現場にアタック

2010年02月02日(火)

足立区は本当に治安が悪いのか?

★きっかけはリスナーの方からのメール。足立区在住の匿名・59歳主婦の方。メールには「足立区は刑法犯罪が多いというが本当か?原因は?」といったもの。足立区に住んで20年の私も、かねてから「よく足立区は治安が悪いというが、本当に悪いのか?」という疑問を持っていたので、調べてみることに。
★わからない人のために・・・。足立区は東京の北東部。人口66万人程で、埼玉・千葉・茨城と都心をつなぐ交通の要衝・北千住駅を抱える。ほかに西新井大師、荒川河川敷などが有名。
★まず渋谷周辺で道行く人に「足立区の印象」を訊いてみたところ、「足立区のイメージはスウェットやジャージのイメージ。あと若者が一か所にたまっている。コンビニの前とか。ファミレスの喫煙席で、席をくっつけて固まっている。」「ニュースで事件がよくあるイメージ。ほかの区の比べても治安が悪い。」「足立ナンバーは白いセルシオとかに乗ってる悪目のお兄さんのイメージ。車高が低いとか」。区外の人からは散々なイメージ。
★男性は極端に悪く言う人は少なかったが、女性からの印象は軒並み悪い。やはり1989年の女子高生コンクリート詰め殺人事件、20年も前の話だが、このイメージが強いようです。
★今回、足立区の近藤やよい区長に、治安についてお話しを伺うことができました。区外の人からのイメージは最悪でしたが、実際のところは区長、どうなんでしょうか?
★近藤区長は「外の方の抱いている印象って強烈ですね。実際どうかというと、刑法犯の認知件数が4年連続ナンバーワンなので、犯罪が少ないとはいえない。でも、内容は凶悪犯ではなく多いのは自転車の盗難。足立区は面積も広いし、最近まで交通不便地域が7割だった。自転車の盗難が多いがために、年末にいつも認知犯件数ナンバーワンと言われる。」と言います。
★自転車の盗難を肯定するわけではありませんが、23区で「最も治安が悪い」という感じではないようです。コンクリート殺人と、犯罪件数の多さ。この2点が繋がり、治安へのイメージを膨らませているようですね。
★そんな足立区では最近、犯罪件数を減らすために、いろいろな対策を講じています。①駐輪場に「ワンチャリ・ツーロック」と表記し、鍵も配布。防犯を呼び掛け。②交通の便が悪いという課題。これは舎人ライナーやつくばエクスプレス開業でクリア。③昨年の12月に、警視庁と連携して治安再生に取り組みという覚書を締結。④NYのブロークン・ウィンドウズを真似、ビューティフル・ウインドウズという取り組みを開始。
★なぜ、矢継ぎ早に対策を打ってきているのか?近藤区長は「日暮里舎人ライナー、つくばエクスプレスという新交通が弾みとなって、1年半で1万7千人ほど人口が増えた。新しい人が流入し、これからが勝負どころ。認知件数の多さを隠してオブラートに包むのではなく、正面突破で行こうと、警視庁と覚書を締結。認知件数ナンバー1から卒業しイメージアップを図っていきたい。」と理由を説明します。
★区はあれこれ対策を立てているが、では、犯罪認知件数の順位が下がってすぐ、「治安が悪い」と言われなくなるのか?住んでいる身からすれば、犯罪の件数が減るだけでは無理だと思う。それは、メディアを通して付いたイメージが大きいからです。一度貼られたレッテルは、なかなか剥がせない・・・。
★ルポと称し、「足立区は下層社会だ」「生活保護を受けている人口が多い」、というネガティブな書き方の記事もあった。近藤区長は、このような報道を「貧困と犯罪を有機的に結び付けられて、 荒んだ町という印象で描く切り口。象徴的な場所として取上げられているのかも知れないが。鉛筆も買えないという記事で、全国から鉛筆が送られてくる。いまどきどんな所なんだと。ああいう記事を読んだ印象でどうなんでしょう?峻烈なんじゃないでしょうか?」と言います。
★犯罪件数、就学援助40%超え、住宅事情に学力テスト。確かに数字に表れている問題も多い。でも区の行った調査では、区内の人で「治安が悪い」が3割に。理由の大半が「なんとなく」。また、私が渋谷で街頭インタビューして足立区の場所すらおぼろげな女性が「治安が悪い」と言えてしまう。どこか実態のない話をしている気がするんです。ついたイメージは大きい。
★不景気なので、全国の自治体の反面教師の代表として、取り上げやすい格好の材料でもある「足立区」。環境が変わり、具体策も打ち出してきた足立区。あとは、メディアを通して付いたイメージを払拭できるかが、ポイントに。まだまだ時間はかかりそう。

