放送後記 第46回

 こうして毎週ブログがアップ出来るって……奇跡やん?


そんなことも口走りたくなるような大事件が、今週放送中に起きたんです。スタジオで。

 


放送開始前、打ち弁中(打ち合わせ&弁当タイム)。
数時間後、我々に降りかかる悲劇などこの時点では知る由もありません。



9時30分。
番組は通常どおりスタート。

オープニングトークは2月12日に報道されたヒップホップ・グループ、
ランチ・タイム・スピークスのDJデンカ逮捕事件について。

「ニュースだけ見るとDJデンカ容疑者の突飛な犯行に聞こえるが、
ヒップホップに通じた者から見るとそうでない状況も容易に推察出来る。
なのに、ニュースでは事件のディテールは一向に報じられぬまま。
報道の仕方如何でいかに事件の印象が変わりうるか、見せつけられた思いがする」
「ランチ・タイム・スピークスは日本のヒップホップ界では重鎮。
もちろん普通の人が知らないのは構わない。
ただ、『知らない=自分の視界に入ってこなかったアイツらが悪い!』
とでもいうような傲慢な考え方ってどうなんだ?
どんなジャンルにも、『普通の人は知らないけどそのジャンルにとっては超重要』
という存在はあるはずで、それを知らない我々は謙虚に振る舞うべきだと思う」




10時からは、悩めるラッパー志望(自称含む)の悩みに
先輩ラッパーが半笑いで答える「ラッパー志望なんですけど」

Q「僕、子供の頃からアレルギー的なアレで茶色いアレが食べられないんです。だからバレンタインデーにアレをもらえないのはむしろ喜ばしいことなんですが、それを友人たちに伝えると『チョコのひとつももらえないかわいそうなヤツだ、フヒヒ』と蔑みの視線を投げかけてきます。スマートかつモテ感を損なわずに、バレンタインデーなんて下らない!と論破する方法を教えてください」(ラジオネーム「リス殺しジョニー」さんより)
A「いい本を紹介しましょう。『チョコレートの真実』というキャロル・オフさんの書いたルポルタージュです。カカオの主原産国コートジボワールで、いかに子供たちがチョコレート産業の犠牲になっているかを告発した重い本です。これを来年のバレンタインまでにばっちり読み込んで、話題がチョコになった瞬間、『お前はこの搾取構造に荷担するのかーッ!!』と一喝。モテなくなるけど、論破は出来ます」
Q「僕は20歳なんですが、今度生まれて初めて合コンに参加することになりました。自己紹介は何を言えばいいのか、どうすればウケる自己紹介になるのか。教えて下さい」(ラジオネーム「モンブラン」さんより)
A「これはですね、下手に空気を読んだり、逆に過剰にカマしたりしてもダメですよ。素直に、初心者であることを前面に押し出していろいろ質問すればいいんですよ。『こういう場所に来たのは初めてなので、どう挨拶していいかわかりません』って。もしその場に初めて来た女子がいれば、それがキッカケで仲良くなれるかもしれない。『2次会ってみんなで行くものなんですか?』『電話番号って聞いてもいいんですか?』『パンツは降ろしてもいいんですか?』『ピンクローターは使ってもいいんですか?』って。いい感じでいけるはず! 合コン行ったことないけどね」



さ、10時20分からはJ-POPシゴキ道場こと「申し訳ないとフロム赤阪」。
そろそろミッツィーさんをスタジオに呼んで……。


と、その時。
事件は起こった。

 

ドアが開かないッス。
(撮影:宇多丸)

引っ張ろうが押そうが、ウンともスンとも言わないッス。

 

ゲストの吉田豪さんが急にイキイキし始めました。


これは……


マズイな!!!


