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埼玉・蕨市で共生をめざすクルド人難民たち

人権TODAY

ケバブの屋台蕨の繁華街をパトロールするクルド人の若者たち毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で午前8時15分ごろに放送している「人権トゥディ」。人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・埼玉・蕨市で共生をめざすクルド人難民たち

埼玉・蕨市で共生をめざすクルド人難民たち

2016年3月20日(日)は「春分の日」。埼玉県蕨市の蕨市民公園では毎年「春分の日」には中東のクルド民族の祭り「ネウロズ」が開かれています。蕨市や隣の川口市周辺にはクルド人難民が「日本クルド文化協会」の推測では、1200人から1300人ほど住んでいるんです。

クルド民族が住む地域はイラク、イラン、トルコ、シリアなどにまたがっていて、「国を持たない世界最大の民族」と言われます。ほとんどがイスラーム教のスンニ派。日本に住んでいるのは、ほとんどがトルコから逃れてきた難民です。トルコでは、以前はクルド民族の「存在自体」が否定され、クルド語の使用も禁止されていました。(いまは若干緩和)あと、最近、ごく少ないですが内戦の続くシリアから逃れてきた人もいます。1990年ごろから蕨市付近に住み始め、今は、自分たちの住む街に愛着を込めて「ワラビスタン」と呼んでいます。

そのクルドの人たちの有志が毎週日曜日、蕨市の繁華街などでパトロールをしています。日本の若い人でもよくあることですが、クルド人の若者が街角でや店の前でいわゆる「たむろ」して大声でしゃべっていると、言葉の解らない日本人が「何かあったのか」と誤解して、警察に通報することがあるんです。それが、実際に事件だったことはありません。パトロールを企画した人たちは「クルドでは、みんな集まって、平和に自由にしゃべっているのが癖になっています。集まってしゃべるのが好きだから、日本人のみなさんから見ると、喧嘩しているのではないかと思うこともあるんですね。文化の違うところもあるし、習慣の違うところもありますが、この地域で住んでいる日本人と一緒にやっていきたいんです」と話します。

パトロールは日曜日の夕方、主にクルド人の若者と、協力している日本人が一緒に行っています。日本人の友好団体である「日本クルド友好協会」と書かれた、オレンジ色の派手なジャンバーを来て、日本人にもクルド人にも「あ、パトロールだ」とわかるようにしています。そして、パトロールしながら、繁華街のごみ拾いもしています。

JR蕨駅前に着くと、捨てられている空き缶とか、たばこの吸い殻を拾いながら、繁華街をパトロールします。参加していたクルド人の若者は「みんな人間として考えるなら、自分の周りとか住んでいるところとかきれいにしないといけないし。自分でもやって、子供たちにもちゃんと見せないと。子どもたちも自分の住んでいる街をきれいにしないとだめって、自分の頭に入れないと」と話します。駅前のファミリーレストランの入り口に数人のクルド人がたむろしていました。何かクルド語のやりとりをすると、全員、どこかに移動して行きました。何を言ったのか聞くと「ここに固まっていてはだめですよ。人の迷惑になりますよ、と言ったんです」ということでした。正確な統計があるようなものではありませんが、去年の10月ごろは毎日のように警察に通報がありましたが、そのころよりは減っているし、パトロールの人たちを見ると、散っていくようになったそうです。融資ではこのほかにも日本人と一緒に、「ネウロズ」の祭りで使う蕨市民公園を月一回清掃しています。

こういう日本人に誤解を招かないように、という消極的なことだけではなく、最近、日本人向けに「クルド料理教室」も始めました。そして、3月20日、春分の日の「ネウロズ」。日本人にも来てもらおうと1週間前の日曜日は、蕨駅前でチラシをクルド人の若者たちが配りました。

「ネウロズ」は、セレモニーがあった後は、民族衣装を着た女性たちを中心にクルドの伝統的なダンスが続きます。ケバブの屋台やクルドに関する本や音楽CDの販売もあります。2016年は日本人とクルド人が組んだグループのライブもあるそうです。「ネウロズ」について、「日本クルド文化協会」事務局長のチョラック・ワッカスさんは「民族の一番大事な祭りです。宗教の祭りもあるんですが、これは別で、クルド人の歴史的な、文化的な、伝統的な、一番大きい祭りです。春が始まったという意味もあるんですけど、クルド人は独立している、という意味もあって、今までやってきたんです」と説明します。

中東の民族で縁遠く、また戦争のニュースなどでしか知られていない面もありますが、地域の日本人もぜひ参加して、まずクルドの文化や歴史を知り、そして、その先に、難民認定申請中で不安定な状況の人が多く、医療、教育、仕事の面で苦しい生活を送っている人も多い現状を知ることが大切でしょう。

東京オリンピックが近づき、「多文化共生」がうたわれる中、身近な隣人としてのクルド民族について知ってもらいたいと考え、リポートしました。(ネウロズの写真は2015年のものです)

2016年3月20日(日)の「ネウロズ」は、蕨市民公園で10時から16時までです。問い合わせは日本クルド文化協会 080-4126-1707まで。

(担当:崎山敏也)