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プロが選んだ「切ない春のジャズ・スタンダード」4曲

ジェーン・スー 生活は踊る

春を歌った曲といえば、明るいものを思い浮かぶ人が多いと思いますが、実は切ない曲が多いんです。音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが厳選した4曲をご紹介します。

生活は踊る20170407

【高橋芳朗】
昨日番組お抱えの気象予報士の増田雅昭さんから「冬明け」宣言があったことを受けて、今回は春を題材にしたジャズ・スタンダードの特集をお届けしたいと思います。で、春を歌ったジャズ・スタンダードにはあるひとつの傾向があるんです。春というとウキウキワクワク心踊る季節だからさぞかし楽しくて明るい曲がばかりなんだろうと思われるかもしれませんが、実は切なくて悲しい歌詞の曲が多いんですね。

【堀井美香】
へー、そうなんですね。

【高橋芳朗】
まずはその代表的な例として「Spring Is Here」という曲をエラ・フィッツジェラルドのバージョンで聴いてみたいと思います。「春が来た」という楽しげなタイトルに反して、とても悲しい曲になっています。堀井美香アナウンサーに歌詞の大意を朗読をしていただきますので、そちらと併せてお楽しみください。

M1 Spring Is Here / Ella Fitzgerald

【堀井美香・朗読】
春が来たのに、なぜ心が踊らないの?
春が来たのに、ワルツに心が弾まないのはなぜ?
欲しいものもなければ、やりたいこともない
きっとそれは、誰も私のことを必要としていないから
春が来たのに、そよ風が心地よく思えないのはなぜ?
夜空に星が現れても、なぜ胸がときめかないの?
きっとそれは、誰も私のことを必要としていないから

【高橋芳朗】
エラ・フィッツジェラルドの1956年の録音で「Spring Is Here」を聴いていただいております。で、なぜ春について歌ったスタンダードに悲しくて切ない曲が多いのかというと、やっぱり音楽というものは基本的に心が満たされない人たちだったり、孤独な人たちのためにあるものだからなんだと思っています。特に春みたいな希望に満ちた季節は光と影のコントラストが一層強くなってくるだろうから、そういうときにこそ影の人たちに音楽が必要なんだと思いますし、そんな人たちのために曲をつくって届けるのがポピュラー音楽/大衆音楽の本質であり真髄なんだと考えています。

【ジェーン・スー】
うんうん。

【高橋芳朗】
では、2曲目にいってみましょう。2曲目は「I’ll Remember April」という曲をジュリー・ロンドンのバージョンで。これも「あなたとのあの4月の思い出があれば私は生きていける」と歌うとても切ない曲になっています。

M2 I’ll Remember April / Julie London

【堀井美香・朗読】
素敵な一日も夕暮れと共に幕を閉じて
私たちはこの日の出来事に別れを告げる
あなたと一緒に歩いた道をひとりで辿りながら
私は4月の思い出に浸っている
あの4月、あなたは私を愛してくれた
あなたの唇は温かく、春はまだ訪れたばかりだった
もう秋の寂しさなんて怖くない
あなたとの、あの4月の思い出がある限り

【高橋芳朗】
続いては「Spring Can Really Hang You Up The Most」という曲。今度は男性シンガーのマーク・マーフィーのバージョンで聴いてみたいと思います。タイトルは直訳すると「春は最も憂鬱になる季節」「春はいちばん気分が滅入る季節」みたいな感じですかね。でもこれは別に花粉症の人について歌った曲ではありません。なぜこの曲の主人公は春になると気分が滅入るのか、堀井さんの歌詞朗読を聴いてみましょう。

M3 Spring Can Really Hang You Up The Most / Mark Murphy

【堀井美香・朗読】
今年の春の気分は、まるでレースに出られない競走馬のよう
部屋にひとり寝転がって、ぼうっと天井を見つめてる
春は、本当に憂鬱な季節だ
年が明けたころは、まだ恋は確かなものだったのに
4月になったら、幽霊みたいに消えていった
春はちゃんとめぐってきたというのに
あなたはどこへ行ってしまったのだろう?
春は、本当に憂鬱な季節だ

【高橋芳朗】
切ない春のジャズ・スタンダードは他にもまだあって、有名なところでは「Spring Will Be a Little Late This Year」なんて曲もあります。これは「今年の春の訪れは少し遅くなりそう。なぜなら、あなたが去って私の心はまだ冬のままだから」という歌詞になります。

【ジェーン・スー】
ここにいるみんな、なぜかしてもいない失恋をしたような気持ちになっていますね。

【高橋芳朗】
ありもしないドラマを勝手に背負って切ない顔をしてる(笑)。

【ジェーン・スー】
疑似失恋だ!

【高橋芳朗】
では、最後はちょっと明るい春のジャズ・スタンダードで締めくくりたい思います。最後に聴いていただくのは「It Might As Well Be Spring」。こちらはスタン・ゲッツとアストラッド・ジルベルトのコラボレーションでお届けしましょう。この曲の日本語タイトルは「春の如く」。そこからもわかるように、厳密に言うと春の曲というよりは春の訪れを目前とした2月〜3月に聴くとちょうどいい感じですかね。内容としては恋を夢見る状態、「まだ春が来ていないのに春の熱にかかってしまったみたい」という歌詞になっています。いわゆる「スプリングフィーバー」ですね。これは1964年にニューヨークのナイトクラブで演奏されたライブバージョンです。

M4 It Might As Well Be Spring (Live) / Stan Getz feat. Astrud Gilberto

高橋芳朗のミュージックプレゼント 切ないジャズ・スタンダート特集http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170407111956

radikoで放送をお聴きいただけます(放送後1週間まで/首都圏エリア無料)

※Text by みやーん(文字起こし職人)

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当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

4/3(月)

(11:04) Why Don’t We Fall In Love / ohn Valenti
(11:13) Whatcha Gonna Tell Your Man / Boz Scaggs
(11:43) Got to Be Lovin’ You / Erik Tagg
(12:15) Let’s Just Live Together / Brian Elliot
(12:50) Figli Delle Stelle / Alan Sorrenti


4/4(火)

(11:02) Move On Up / Curtis Mayfield
(11:14) Sugar Sugar / Willie Henderson & The Soul Explosions
(11:43) This Love Is Real / Jackie Wilson
(12:15) Could I Forget You / Tyrone Davis
(12:50) Love Land / The Lost Generation


4/5(水)

(11:03) Mayor of Simpleton / XTC
(11:14) Figure of Eight / Paul McCartney
(11:42) Cheer Down / George Harrison
(12:19) You Got It / Roy Orbison


4/6(木)

(11:08) Birthday / The BEATLES(スーさん選曲)
(11:17) I’m Nobody’s Baby / Ruth Price
(11:44) This Could Be The Something Big / Carole Simpson
(12:52) Swingin’ Down The Lane / Kay Starr


4/7(金)

(11:02) Lady (You Bring Me Up) / The Commodores
(11:42) Razzamatazz / Quincy Jones
(12:17) Evening of Love / The Main Ingredient
(12:50) Let’s Go Another Round / Inner Life