゃんを赦してあげてください。天国に入れてあげてください」という祈りです。

「最後の審判」の日に肉体を持って復活すると考えるイスラム教徒にとって、土葬で葬られることは重要です。日本に在留するイスラム教徒の人たちが亡くなった場合、生まれ故郷に遺体を空輸して土葬するという人もいますが、経済的余裕がある人だけです。生活基盤を日本に置く彼らの多くが望むのが日本国内での土葬です。
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土葬できる霊園がない中で…

土葬は法律で禁止されてはいませんが、衛生上の問題や用地確保の難しさ、美観などを理由に、火葬した遺骨しか埋葬できないタイプの霊園がほとんどです。日本に定住しているイスラム教徒は土葬ができる墓地を探さなければなりません。そんな中、土葬のための区画を整備している霊園も日本各地に点在しています。茨城県常総市にある「谷和原御廟(やわらごびょう)」ではもともと、仏教のお寺の境内にあるごく普通の霊園でしたが、一部を土葬専用の区画として整備しました。茨城県内で墓石施工会社を経営する寺島隆次郎(てらじま・たかじろう)さんは、この区画を管理し、土葬を希望する人たちのコーディネートをしているということでお話を伺いました。

寺島隆次郎さん
埋葬するところがなくて困っていると。私も霊園関係の仕事を30年やっていますので、頼まれたんです。私も随分、地方を探したんですけどね。そしたら、たまたまあそこ(谷和原御廟)が私が動いているのを知っていたもんで、「よかったら利用しないか?」と言ってくれたんで、こりゃ嬉しいなと。それで(イスラム教の団体に)報告したら早速、「じゃあ、そこでお願いしたい」と。
寺島隆次郎さん

寺島隆次郎さん

寺島隆次郎さん
土葬というと棺桶のまま埋葬されるものですが、ムスリムはそうではない。棺から出して、お清めと言って真水で体を拭く。そして布を巻いてから埋葬。埋葬は頭を北に向けて、体を西に向ける。要するに顔をメッカに向けて埋葬すると。土葬といっても土に直に埋めるのではなく穴を2段に掘って、深い方に遺体を入れる。そこに木の板を敷いて、上に土を被せる。だから中は空洞になっているんです。

日本人と思われる名前や子どもの墓も

今後、増えることを想定して、こんもりと盛られた土が順番に並んでいます。誰のお墓なのかを示す石板のようなものはありますが、大きな墓石はありません。印象的だったのは、日本人の名前が刻まれた石板がいくつかあったことです。イスラム教徒である外国人の夫と結婚して改宗した日本人の妻の墓です。彼女たちも同じように土葬で葬られています。そして、小さな盛り土が密集している場所がありました。土葬のルールは胎児でも同じで、妊娠後、一定期間経過した胎児は人間とみなし、他の人間と同じように土葬をするのだそうです。宗教観の違いが感じ取れました。
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死への配慮も相互理解の一部

イスラム教徒に限らず、日本に定住する外国人が増加していく中で、今後様々な摩擦が生じてくることは容易に想像がつきます。
異なる文化を持つ者同士がどのように生きていくのかと同時に、亡くなった後の配慮についても考える時が来ているのかもしれません。

(担当:瀬尾崇信)