レポート記者 川原

ページトップへ

2010年01月26日(火)

世界最速、フリーキックマシン

サッカーのフリーキックマシン「カストロール1号」の公開イベントがあったので、行ってきました。カストロール1号は、エンジンで駆動して、サッカーボールを蹴るという、とてつもなく挑戦的で、とてつもなく作るのが難しい機械。何故こんなものを作ったのか?エンジンオイルを製造するカストロール社は次のように答えてくれました。


一昨年ですか、私どもカストロールがワールドカップの公式スポンサーになるということがわかったが、日本でサッカーといっても、人気は野球の次。単にエンジンオイルのメーカーが、ワールドカップというだけでは、日本ではあまり盛り上がらない。それは面白くないなぁということで、エンジンオイルのカストロール、それからワールドカップのサッカーというものを、何か面白い形で結びつけるようなチャレンジを一つ展開したら、もっとみんなが盛り上がるんじゃないかなと思い、今回の企画に至った。やっぱり世界最高のフリーキックを蹴りたい、で、世界最高峰のエンジンオイルを使って、それをやるんだと。モーターじゃできないんだよ、EDGEというオイルを使って、エンジンで200キロ超えをするんだと、いうところにこだわって、作ってきた。


現在、フリーキックの人類最速は129キロ(ロナウドは112キロくらい)。だから、人類が到達できない200キロを目標にしたという。しかし「フリーキックマシン」との名のとおり、ボールを「蹴る」わけで、ならば「足」が必要。この、時速200キロを生み出すパワーの「足」を作るのに難航した。


ちなみにこのプロジェクト、やはりサッカー選手の助言なしにはできないということで、アドバイザーとして、アトランタオリンピック日本代表のキャプテン、前園まさきよさんがサポートしたのですが、その前園さんも、当初、実現には半信半疑だった、といいます。


しかし、時速200キロもでるシュート、どのように活用されるのでしょうか。前園さん曰く、キーパーの練習には使えない、とのこと。会場でも人の形を模した建て看板がアッという間にちぎれてしまいました。とはいえこのマシン、作っておしまいではさびしい。今後はどのような展開をしていきたいのか、BPカストロール社のチャールズ会長に伺いました。


できれば、南アフリカのワールドカップ・ファイナルズにいきたい。そして技術的に言えば、今は、ストレートシュートだけだが、これからは、狙いを定めたり、カーブボールを蹴ったり、と技術を更に磨いていければと思っています。


さすがに、W杯に連れて行くにはお金がかかり、実現は厳しそうですが・・・しかし、限界への飽くなき挑戦、これは今の日本が最もやらなければならないことなのかな、とも思いました。

担当:宮澤日出海

ページトップへ

2010年01月21日(木)

1月21日木曜  リチウム争奪戦

担当:山崎景子

最近、ニュースによく出てくる金属、それがリチウム。
原子番号3、アルカリ金属。理系出身の私にはたいへん身近な金属です。Li。
そのリチウムがいまや資源争いのターゲットナンバーワンになっています。

主流の生産方法は、塩湖の「かん水」からの生産。
南米の高地に多い塩湖の権益を押さえるのに、商社などが汗をかいています。

その最大のフィールドが、ボリビア。
東京都の面積のおよそ5倍あるという広さのウユニ塩湖には、
世界のリチウム埋蔵量の半分がある、とさえ言われています。
権益確保のため、日本は官民共同でボリビア政府に働きかけますが、
各国の資源外交も激しく、またボリビアの大統領の拒否も続き、
まだまだ先がわかりません。

交渉の先頭に立つ
JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の植松さんは
「一般的にこのような鉱業やるときは出資に応じて権益がもらえるのが一般的ですが、ボリビアは自国の資源で全部やると言っています」「結局、世界的にいま世界各国のリチウムを必要とするする国・・・韓国、中国、フランスなどが同じように働きかけています。みなさん資源外交といいますか、トップセールスをやっていて、フランスのサルコジ大統領は、ボリビアを訪問して、協力を申し出る一方、ボリビア大統領をパリに呼んで、電気自動車に乗せたり、中国は大統領の出身地に小学校をたくさん建てるなど、いろんなことやってます。」