スタッフ総出でやってもダメ。
警備員さんを呼んでも埒があかない。
橋本Pがタックルしてもスタジオが揺れるだけ(別の意味で危険)。
テンパる宇多丸、にやける口許。

最悪、このまま申し訳ないとは休止で……
しまおさんや豪さんとはマイク越しに喋って……
ていうかオレたち、ちゃんと外に出られるの?
旭川動物園ってこんな感じなのかなぁ……
あ、なんかちょっとオシッコしたいかも……

とか、一瞬でいろんなことが頭をよぎりました。

覚悟を決めて、CM中、最後にもう一回だけ、そっとドアを優しく引っ張ってみました。



開いてやんの。

「開いたー!」
意気揚々と乗り込んでくる解放軍のみなさん。
(撮影:宇多丸)

ちぇっ、もうちょっとぐらい閉じこめられてても良かったのに。

というわけで、お騒がせしました。
正直やりづらかったと思いますミッツィーさん。
しかしそこはプロ。来週の予習も兼ねて
「15 Minutes of FUNK ! 〜15分で大体わかるスチャダラパーの歴史MIX」
ガッチリお届けしてくれました。
実は相当テンパってたようですが、それを感じさせないクイックリーなMIX。
(15分弱で16曲!)

「ヒップホップってつなぐのラク!」(ミッツィーさん)
パーカーにも注目です。

 

衝撃の事件の余波で半笑いを隠せない宇多丸。

10時40分からはコラムニスト・漫画家のしまおまほさんを招いて「土曜日の実験室」
翌週のスペシャルウィークに向けて、他の番組の動向をねっとりチェックしました。

 

11時からは、お待たせしました業者の人プロインタビュアーの……。

吉田豪さん!

「タマフル」初回から聞いて下さっていた豪さん。
この番組の良き理解者であると同時に、
宇多丸にクリティカルなダメージを与えられる数少ないヒットマンでもあります。

今日は自慢のタレント本蔵書の中からラジオ本をどっさり持ってきて頂きました。
これを肴にくっちゃべろうと。

以下、膨大なストックの中から。

しまおさんが青春を捧げた『レディクラ』本。
『コサキン』本同様、TBSラジオ本と言えばこのデザイン。

 

「写真は絶対一日で撮ってるはず」(しまお)

 

「本人もいま見たら絶対嫌がると思いますね」(豪)

「AMラジオには“おどけ”が重要だと理解しました」(宇多丸)

「…………」
西田ひかるのラジオ本より、本人自筆のイラスト。

 

「…………」
 

「…………」
 

「これはオシッコしてるんですよね?」(宇多丸)
沢田研二が朗読したポエムをまとめた本。

「AMラジオには“おどけ”が(以下略)」(宇多丸)

 

「吉田照美さんのことを知らないと、単に不快」(宇多丸)

「放送上では読めない単語が」(豪)

「あ、小西さん!」(宇多丸)

「宇多丸さんも、ホラ」(豪)

そんな感じでキャッキャキャッキャとやってたらアッという間に放送終了。

豪さんにはポッドキャストにも付き合って頂きました。
前編ではラジオ本の続き、後編では次週スチャダラパー特集について、など。

豪さん、当番組の客演教授に決定です。
間髪入れずにまた遊びに来てください!
『hon-nin列伝 セキララなオンナたち』も現在絶賛発売中。

お見送りの儀も大層喜んで頂きました。
 

その後、スペシャルウィークに向けた番宣を録音。
しまおさんは早速“おどけ”を実践。
安売りし過ぎるとまた土岐麻子さんに叱られるよ!


【今週のしまお古着】

ナイキのヴィンテージパーカー。
ナイキの古着はたまにとんでもなくカワイイのがあるので要注意ですね。

 

【今週のじまんTシャツ】 

 

先週の『DEATH!』シャツの姉妹品。
『SEX!』。

こちらも冠婚葬祭にぜひ!




すべての作業終了後、深夜のカレー部を行ないながら
「あの扉はずっと閉まってたフリをしたほうがよかったんじゃないか」
「せめてあと10分は閉じこめられておくべきだった」
「どうせ開くならなぜ本番中開かなかったのか」
と真面目に反省会をしました。


来週はスチャダラパー!
スチャダラパーと日本語ラップの歴史、
'90年〜'00年代の世相再検証、
そして宇多丸のルサンチマンとしまおさんの情念が炸裂(する予定)!
ストリーミング放送も行なうのでお聞き逃しなきように! 
 

お疲れさまでしたー。

※その後聞いた話によると、TBSラジオでスタジオの扉が壊れたのはほぼ10年振りだそうです。
その時は数時間閉じこめられた末に窓ガラスをぶち破って脱出したそうで、ちぇっ、オレたちもまだまだッス。

(構成作家・古川 耕)