日本全国8時です
2月26日 黒い本
きょうの荒川さんは、先日の読売新聞夕刊でも話題になっていた
黒い装丁の本の増加について。
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印刷技術の向上も影響している。これまでは、黒い紙を使うことで、黒い本にしたが、最近は、黒インクが多彩に。印刷段階で多様な黒色、可能。オペークインクという、もりつけでもしたような、特殊な、強烈な、つやのある黒も刷れる。紙の銘柄もふえた。紙と、印刷。両面で「黒」の可能性、ひろがる。
黒が似合うのは、反常識、反世間、反時代、アナーキーな主張をもつもの。
ブックデザイナーのなかには、一度、赤なら赤を印刷し、その上に、黒を印刷する。きわめて面倒な手法をとり、深みを出す例も。2004年スタート、このほど完結・新装版『日本の歴史』26巻・中公文庫/各時代の寺社、絵巻物などカラー写真が、真っ黒のカバーに浮かぶ。色彩のあるものを際立たせるための黒。この他にもいろんな黒い本がある。
2月19日 世界の文学 名作ベストテン
きょうの荒川さんは、名作ベストテンを選ぶ、という話でした。
こりゃ大変です...。
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新潮社の季刊雑誌「考える人」が、四月発売の春号で、「海外の長編小説ベスト100選」を特集する。それに伴い、僕のところに来たアンケート「世界の長編ベスト10」(集計で10編を決める) に答えるため、いろいろ読みなおしてる最中。
イギリス・フランスなど、各国が発表したベストテンの参考資料も送られてきた。国によって、見方がちがう。一部紹介すると...。
イギリス・2003年「オブザーバー」紙、寄稿者選。「必読の名作ベスト100」
世界の名作、過去300年から読者必読の100冊を。
1.ドン・キホーテ 2.天路歴程(ジョン・バニアン) 3.ロビンソン・クルーソー
「世界の名作」なのに、自国イギリスの作家が10位中8人も。なかには、日本にあまりなじみのない作品も。2位に入った、「天路歴程」(1684年)は、獄中での夢物語から、信仰の武装をしたクリスチャンが虚栄の市、疑惑城をへて神の国に至る。第二部は、残された妻子があとを追う物語。偉大なピューリタン作家、近代小説の先駆、らしい。
ほかにも、フランス、アメリカ、ノルウェーなど、各国による世界文学のリストを見るのが面白い。名作の評価は、翻訳の出るかどうかが鍵。国民の好みもある。いっぽう、その国民だけがだいじにしている作品も同時に興味ぶかい。
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妙に各国で「ドン・キホーテ」の人気が高かったのが面白いところ。
なにかあるんでしょうね、あの作品には...。荒川さんの話を聴きながら、そう思った次第です。
2月12日 エッセイの書き方
きょうの荒川さんは、エッセイについてのお話でした。
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通信講座、カルチャースクールで「エッセイ」の講座がふえ、大人気。詩歌、小説で生計は容易ではないし、専門的技能を必要とするが、エッセイなら誰にも書ける、負担も少ないと。
随筆は漢語、日本では室町期に登場。枕草子、方丈記、徒然草と伝統。エッセイは、西欧から。そもそも、フランスのモンテーニュ「エセー」の訳語/英語で、世界にひろまる。モンテーニュ(代々貿易商人の家、のち貴族に。父はボルドー市長)は、幼児からエリート教育、ボルドー高等法院の裁判官として一七年、三七歳、法官生活から引退、読書と著作の生活。そして三九歳から二〇年、死の前年まで書きつづけ、一五八〇年、「エセー」第一版発表。(三一歳年下の)シェイクスピアも愛読。以後、世界じゅうに、エッセイがひろまる。精神の新領域を開く。
エセーは、「試み」という意味。
「わたしがここにお目にかけるのは、もっぱらわたしのもって生まれた能力の試し(essai)なのであり、決してわたしが後で得た能力、学問知識の試しではないのだ。だから自分の無知をうっかり人に見られても、わたしは別に困りもしないのである」
モンテーニュの「エセー」は、社会、宗教、哲学、商業、農業、自然、生活など、ひとつひとつの項目で書きだす。その思索の集積が「エセー」。自分の知識を「ためす」ことにある。
寺田寅彦、中谷宇吉郎、内田百間、武田百合子など、名家に学びたい。
2月5日 常用漢字の見直し
きょうの荒川さんは「常用漢字の見直し」についての話でした。
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常用漢字に、見直しの動き。先週、文化審議会国語分科会で大阪の「阪」、熊本の「熊」など都道府県の文字11字追加、2010年ころに「新・常用漢字表」をまとめる、と。「奈」良、岐「阜」、山「梨」、「鹿」児島、「埼」玉、「栃」木、愛「媛」、静「岡」など。
常用漢字は1981年制定の1945字から、少しふえることに。教育の場所、人名、新聞表記などは従うので、常用漢字の制定は重要。ニュースで知った人の多くは、そんななじみの字が入ってないのかとおどろいた。
今回調べていて、ぼくは不思議な事実を発見。漢字全体の表を示して、常用漢字に「印」をつけたものはあるが(これではわかりにくくい)、常用漢字1945字の一覧表をのせる漢和辞典・国語辞典は、ほとんどないのです。