一方で、塩湖に頼らない「海水からリチウムを回収する技術」は日本が誇るテクノロジー。
いまも北九州の大学などで開発研究が進む技術ですが、じつは30年前から研究が始まっていたといいます。
つくばの産業技術総合研究所の大井健太さんは
「海水のリチウム濃度は、塩湖のかん水の5000分の1、非常に薄いので蒸発していくためには5000倍以上に蒸発させなくてはならず、不可能。我々は吸着法というまたく違ったかたちでやっている。海水には食塩がいっぱい入っている、リチウムだけが欲しいので、ナノメーター以下の小さい穴で作られた一種の「イオンふるい」吸着剤を使う」。
「開発まではかなり時間がかかっています。原理をみつけるまでに時間がかかった。我々が始めたのが1980年くらい 、30年くらい前から始めている」
「30年前に海水からリチウム回収する研究の理由は、じつは核融合発電の燃料をとろうとしていた。そこで始まった。 電気自動車が本当に実用化の方向が出てきたのが2005年以降、それまではリチウムの需要はそれほど・・・。ところがここで、リチウム搭載の電気自動車が出てきたことで、また注目されてきたということになりますね。」

果たしてボリビアでの交渉は、成功するのでしょうか?
話し合いでも「高い技術力」は効くはずです。
南米に行く用のある方は、ぜひウユニ塩湖へ。

ページトップへ

2010年01月19日(火)

ハイチ支援、目線を変えて

★ハイチでM7.0の大地震が起きてから間もなく1週間。いまだ被害規模はよくわからないという壊滅的状況。非常事態宣言も出ました。報道にもありますが、ハイチはアメリカ大陸最貧国。震災への援助も急がれるものの、どうやらこの国、長期的な支援も必要としているようなのです。
★調べると、ハイチを長期的に支援している「ハイチ友の会」という会が山梨にありました。今日は、代表の小澤幸子(おざわ・さちこ)さんに、ハイチが抱える問題や、ハイチの現状について色々お話しを伺ってきました。
★そもそも小澤さんが、我われに馴染みの薄いハイチと出会ったきっかけは、15年ほど前にさかのぼります。「北海道南西沖地震の時、大学1年生だったが、支援にいき、誰かの役に立っていることがうれしくて、国内外問わず活動している緊急支援団体の仲間になった。その一環で、ハイチの人が経済的に困ってボートピープルとしてアメリカを目指していると聞いて、ボートピープルの支援に、というのが私の最初のハイチとの接点でした。」と言います。
★確かに、ハイチの公用語であるクレオール語は日本で馴染みがなく個人交流が難しい。距離も遠くあまりられていない現実。「ハイチ?ハネムーンで行ったよ」と言われるが、それはタヒチ!アルプスの少女の会でもありません!認知度が低いと嘆く小澤さん。
★貧困の背景には、軍事政権下のハイチに90年代前半に国際社会が下した経済制裁があります。制裁で本当に困ったのは軍事政権でなく一般人。軍事政権が倒れ、反軍事政権側にいたハイチ大使の帰国のメドが立った時、同行しないかと誘われた小澤さんはハイチ行きを決意しました。
★小澤さんは、初めてのハイチ入りのとき、空港でこんな出来事に遭遇したといいます。「空港に着くと、屈強なハイチ人男性に囲まれ私の荷物を持って行かれた。支援を意識して来たのに...追いかけたら、どうやらやり方は乱暴だが、ポーターをやりたかったらしい」。いきなり現状を目の当たりにしたそうですが、このとき、「ハイチの人たちは圧倒的に貧しいが、プライドはある。足りないのは仕事、そう感た」と言います。
★ハイチ国民は「飢えてうつろ」というのではなく、職を欲していて立ち上がるプライドはある。小澤さんは放っておけない、と感じたそうです。帰国後、日本には自分が望むようなハイチ支援の団体がないと知り、「ハイチ友の会」を立ち上げました。
★ハイチという国は、9割の人が貧民層。中流階級層がなく1%未満の人が国の富を握る。しかし富裕層は二重国籍を持ちハイチで搾取し、中東で消費。内需は拡大しないし、職も生まれない、発展もしないという状況。
★職を求め首都に流入した人がスラムを形成。トタンとブロック。耐震どころじゃない生活水準。ただでさえクーデターで建築資材も高く、支援団体が何か建てる時も、コンクリートにゴミを塗りこむ有様。これまで大地震がなく「華奢に作ってなにが悪い」という有様だそうです。
★そこで小澤さん、「雇用機会創出」「教育環境の整備」「ハイチ文化の紹介」と中心に活動を展開。具体的には、チャリティーグッズの収益金で足踏みミシンを購入し職業訓練校に送ったり、小学校の環境整備、日本の里親を募って、子供が学校に行けるようにするなど。このほか、ハイチ人画家の描いた絵葉書を日本に紹介したり。地道な活動をされています。
★皮肉なことに外国からの支援がないと国が維持できない経済状態。日本は接点が薄く、支援は密ではないのですが、欧米からの支援は色々入っています。小澤さんは「援助慣れしているというのが難しいところではある。人と人との交わりで援助出来ればと思うが、ハイチを知れば知るほど難しいと感じている」と言います。
★ただお金を配るだけではダメ、とにかく地道に積み上げることを続けてきた「ハイチ友の会」。それだけに今回の地震でご破算になるのが辛いと語ります。
★ただ、ハイチ人を深く知る小澤さんは、「彼らの最大のチャームポイントはいい意味でも悪い意味でも楽観的なところ。感情表現が豊かで、ひどい目に合っても何度でも立ち上がるたくましさ。そんなところが今回の震災を乗り越える力になってくれれば」と言います。悪い意味での「楽観的」な性格は、すぐ手を抜くことだそうですが、小澤さんは「ハイチの母」として、そんなハイチ人のすべてを暖かく見守っています。
★この放送も2日前、1月17日は阪神淡路大震災から15年。神戸も人と人とのつながりで復興してきた歴史があります。国には人が住んでいます。ハイチも国家機能回復だけでなく、その先を観た復興が必要ということですね。
★私自身も始めて知ったハイチの現状。「歴史や文化を知れ」なんて偉そうなことは言えません。ただ、こういった機会でしか、なかなか知ることがない現状ですので、今日は取り上げさせて頂きました。

