現場にアタック

2016年03月02日(水)

担当:田中 ひとみ

 

 

今日は、車の追突を防ぐための「自動ブレーキ」についてのお話です。
先週、大阪の繁華街で、車を運転していた男性が「大動脈解離」を発症し、意識を失い暴走し、死者も出る大変な事故がありました。こういう事故は、どうしたら防げるのかということなんですが・・・。
今、開発されている全自動運転の車は、トラブルも多く、実用化はまだ遠いかもしれませんが、一方で、自動ブレーキはだいぶ実用的になっているので、自動ブレーキがあれば防ぐことができたのではないかと思って取材してきました。

 

 

まずは、最新の自動ブレーキはどんなものか、スバル・広報部の川勝貴之さんのお話です。

 

 

▼今スバルが出している最新の「アイサイト・バージョン3」では、人の目と同じように、2つのカメラで物体を認識しますので、障害物が何なのか、車なのか人なのか。その辺の見分けが非常に強い。あと、距離が正確に測れるので、ぶつからない制御は得意としています。

 

 

 

各メーカーの自動ブレーキをみてみると、
①カメラを使うもの
②レーダーを使うもの
③カメラとレーダーを組み合わせたもの
の3種類あるんですが、スバルのアイサイトは、2つのカメラで、まさに人間の目のようにチェックする仕組みです。

 

 

例えば、わき見運転をしていて、前の車が急に止まったとすると・・・
・まず障害物がある、と判別して、ぶつかる「3」秒前に、ピピピッという警告音が鳴ります。
・それでもドライバーが気づかない場合、次は「2」秒前に自動で軽めのブレーキがかかります。
・それでも、ドライバーが、ブレーキを踏まない場合、「1」秒前に、急ブレーキがかかります。
※この3段階のどこかでドライバーは「やばいっ!」と気づき、アクセルから足をはずす必要があります。

 

 

だいたい、障害物と、時速50キロの差で走っていても、ギリギリで止まれるとのことです。
では、これで完璧かというと、そうでもなくて、川勝さんによると、人間の目と同じなので、豪雨とか真っ暗闇とかだと、少し弱いそうです。でも、レーダーがいいかというと人の体はレーダーを吸収してしまうのでカメラを使っているとのことです。
となると、実際の効果はどのくらいなのか。スバルの川勝さんに聞きました。

 

 

▼2010年度から2014年度に、日本国内で販売したスバル車の事故件数についてアイサイトを搭載しているモデルと、搭載していないモデルで、比べたところ、車同士、対歩行者、事故総件数が「60%」減ったという調査結果が出ております。その中でも、車同士の追突は、「84%」減っているという結果になっています。我々が、想定していた数字より高く、事故が減らせているので、非常に嬉しく思っています。

 

 

 

事故の総数は、後ろとか横の事故も含めるので、ほぼ「前に」衝突する、事故は防げているという、すごい調査結果とのことです。今や、スバルに来るお客さんは、スバルの車というよりも、自動ブレーキの「アイサイト」目当てで、来る人の方が多いと、川勝さんは言っていました。
自動ブレーキは他のメーカーも積極的でトヨタは、レーダーとカメラを組み合わせたもの。日産はカメラを使うもので、スバルと同じで、国の安全評価で高い評価を得ています。
これがひろがればいいのでは、と思ったのですが、自動ブレーキの普及はどうなのか。自動車評論家の国沢光宏さんに聞きました。

 

 

▼走っている車で、30台に1台くらい、20年くらい走っている車もいるじゃないですか。自動ブレーキの中には、人間を感知できないタイプもけっこう多いので、それは付いていても、意味がないですね。新車で言えば半分くらいが自動ブレーキが付いていて、その中で5%くらいは、人も見れる。今、凄く安くなって、スバルのシステムで、10万円くらい。これだけあれば十分だなというトヨタで、5~7万円くらい。自動ブレーキの効能を知っている人は、ほぼ全員自動ブレーキつけていますね。

 

 

 

自動ブレーキは、エンジンに連動させる必要があって、後から簡単には、付けられないそうです。そして、新車を買うタイミングで付ける人は、まだ半分くらいで、普及はこれから。ちなみに、大阪の事故では、自動ブレーキをつけていない車だったとのことです。
だったら、今回のような事故を無くすには、これから新しく車を買い代える人みんなが、人を感知できる、自動ブレーキを付けた方が良いのかなと思ったのですが、それでも、今の自動ブレーキは、システムに限界がある、と国沢さんが指摘しています

 

 

▼痛みが起こると、足が突っ張っちゃうんですけど、人間がアクセルをですね、意識をしたのか、意識してないのに、踏んだのか、区別が出来ない。今のシステムでは、アクセルを踏んじゃうと、突っ込んじゃいますね。自動的にブレーキをかけることが出来るんですけど、国がそういうことを認めていなので、作っても作っても、稼動されることはできないんです。

 

 

 

アクセルを踏んでいるかどうか、わからないので強制的に止めることはできません。メーカーとしては、人をはねそうなときに止める技術はあるそうですが、今は、その誤動作もあるので、国の指針で、最終的には、機械よりも、運転している人の判断を優先することになっていて、その意識があるなしに関わらず、アクセルを踏むと、カメラのほうが間違っているのかなと思って、そのまま突っ込んでしまうということでした。
それでは意味が無いと思ったんですが、ただ、今後は、解決できそうな流れもあるそうです。再び国沢さんのお話です

 

 

▼1つのシステムはダメで、いくつかのシステムを組み合わせることで出来る。現在、トラックは居眠り事故を防止するための、カメラがドライバーに向かって付いている。人間が横を向いたり下を向いたりと、全然違う位置に目があると、おかしいと思う。それで警報を出すシステムなんですけど、それを自動ブレーキを組み合わせると、何かあれば自動ブレーキかかりました。ちゃんとした位置にいませんでした。まっすぐ見ていませんでした。すると人間がアクセル踏んだのは間違いだと気づいて、それをキャンセルすれば、自動ブレーキはかかります。

 

 

 

国沢さんは、例えば、車内カメラが、ドライバーの目線や姿勢で、その意識を確認することが出来るので、そうしたシステムを組み合わせていく必要があると言っていました。

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