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カゼと間違え死亡例も。ウイルスで発症する糖尿病

森本毅郎 スタンバイ!

国民病とも言われる、糖尿病。一般的に知られる糖尿病と言えば、肥満・食べ過ぎなどが発症に関わる病気。それとは別に、カゼなどのウイルス感染をきっかけに発症し、カゼと間違って診断されやすい、糖尿病もあります。カゼと間違いやすい糖尿病とは?4月3日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

★糖尿病

まず、糖尿病とはどんな病気か、というところから、簡単にお話します。糖尿病は、血液の中に含まれる糖分が、正常値を超えて、異常に高くなる状態のことです。糖を体に取り込むのを助けるのは、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンです。・糖尿病の人は、インスリンが何らかの理由で、うまくコントロールされなかったり、分泌されず、血液中の糖が、体の筋肉や脂肪などの組織に取り込めない・・・。だから、血液に糖が残ったままになって、血糖値が下がりにくい状態になります。

★怖い糖尿病3大合併症

血糖が下がらないと、怖い合併症への道を歩むことになります。その怖い3大合併症は、腎臓と、目、それに、手足の神経に、やってきます。腎臓は、血液をろ過し、きれいにする役割をもちます。血液中の糖が高い状態が続くと、腎臓内で動脈硬化が起き、機能しなくなり人工透析に。目には、糖尿病を患って10年もたつと、程度の差はあれ何らかの障害が出てきます。・失明原因の第一で、「糖尿病網膜症」という合併症で、年間3千人以上が失明しています。手足には、神経障害が起こり、感覚が鈍くなり、知らないうちに傷が出来てしまう。傷を放置すると、組織が腐敗し、死んでしまう、壊疽が起きます。そんな、糖尿病患者・予備軍は合わせて2000万人を超えていて、まさに国民病です。

★1型と2型の違い

そんな怖い糖尿病で、一般に知られている原因は、肥満・ストレス・食べ過ぎ・運動不足というものです。長年の生活習慣が原因となって、徐々に血糖値が下がりくい状態になってしまいます。こちらの糖尿病を、医学的には、「2型」の糖尿病と言います。一方、カゼと間違いやすい、「1型」糖尿病というのがあります。こちらは、ウイルス感染が関係して、糖尿病になってしまいます。ウイルスは、インフルエンザ・風疹・おたふくカゼ、その他、胃腸炎などを起こすエンテロウイルスなど、数多くあります。       

★ウイルス感染で糖尿病!?

ウイルス感染で、免疫の働きがうまくいかなくなり、糖尿病になると考えられています。本来、免疫は、細菌やウイルスなどの異物を攻撃して排除しようとします。これが、ウイルスに感染した時、間違って、すい臓の細胞を攻撃してしまう。インスリンをつくるすい臓の細胞に炎症が起き、壊されてしまうので、糖の上昇を抑えるインスリンがうまく、分泌されなくなってしまいます。

★1型糖尿病は突然に・・・

糖尿病全体の、「1~3」パーセントが、実はこうしたことが原因で起きます。子どもの発症が多いといわれますが、どの年代でも発症する可能性があります。そして実は、世界的に多く、ちょっとずつ増えています。世界では毎年8万6千人のこどもが発症し、その数は毎年3%ずつ増加している病気です。ある特定の遺伝子を持つ人が、発病する確立が高い、という研究もありますが、では、その遺伝子を持っていれば、全員が必ず発症するということでもない。この1型糖尿病は、長年の生活習慣ではなく、前触れもなく、発症します。

★さらにカゼと診断間違いやすい

怖いのは発症が突然で、さらにカゼのような症状が出てくるので、診断が難しいことです。

実際、私が取材したケースで、こんなことがありました。中学生の子どもが異常な喉の乾き、不眠、倦怠感などを訴えました。母親が病院に連れて行って診てもらうと、カゼと診断されました。お医者さんは、ブドウ糖の点滴をした後、カゼ薬を出して、一度目の診療は終わり。しかし、その夜子どもの脈拍が速くなり、病状が悪化し、今度は救急車で運ばれることに。ところが、ここでもカゼと診断され、2日後、結局、糖尿病でお子さんは亡くなった・・・。

★異常な喉の渇きとだるさに注意!

症状からカゼと間違え、ブドウ糖の点滴をしてしまう、こんなミスが起きることがあります。1型糖尿病でも、インスリンの注射で、治療していくことが、必須です。治療は、2型糖尿病の進行した人でも同じです。自分で血糖を測って、インスリン注射を1日、4回行う治療です。この治療をしないと、中学生のケースのように命に関わるので、ただのカゼかどうかを、なるべく、早く見分ける必要があります。ポイントは、カゼ症状の後に出てくる、「異常な喉の渇き」と「だるさ」と言われています。「喉の渇き」・「だるさ」は、血液が酸性に傾く、糖尿病に特徴的な症状です。と言っても、実際その判断は難しいところがあるかもしれません。単なる季節の変わり目のカゼと軽く見ないこと。油断せず、Ⅰ型糖尿病の可能性を、頭の片隅に置いてもらえればと思います。

★待たれる治療と予防     

Ⅰ型糖尿病の根治を目指す、医療関係者の研究会が定期的に開かれています。そこでは、2025年を目標に、様々なアプローチの研究が進められています。最も治療の実現性が高い治療法とされるのが、壊れてしまったすい臓を移植する研究です。マサチューセッツ工科大学とハーバード大学の研究チームが、あと、1~2年で、臨床試験を開始予定です。他にも、ウイルスに感染することが原因の糖尿病なので、糖尿病を招くウイルスを狙い撃ちした、ワクチンを開発する研究もされています。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170403080000

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