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日本発のユニバーサル・シアター「シネマ・チュプキ・タバタ」

人権TODAY

毎週土曜日「堀尾正明+PLUS!」内で8:15頃に放送している「人権トゥデイ」。様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

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去年9月にオープン

去年の9月、山手線や京浜東北線などが通るJR田端駅近くに客席が20席余りという小さな映画館「シネマ・チュプキ・タバタ」がオープンしました。「チュプキ」というのは、アイヌ語で「自然の光」を指す言葉です。

市民団体「シティ・ライツ」代表の平塚千穂子さん

視覚に障害があるという方は、一番映画からアクセスバリアがあった方だと思うんですけど、その他にも聴覚に障碍のある方、それからあの車椅子利用者の方も、あと色々こちらでは、小さなお子様をお連れのお母さま達の鑑賞も支援しているんですけども。その劇場に行くのに、何らかその躊躇があった方々っていうのを、みんな安心して、あの楽しめるような映画館にしようということで、“ユニバーサルシアター”っていうことにしました。

「ユニバーサルシアター」の設備とは

聴覚障害者向けには、日本映画であってもセリフの字幕付きで上映。車椅子の方はシネコンなどだと、前方の端のスペースになってしまうことが多いが、「チュプキ」では、後方の観易い位置から鑑賞出来るようになっています。また、小さな子どもが泣いたり、発達障害の子どもが落ち着きをなくしても、親子鑑賞室という完全防音の小部屋が後方に用意されている。この部屋ではガラス越しにスクリーンを見て、音は室内のスピーカーで聞けます。視覚障害者向けには、上映する全作品に“音声ガイド”を用意しています。

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取材した日は『ニーゼと光のアトリエ』という作品が上映されており、音声ガイドでは台詞や効果音、音楽のほかに情景を描写したアナウンスを聴けます。この映画は1940年代のブラジルの精神病院を舞台に、女医のニーゼが、患者に絵を描かせるなど心を自由に表現する場を与えようと試みる作品です。

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後天的に視力を失った方にとっては、過去の記憶を呼び起こしながら映画を楽しめるということです。

「シネマ・チュプキ・タバタ」の観客:岡野宏治さん

ストレスなく普通に映画を観終わった感じがしたんですよ。後から考えると、一切画面を観てないのに、その映画のことを思い出すと、場面が頭の中にイメージ出来るんですよ。だから、昔観た映画と同じように、あー、ああいう場面あったよなっていう…

岡野さんは現在50代中盤なんですが、20代までは普通に見えていて、年間100本も観るほどの映画好きだったんです。ところが病気で視力が徐々に衰え、やがてほとんど見えなくなって、映画鑑賞も諦めてしまったんですが、視覚障害者向けの点字図書館が案内する音声ガイド付き映画で、ネットを通して、再び映画を楽しむようになりました。そして「シネマ・チュプキ…」がオープンすると通うように。久しぶりの映画館では、こんな体験をしたと言います。

「シネマ・チュプキ・タバタ」の観客:岡野宏治さん

映画を観ながら、映画に関係していることで、色々な連想が浮かんでこう、「あ~こうだよな~」とか自分に置き換えて考えたりとかいうのが、すごい好きだったんです。そういう体験が。ずっとそれをその映画館に行かなくなって、忘れてて、チュプキに通うようになって、ふとまた映画観ながら、こう考えごとしてる…

「チュプキ」を運営しているのは・・・

「チュプキ」を運営している団体は「シティライツ」。16年ほど前から音声ガイドの作成・普及に取り組み始めました。2014年からは田端の隣駅の上中里に、上映用スペースを設けていたんです。そこから常設の映画館を設けたいという夢が膨らみ、クラウド・ファンディングで1,880万円の資金を集めて、去年9月オープンに漕ぎつけました。その際、ボランティアや建設に協力してくれる方の意見を汲み取って、日本初の“ユニバーサルシアター”となったということです。

アピールや集客のため、上映作品に絡めてイベントを打つのが重要だということで、『あん』という作品上映の際は、主演の樹木希林さんや永瀬正敏さんが、「チュプキ」の趣旨に賛同して、トークイベントを実施しました。上映中の『ニーゼと光のアトリエ』に絡めては、映画を観終わった後、スクリーン前に大きなカンバスを貼り、イラストレーターの指導の下、観客全員で一つの絵を完成するイベントを実施しています。他に音楽イベントなどもあります。

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ただ、オープンから半年で、まだまだ知名度が低く客足も日によって全く読めない状況です。現実的にはバリアフリー仕様の作品は、まだまだ少ないことも事実です。おととし公開された邦画581本のうち、日本語字幕付きは11%。音声ガイドに対応した作品は2%とさらに少ない。そんな中でも前進していこうという「チュプキ」のスタッフや協力者たちを支えるのは、こんな気持ちだと平塚さんは言います。

市民団体「シティ・ライツ」代表の平塚千穂子さん

自分がすごく映画に助けられたり、映画が好きだったりっていうのを耳や目が不自由なことで、アクセスしたいけど出来ないっていう人の存在を知った時に、これは何とかしたいっていう、何かこう自分の中から出てくるものっていうのが、自分の映画体験に感謝したいっていう気持ち、何かそれを返したいっていう

「シネマ・チュプキ・タバタ」℡番号は、03-6240-8480 水曜日が定休日です。
http://chupki.jpn.org/

(担当:松崎まこと)