★あえて「2番目」それぞれの事情
今日は、「2番目に凄い」と宣伝しているお店について。最近、あちこちで目にするようになったので、いったいなんで2番目なのか?なんで1番じゃないのか?4月18日TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」(月~金、6:30~8:30)の「現場にアタック」で取材報告しました。
★「世界で2番目においしい」
最初にご紹介する「2番目」は「おいしい」。渋谷でパン屋さんを営む工藤哲也さんに聞きました。
- 世界で2番めにおいしい 焼きたてメロンパンアイス 店長 工藤哲也さん
- 「『世界で2番めにおいしい焼きたてメロンパンアイス』という、焼きたてのメロンパンにアイスを挟んで売っています。元々メロンパンの移動販売をしていて、その移動販売をしている時にメロンパンを教えていただいた師匠がいまして、その師匠が1番。我々は弟子だから2番ということで、この名前をつけさせていただきました。お客さんは、『2番目?1番はどこ?』と聞いてくるんですが、『1番おいしい食べ物は母親の手料理。母親の手料理にはかなわないから』と答えたりします。」

「世界で2番目においしい 焼きたてメロンパンアイス」メロンパンに、バニラなどのアイスが挟まっています。お値段400円
金沢が発祥のこのお店。4年前からチェーン展開をはじめて、いまでは約50店舗のお店を全国に構えています。渋谷店を3年間切り盛りする工藤さんは、「教えてくれた師匠がいるから、私達は2番なんです」という謙虚な理由を話してくれました。
数ある「2番目」のお店でも、この「2番目においしい」というのは、いろいろあって、都内にはこのほか、「2番目にうまいシュークリーム」や「2番目にうまい唐揚げ」など、続々とできていました。
★「日本で2番目に古い」
次の「2番目」は「2番目に古い」。御徒町にある佐竹商店街振興組合の秋本邦雄さんのお話です。
- 佐竹商店街振興組合 秋本邦雄さん
- 「商店の集まりは古くからいっぱいありますが、佐竹商店街は、組合を結成したのが日本で2番目に古い商店街です。明治31年に組合が結成され、東京では1番古い。(『東京で1番』とうたっても良かったのでは?)2番の方が控えめで良いのかなって。上野や浅草と違って近隣型商店街ですから、我々も『1番!1番!』というのじゃないですし。」
20年以上前に、商店街の組合の役員が、自分の商店街をアピールできることはなにかないかと、図書館の文献でさがしていたところ、日本最古の商店街が金沢の片町商店街で、自分たちの佐竹商店街は「東京で1番古く、日本で2番目」と書いてあるものを発見。それで、商店街の真ん中に「日本で2番目に古い」と書いた幕を掲げたそうですが、その際、我々は1番より、広い範囲で2番の方が合うのでは、と控え目な意図で2番を選んだそうです。
★「秋葉原で2番目に安い」
最後は「2番目に安い」。秋葉原で2番目に安い店という看板を掲げるPCNET秋葉原ジャンク通り店。なぜ2番目を掲げているのか、PCNETの尾﨑伶さんに聞きました。
- PCNET 尾﨑伶さん
- 「元々あそこのお店にZOA(ゾア)さんというお店があったんですけど、そこで『秋葉原で2番目に安い店』といううたい文句でやってて。非常に土地に根付いた看板で、それをそのまま継承したいという意思があり、前のオーナーさんの承諾を得てそのまま引き継いでいます。あれが名物とまでは言いませんけど、秋葉原エリアで認知度の高い看板なんです。それを外すのはもったいないし、お客様も寂しくなっちゃうので、つけっぱなしにしています。」

PCNET秋葉原ジャンク通り店の、一番目立つ位置に掲げられている看板「秋葉原で2番目に安い店」
元々ZOA(ゾア)というパソコンショップがあったところに、2年前、PCNETが新たなパソコンショップをオープン。その際に、秋葉原で馴染みの深い「秋葉原で2番目に安い」という看板をそのまま継承したという話で、この“継承”はネット民はじめファンの間で歓迎されたそうです。
★お客さんも「2番目の安さ」でいいの?
一方で、疑問なのは、この「2番目に安い店」で買い物する人たち・・・。最後に、1番安い最安値のお店ではなく、あえて2番目に安いお店で買い物をしたお客さんに、最安値じゃなく、2番目に安いところで良かったのか、聞いてみました。
- ●「(この店、秋葉原で2番目に安い店なんですけど)えっ、いま言われて気がつきました。SDカード買って32ギガが千いくらで本当に安い。看板観てたら一番目さがしちゃうね。」
- ●「(この店、秋葉原で2番目に安い店って言うのは知ってました?)はい、知ってました。
(一番安い店じゃなくて大丈夫ですか?)ものによっては1番安いときもある気がする。なので2番目でも大丈夫です。」
- ●「実際に手にとってみられるのと、店員さんも丁寧にさわらせてくれたり教えてくれたりする、そういうところの安心感もあります。2番目1番目だろうが、1番はやっぱり品質、続いて値段。」
- ネットで最安値を検索できるサイトなども人気ですが、実際の店舗で買う人には、看板が1番だろうが2番だろうが、実際に手にとって店員さんに聞く安心感をとる人も多かったです。

田中ひとみが「現場にアタック」でリポートしました!