■クソゲーに当たったとしても、すぐ攻略ウィキを見ちゃうんで大丈夫です
「マイゲーム・マイライフ」を聞くたびに、一言に「ゲーム好き」と言っても、好きなのゲームのジャンルも違えば、好きなプレイスタイルも異なるものだと思わされます。今回のゲストであるDJのRAM RIDERさんも、今までのゲストにはないゲームの楽しみ方をしている人でした。
ちなみに、ゲームとの付き合いについては、こんな発言をしていたRAM RIDERさん。
RAM RIDER「自分がゲームを好きだと自覚したのは、20歳くらいの、みんなが社会に出始めてゲームを卒業したのに、いつまでたってもやってる自分。そこで、あれ、俺、ゲーム好きだったのかな?」
この感じ、ちょっとわかる気がします。私自身、ゲームもマンガもアニメも、ふんわりとまとめて全部好きだと思っていたのですが、大人になってからも寝食を忘れて楽しんでいるのはゲームだな、と結構最近になってから気づいたものです。
さて、そんなRAM RIDERさんのゲームの仕方は「クリアする」という目的まっしぐら。「クリアできない苦しみ」や、「クリアに向かう中であれこれ試行錯誤して悩むこと」などには興味がないようです。ですから、『桃鉄』も当然一番弱いCPUと戦います。
RAM RIDER「基本的にCPUの敵は最弱の設定で、50年の中でいかに効率よく回って、前回の最高資産を超えるのを目指すんです」
宇多丸「それって、でもさ、自分の出した記録との戦いなんだ?」
RAM RIDER「そうです。キングボンビーという意地悪してくるキャラクターがいるのですが、一回もそれに触れずにクリアするのが基本。キングボンビーはCPUに押し付けたまま、いかに逃げ切るか」
宇多丸「ストイックというか、自己完結型というか(笑)」
そして、ゲームの途中で詰まりそうになったら、あっさり攻略サイトを見てしまうとのこと。
宇多丸「やってていわゆるクソゲーに当たることはないの? これはつらい、というような」
RAM RIDER「あったかなあ? 結局、攻略ウィキを見ちゃうんで」
宇多丸「ラムちゃんの、そこのさ、割り切りがいいよね(笑)。クリアするためには別にそこはいい、みたいな感じが」
RAM RIDER「たぶんその、ゲームを作った人はどういうストーリーを考えたんだろう、という作者の人との対話がしたくてゲームをやっていると思うので、クリアしたいというのがまずあるんですよね」
おそらくですが、このRAM RIDERさんのゲームのプレイスタイルは、かなりの少数派なのではないでしょうか。誰もが言うでしょう、「攻略サイトなんか見たらつまらない!」と。でも私、放送を聞きながら「わかるなぁーーーーー!」と頷きまくってしまいました。「作者との対話」とはよくぞ言ってくれました! 作者の描いたストーリーを味わえれば、ゲームに難易度なんていらないんです。メタルスライムなどを倒すなどして、ほんの少し頑張って経験値を稼げれば、誰でもクリアできるくらいの難易度がちょうどいいのです。
■今回のピックアップ・フレーズ
RAM RIDER「(出演前の事前アンケートで)『今までにやったゲームを教えてください』と聞かれたんですが、今までに食べた食べ物の種類よりも多いと思いますもん」
文/朝井麻由美(ライター、コラムニスト)