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新構想”第2青函トンネル”~残したい先輩の知恵

森本毅郎 スタンバイ!

森本毅郎・スタンバイ!ロゴ

 

次の日曜日、3月26日に北海道新幹線が開業1周年となります。”新青森―新函館北斗”間の平均乗車率は、開業から2月末までで、33%、という報告もでましたが、その北海道新幹線が通る、『青函トンネル』について、ある新しい構想が話題になっています。そこで・・・。
「森本毅郎・スタンバイ!」(TBSラジオ、月~金、6:30-8:30)7時35分からは素朴な疑問、気になる現場にせまる「現場にアタック」!!今日3月22日(水)は、レポーター近堂かおりが『新構想”第2青函トンネル”~残したい先輩の知恵』をテーマに取材しました!
まずは、鉄道ライターの鉄道ライターの杉山淳一さんのお話です。

★青函トンネル工事OB発、第2青函トンネル!!

杉山淳一さん
「今年1月1日に、北海道新聞が第2青函トンネルの構想があるよ、と報道をしたんですね。その中で紹介されていたのは鉄道路線強化検討会=かつて、青函トンネルの建設に関わった人たち、そういった方々が、貨物列車と新幹線は分離した方がいいんじゃないかと。北海道新幹線は、貨物列車とすれ違うためにスピードが制限されていて、トンネルの中で、時速140キロしか出せていない。このままだと、せっかく260キロ出せるトンネルを作ったのに、新幹線のスピードアップが出来ない。かといって、貨物列車どけろとは言えない。だったら、もう一本作った方が良いんじゃないの?っていうところからのお話です。」

今ではもう引退しているOBの人たち。青函トンネルを作った建設会社や鉄道会社の人たちが、もう1本、青函トンネルを作ったらどうだろうか、と提案したというのです。あくまでも構想の1つですが、そうしたことが出てくる背景には、現状、北海道新幹線は青函トンネル内では、貨物列車との共用部分でのすれ違い走行時における貨物列車の安全性のため、時速140キロにスピード制限があるのです。でも、時速140キロは、同じ区間を通っていた在来線の特急と同じ速度で、せっかく新幹線が通ったのに!しかも、新幹線やその速度に耐えられるように作った青函トンネルなのに活かしきれていないのはもったいない、ということなのです。しかし、新幹線のスピードアップのために貨物の本数は減らせないのです。その理由を再び鉄道ライターの杉山さんです。

★貨物の需要も上がっています!!

杉山淳一さん
「北海道と本州の間は、飛行機は付加価値の高いものしか運べない。船はスピードが遅いので生鮮食品は運べない。そうすると東京の食卓にあがるたまねぎやじゃがいもは、貨物列車できますし、東京から北海道へは、本とか雑誌とか、生活雑貨ものとかが多い。これはこれでとめてしまうと、北海道の人も私たちもすごく困ります。青函トンネルに限った話ではないんですけど、長距離ドライバーが不足している中で貨物列車に荷物を乗せたいというお客さんが増えているんですけど、実は貨物列車もそんなに増やせない状態になっている。」

貨物も増やしていきたいような、状況なのです!!そこで、ダイヤなどの見直しも検討に検討を重ねているそうですが、いっぱいいっぱいの状態。貨物を減らすと、北海道の人も東京の人も、困ることになってしまいます。つまり、いまのところ、新幹線やトンネルの本来の能力も生かせていない、貨物列車ももう増やせない、という状況なのです。

★”第2青函トンネル”も昔ながらのやり方で!!

そこで、でてくる”第2青函トンネル”。実際に今回出た試算は、貨物列車専用の単線のトンネルをもう1本作る場合、工期15年、費用はおよそ3900億円。参考までに、第1青函トンネルは工期24年、費用7500億円。
”第2青函トンネル”を作ると、15年かかる、という話でしたが、前の青函トンネルを作り始めたのは1964年(昭和39年!東京オリンピックがあった年!)。あれからずいぶん時が経っているので、色々と新しい技術が出てきているのでは?もっと短期間で出来ちゃうのでは?今回の構想を作ったお1人で、青函トンネル建設に直接携わった、吉川大三さんに、どうやって作るのか教えていただきました。

吉川大三さん
「海水の水圧っていのがものすごい大きいんですね、それはやはり、今の技術でもなかなか克服するのが大変で、基本的には昔作ったトンネルの施工と同じ方法になると思います。
どうするかっていうと、地盤の中に、予め注入剤を入れて、トンネルの掘削をしようとする半径の3倍くらいを固めちゃう。そこに水が漏れないようにしてあれば水圧がかからない。海峡の中央部は、指で土が掘れるほどやわらかい。その時は5倍くらいに注入をかけたり、その場に応じて地盤を固めて、掘っていく。」

吉川さんは、青森の竜飛岬に常駐して、青函トンネル建設に携わった人。当時に比べ、他にもトンネルを掘る、新しい工法は増えていますが、海流が強く、トンネル中央部では140メートルの水深になる津軽海峡では、前回と同じこの方法が良いそう。周りを固めては、掘る、を延々と繰り返す・・・。70メートルずつ進むのに、掘るのは一週間、しかし固めるのに1ヶ月・・・トンネルは50キロもの長さ。これは時間がかかりますよね。この方法は前回の青函トンネルを作るときに、試行錯誤して確立した方法なのだそうですが、その試行錯誤は大変なものだったそうです。

★失敗を繰り返して掘り進めた青函トンネル!!

吉川大三さん
「ウソだろって思われるかもしれないけど、注入のセメントの中に、おがくず・スポンジを入れたり、困ったときに色んなアイデアが出てくる。もちろん理論計算もしてるんですけど、実際と合わせてやってきた。水圧っていうのは、ほんとうに経験したものでしかわかりませんけど、大きな鋼材25センチくらいある鋼材が簡単にペチャンと曲がりますからね。そういう恐ろしさ。」

他にも資材の搬入、土の搬出、コンクリートを運んでいる間に固めない方法など、失敗しながら確立したやり方がたくさんあるのだそうです。その話をした吉川さんは、青函トンネル工事のOBたちが”第2青函トンネル”の構想を発表した、その理由は『新幹線のスピードアップ』だけでないとおっしゃいます。

★工事誌には載らない技術を伝えたい!!

吉川大三さん
「今回検討したことは、速度を速めるだけでなく、大きな水圧がかかっているトンネルの掘削技術というのが、建設にも25年、最初から50年も経つ。それに携わった人もいなくなってくる。工事誌を残すんですけど、実際に困ったときは、工事誌を見ても、役に立たないんですよね。記録っていうのは、悪かったことは隠したがるから。やはり経験というものが大きな要素が占めるんで。その部分を記録として残しておく必要があるだろうと。」

実際の経験からしか手に入れられない技術があり、それこそが青函トンネルをつくる上では重要なのだそう。そういった工事の記録には書き入れない細かい技を、形に残して技術を途絶えさせない、ということもまた、今回の”第2青函トンネル”構想の大きな目的なのだ、と熱く語ってくださいました。実際に、青函トンネルを作った現場にいた人のお話は、素人の私にも非常に興味深かったです。『建築は経験工学』という吉川さんの言葉が、とても印象に残った取材でした。


現場にアタック(近堂かおり)


現場にアタックレポーターの近堂かおり

近堂かおりの現場にアタックhttp://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170322073300

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