現場にアタック

2015年02月24日(火)

担当:田中 ひとみ

きょうは電化製品などに使われている電気コードについてです。

私たちの周りにある電気コードは、例えばテレビの電気コード、冷蔵庫、洗濯機、延長コード・・・挙げればキリがないですが、この電気コードが断線=配線が一部切れても、自分で修復するという技術が開発されたといいます。

そんな魔法みたいなこと本当にあるんでしょうか?
開発した早稲田大学 基幹理工学部岩瀬英治先生にどんな技術なのか伺いました。

金属の配線が切れた場合にも、傷の場所や大きさがわからなくても自己修復するという技術を開発した。金属の配線の上に金属の小さな粒=金属ナノ粒子と呼ぶんですが、それを含んだ液体を被せている。そこに電圧をかけると、亀裂の部分だけに小さなつぶつぶが集まってきて、傷を埋める。その現象自体は高校生の物理でも説明ができる。それを配線の自己修復に使おうという研究は今までなかった。まだ具体化してないが、家電製品やイヤホンなどにも使えうると思う。

改めて説明しますと・・・

電気コード、一般的には金属でできた細い線(銅線)を束ねてそれをビニール製のカバーで覆っています。その銅線が何かの理由でが切れてしまうと、電気が通らなくなってしまう、これが、いわゆる断線です。

今回開発された自己修復技術は、金属の小さな粒を含んだ液体で銅線をあらかじめ覆います
銅線が切れると、切れた部分では電圧の差というのが生じるそうで、そこに電圧を流すと金属の小さな粒が集まって、切れた部分の傷を埋めてくれるということなんです(下図参照)。

【金属ナノ粒子の電界トラップによる金属配線修復の原理】   

20150218_3[1].png

この断線を自分で直してくれる技術、かなり身近な家電とかにも需要がありそうなんですが、どんなものでみなさん断線するのか
街の人に聞いてみました。

★iPhoneの充電器1年半の間に3回は壊れる。壊れるたびに電気屋さんに走る。
★楽器とアンプつなぐケーブルが切れる。2年で5、6回買い換えた。1本4、5000円するので。笑えない。
★パソコンのケーブル。正直高いのでセロハンテープ貼って補強してる。     
★こたつ、電気ストーブ。ラジオの組み立てとかやってた頃はコンセントの部分のネジをバラして被覆を剥き直して留め直していた。
★イヤホン。修理出すのが勿体ないので新しいの買う。もう10本以上。次こそは反省して大切にイヤホン扱う。でも切れちゃうと思う。

若者で多かった声はスマートフォンを充電するときに使うケーブルでした。
1年半で3回断線するというのは、使い方に問題もありそうですが・・・。
中には、自分でつなぎ直すという方もいましたが、買い換えるという方が圧倒的に多かったです。
そういう人からすれば、今回の自己修復する技術が使われたコードが新しく出てくると飛びつくんじゃないかと思ったんですが、岩瀬先生はこうおっしゃいます。

家電製品だと、壊れたら買い換えればいいじゃないかという考え方もある。
イヤホン断線したらイヤホン買い替えるのがいいか、自己修復してくれるちょっと高いイヤホンがいいのか。
普通の単なる配線よりはコストが上がると考えられます。

実はこれまでも、コードの巻き方を工夫するとか、材質を変えてみるとか、 「切れないコード」がいろいろと試されていました。
ただ、一方で実用化するにはやっぱりコストがかかったり新しい製品を買い換えたら良いんじゃないかという単純な理由から、なかなか実用化まで至らないケースが多かったそうなんです。

確かに今回の自己修復するコードもコストがかかることに変わりはないようなんですが、実は今回、この自己修復を後押しする要因があるようです
再び岩瀬先生に伺いました。

最近フレキシブルデバイス=曲がるディスプレイや曲がる太陽電池とか曲げたり伸ばしたりするものを作りたいという研究が盛んに行われていて、特に伸ばすものになると配線が切れてしまう。
そういう問題があったので、配線をどうにかして切れなくする。切れなくするには難しいからじゃあ自己修復してやろうというところから研究を始めた。

さらに最近話題のウエアラブルデバイス(腕時計型の携帯端末など)の影響もあるということなんです。
さらに先生はこんな可能性もあると話してくれました。

交換ができない場所。例えば、柱の中に電子回路を入れて柱がどれくらい劣化しているかを調べたい場合コンクリートの中に電子回路が入る。そうすると交換ができないので、壊れてしまったら困る。他にも人があまり行かない場所で深海の中にあるケーブルとか、宇宙で探査する宇宙機とかそういうところも将来的にはあるかもしれない。

この技術は、コスト以外にもまだ100%完全に修復できないことや、そもそも共同で研究したりこの技術を世に出してくれる企業などを募集中ということで課題は多いんですが、適材適所でこの技術が使えるようにしていきたいを仰っていました

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