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右肩上がりに患者が増えている難病・潰瘍性大腸炎とは!?

森本毅郎 スタンバイ!

潰瘍性大腸炎は、30年前には1万人に届かなった病気だったのに、2013年には、16万人と、右肩上がりに増えています。しかも、国が難病と指定する病気です。どんな病気なのか、予防や治療について。4月10日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★潰瘍性大腸炎とは!?

症状としては、大腸の粘膜に「炎症」が起きるところから始まり、もっと深い部分までただれてしまう「潰瘍」まで起きる病気です。その範囲は、直腸という一部だけに炎症が起きる人から、盲腸も含めて大腸全体に症状が起きる人もいます。潰瘍性大腸炎は、幅広い世代の人に起こるんですが、20歳代から40歳代という働き盛りの世代が、発病のピークになっています。

★のたうち回るほどの腹痛

大腸の働きとして大事なのは、水分吸収、便通調節です。それが障害されてしまうので、おなかを下しやすくなります。例えば、電車で移動するときも、トイレ付きの車両のトイレ近くに乗らないと厳しいなど、 日常生活での支障が出てきます。症状がひどくなると、貧血や体重減少、倦怠感が起きて、何より辛いのは、お腹の痛み。おなかを下すというと、ちょっと痛む程度と思われますが、ひどい場合は、のたうち回るほどの激痛で、顔色は土気色になって動けなくなるくらい痛い。症状は大腸だけでなく、ほかの場所、皮膚や関節、目などに支障が出ることもあります。そして、7・8年以上、悪い状態が続くと・・・大腸がんが出来やすいと言われています。

★診断は消去法?

「潰瘍性大腸炎」は、パッと診断がつけられません。この病気の特徴でもあるんですが、症状が良くなったり悪くなったりします。一週間お腹を下す症状が続いたと思ったら、そのあと1ヶ月は何も無いことや、数年後に症状が再燃するということもあります。それこそ、お腹を下すことは、風邪のときや、ストレスが多い時に起きることもあります。また他の病気で、カンピロバクター腸炎という食中毒や、アメーバ赤痢、虚血腸炎、腸の結核など症状だけでは、おいそれと見分けがつきにくい。この潰瘍性大腸炎は、他の似ている病気を「これは違う」「これも違う」と 一つ一つ除いていって、最後に潰瘍性大腸炎ですねと、と診断がつく病気です。

★難病指定のわけ

病気が起きる仕組みがまだ解明されておらず、根本的治療がない病気なんです。潰瘍性大腸炎を起こす要因の1つとして、免疫異常と考える研究者は多くいます。免疫異常は、体内に細菌やウイルスなどの外敵が侵入したとき、免疫が、自分を守る働きですが、何らかの異常で、自分の体を攻撃してしまいます。実際、大腸で炎症が起きているときは、免疫の役割をする白血球の活動が活発になることがわかっています。そうした異常が起きる原因は、食生活や生活習慣の乱れなど、幾つかの原因を指摘する声はありますが、はっきりしないのが実情です。潰瘍性大腸炎を現代病と言う人もいますが、実際、患者数は、右肩上がりに増えています。腸が本来持っているバリアー機能が壊され、現代人の腸が、危険な状況ともいえます。

★治療の基本は 「食事」と「薬」

9割の人は、「食事」と「薬」で適切な治療をすると、状態は良くできます。食事は、脂肪や消化の悪いものは避けて体力維持を心がけます。具体的には、食物繊維を多く含む食品や発酵食品。タンパク質は、脂肪の少ない、白身魚や大豆、卵をとるよう心がけます。また、香辛料や珈琲、お酒などの刺激物を避けるなど食事でコントロールします。そして、薬は、炎症を抑える薬を使っていきます。以前は薬を飲んでも、オムツは必要、という状況でしたが、ちょっと前に比べると、薬も効くものが出てきています。

★白血球を取り除く?

それだけでは十分にコントロールできない場合、白血球除去療法という、白血球を取り除いてしまう治療法もあります。白血球が腸内で暴れている状況なので、その活動を抑えるのが狙いです。具体的には、1週間に1回、1時間血液を体外に取り出します。フィルターを通して白血球を取り除いた後、血液を体に戻します。1・8~3リットルの血液をフィルターに通して、濾し取るわけです。それを5週間から10週間続けます。この治療は、保険適用も認められていて、実際、症状は改善されています。

★最終的には大腸の全摘出

ただ、ここまでの治療がうまくいかない場合は、手術で大腸を切り取ることになります。 患者のおよそ5%が、切除手術を受けている現状があります。切除の判断は、患者の体に危険な状態なことが起きているときで、大腸が破れた・大量出血をした、中毒症状が出た、この3つの場合、切除に踏み切ります。難病だから自分は関係ない病気と思わず、「潰瘍性大腸炎」を疑ってみてください。また一度なると、どんな食事や生活をしても、再発の可能性は残る病気なので、 根気強く「食事」と「薬」の治療を続けましょう。治療をきちんと続ければ、この病気になった患者さんと、そうでない人との平均寿命はまったく変わりはありません。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170410080000

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