「ハイチ友の会」 http://friendsofhaiti.home.mindspring.com/top.html

レポート記者 川原

ページトップへ

2010年01月12日(火)

マンションの空き駐車場、どうする?

経済的な理由により、自動車を買わない人、そして自動車を手放す人が増えています。そんな中、マンションが駐車場の空きをどうするかという問題に直面しています。マンションによっては、駅が近いなどの理由で3分の1も空いているということです。中規模のマンションでは、駐車場の収入を管理費会計のアテにしているところが多く、死活問題。

 

これまで都心のマンションでは、狭い土地で数多く駐車スペースを確保するために立体駐車場が一役買っていましたが、車離れの今、これが逆にお荷物になってきています。ミニバンの需要が高まる中、古いタイプの立体駐車場は車高の余裕がなく、空いているのに停められない、という状況になっています。

 

そこで、立体駐車場を製造しているメーカーの新明和工業は、この空いている駐車パレットの活用方法の一つとして、バイクを停められるように改修できる設備を開発したそうです。車の1台分のパレットを改修して、バイク2台が収納可能になり、原付から、ハーレークラスのものまで入るそうです。

 

しかし、何故バイクだったのでしょうか。その背景には、バイクの盗難が増えてきているということと、マンションの駐輪場がそもそもない(少ない)ということがありました。

 

立体駐車場工業会の認可を経て、2月の発売を予定しているこの製品、価格は95万円とのこと。導入する側からすると、採算がとれないんじゃないかと不安になりますが、製品を開発した担当者は次のように改修の利点と、需要について語りました。

 

「1パレット2台駐車できるということで、1台当たりは50万、月1万円の駐車料金をいただければ、4年くらいで回収できる。そのあとは、その1万円が収入源になります。実際、コンテナタイプのバイクの保管庫がありますが、月平均2万円くらいで貸し出されています。盗難とかいたずらがいやだという人は、高いお金を払ってそういったところに停めているのです。だから見劣りするとは思っていません。」

 

一方で、立体駐車場は、およそ20~30年で大規模な改修が入ります。このタイミングで多く空きがあると、埋め立てるなどして機械設備をなくす動きになってしまい、メーカーとしてはメンテナンス料金などの収入源を失ってしまいます。このため、高付加価値商品を出して継続利用を促すなど、立体駐車場メーカーが生き残りの道を模索している、という面もあるようです。

 

担当:宮澤日出海

ページトップへ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22