常用漢字に入れるべきなのに入ってないものには、「誰」「頃」「絆」「瞳」など。新聞ではルビをつけるか、ひらがなに。実に不自然。逆に、「遵」守、「逓」信、などは常用漢字にある。また1946年制定の当用漢字表から、1981年常用漢字表になるさい、「僕」「皿」「肌」「猫」「杉」「靴」「嫌」「濯」「泥」「蛍」などがようやく追加されたくらいだから、まだまだ入れるべきものは多いはず。
音訓の規制もあり、「日」を「に」と読むことはいまもできない。そのため、「日本」を「にほん」と読むことは、現在の常用漢字表に従うと、できない! 「にち・じつ・ひ・か」のみ可能。変な話。
もとになった当用漢字表は、1946年の占領期、連合軍が統治上の便宜のために、漢字の制限廃止を政府に求めた。なんらの文化的配慮なしにつくられた。それに百字近くふえた常用漢字だって同路線。
白川静さんは怒る(『常用字解』)。
特に略字は、おそまつ。「犬」を含む字の大半を「大」に変えたため、「戻」(いけにえの犬を戸口にうめる)の原義は失われた。「眞」が「真」になり、【死体】という重要な意味は消えるなど、「文化的遺産への重大な冒涜」。一様化は国語を滅ぼすと。
当用漢字以来、「體」は「体」に。「体」はもとからある別の字で、「ホン」と読み、そまつなことをいう。「藝」は「芸」にさせられたが、「芸」は「ウン」と読み「香草」を意味する別の字!というふうに、新字体が別字の字体とかさなるなど、ゆゆしいことに。
「目安」とはいうものの文化全体への影響大きい。漢字文化をゆがめないように。そのためには「一望できる一覧表」を辞典は掲載すべき。
新字「蛍」。旧字は、火二つの「かんむり」=(螢)火二つの部分は松明。『松明の火の粉のように飛ぶ虫』が、ホタル。「燈」が「灯」も問題。熟語でも「燈籠・幻燈」のように「灯」に置き換えられないものがある。
漢字が少しくらい書きにくくてもいい。まやかしではない、ほんとうのことがらが残るほうがたいせつ。
1月22日 自費出版は、自分で
きょうの荒川さんは、委託しないで発注する、まさに本当の「自費出版」についてでした。
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最大手の自費出版の会社が破たん。年間・日本一の刊行点数。
経営手法に問題あったが、自費出版ブームもたらした。
15年ほど前から、自費出版をうけおう専門会社がたくさんでき、そこから本を出す人も多い。
80頁の簡単なつくりの本でも、編集費などとられ、通常120万円ほどかかる。
・大人は、学生時代に、雑誌活動の経験ないから、本づくりに知識ない。
お金があるから、会社にまかせる。糸目つけない。
・読書をしないから、自分の書いたものはユニーク、いちばんと思いこみ、書いた
ままを本にする。手書きの勧誘の手紙は、ほめちぎる。自分の書くものは価値が
あると、思いこむ。
・ネット時代だが、「紙媒体」への信仰は依然ある。「本」を書く人のステイタスが
高まる。かるい本が多い世の中。自分も本を出せるという幻想。
・団塊の世代の自伝ブームも、後押し。
新興の自費出版の会社は、しろうとの人が多い。編集経験もなく、校正も著者に一任。
著者原稿をそのまま印刷。著者を育てる、支えるという意識ない。でも、書き手も
知識がないので、商売が成り立つ。ともかく経費が高い。
●そこで、ぼくは、自分で本をつくることを強く勧めたい。
いいなあと思う本があったら、奥付の印刷所をみて、そこへ、じかに行く。
学生時代、村上一郎の評論集・大和書房をみて、紙とか印刷のようすがいい。
ある他人の詩集ですが、それをこの本のようにつくりたいと、信毎書籍印刷という
印刷所をたずねた。そこから本づくりがスタートした。
じかに印刷所につくってもらうと自費出版会社委託の四分の一くらいでできる。
全部こちらが指定、トラブルもない。著者の「実感のある」本ができる。
印刷所の看板には「ちらし・ポスター・名刺なんでも」とあるが「頁物印刷」、とある
ところへ行く。印刷所は、そうぞうしく、あいそがわるい(笑)。
気にせず、説明すると、親切に応対。
・最初に、こちらの予算を伝える。
・なま原稿でも、CD、フロッピーでもいい。仮の見本に、これはこの頁、という
ふうに指定、貼りこんで渡す。市販の本をよく観察すること。
・表紙・本文の紙は、銘柄・見本帳があるから指定。紙にはすべてY目、T目があり、
キロ数(厚み)がこまかくあるので、吟味。
・本文の紙の厚さは、うすいものに。厚いと、めくりにくいものになる。
・部数は、注文した紙の量ぎりぎりで作る。最初から「三百」などと指定すると、損。
どれくらいの部数がつくれるかは印刷所の人に教えてもらう。
・16頁単位で編成すること。
・校正は、三度必要。
・印刷現場を見学すると、本のつくられる工程がわかり、
言葉を文字をたいせつに書こうという気持ちに。
近年、印刷所は利益があがらない。組み代をとれない(多くの人が
パソコンで組んで、入れてくる)ので、印刷・製本代だけに。
印刷所サイドも、自費出版の最良の窓口として、自己PRすべき。
本来の自費出版は、みな、著者が印刷所に行ってつくった。
その基本形を再認識すべきとき。
パソコンで本のなかみをつくれるという、いい時代なのに、
本づくりをひと任せとは安易だと思う。
(※従来からある、新聞社・大手老舗出版社がする自費出版制作は、
きちんとしたものを作りますので、念のため)