現場にアタック

2013年07月23日(火)
担当:岡島知世


選挙でアベノミクスが認められたという政治家もいますが、
一方で雇用問題は改善していません。
これから雇用は改善されるのかという声も出ていますが、
実際「ブラック企業」や「追い出し部屋」といった企業で働く人の
労働問題は依然あります。
きょうはその「追い出し部屋」のお話。
「追い出し部屋」といえば、会社が辞めて欲しい社員を自己都合にみせかけて
退職に追い込むために隔離する部屋。
これまでは、大企業で行われていた追い出し部屋の問題が騒がれていましたが、
実は企業ではなく、学校にも企業と同じような先生を追い出すための部屋があると、
7月に入って一部でニュースにもなりました。
全国の小中高校の私立の先生からなる教職員組合の永島民男さんのお話。



   企業では最近追い出し部屋の話がマスコミで色々と言われていますけど、
   学校、特に私立大学や私立高校の中で、追い出し部屋に相当するような
   隔離部屋がある。
   職員室のひとつなんですけども、皆さんの集まっている職員室とは別に
   小さな職員室を与えて、そこに気にくわない先生とか色々と意見を言う先生を
   入れておくというか、まさに隔離しておくような隔離部屋が
   色々と問題になってきています。



なかでも「私立の高校」「理事会が強い学校」に、
こうした追い出し部屋の問題が多いということ。
学校は、現場で「子どものためにはこっちが良い」という意見を言う現場主義の先生は煙たい。
でも、学校側はそれを理由に先生をリストラすれば、裁判沙汰にもなりうるのでクビにし辛い。
だから、物言う先生を隔離して意見を言わせない状況にして、最終的に追い出す狙いがあるのです。
実際に、こうした追い出し部屋に入れられ、職を追われた元大学教授にお話を伺いました。



   私の場合、理事会の方が大学の資産運用をどうも失敗しているらしい
   というようなことを組合で追求していました。
   そうしましたところ、事実上、追い出し部屋「教職員研修室」への
   異動が命じられ、あまり教員にとって意味があるとは思えない
   仕事ばかりさせられてきました。
   朝出勤しますと何時に会議室に来いっていうような命令書が
   突然メールボックスに入っていて、
   今からこれを解けって言われたのが、漢検の問題だったりしたんです。
   そういった呼び出しを食らう度に、おなかの調子が悪くなり、それが嫌でした。



「教職員研修室」というのが、事実上の追い出し部屋でした。
この方は日本語の授業を教えていた教授でしたので、漢字検定の問題を解いたり、
他の教授の授業を見てレポートを書いたり、
さらに「パワハラはダメ」という校内用の書類作成等をさせられていたわけです。

追い出し部屋に異動になった理由について、
大学からは生徒の授業評価アンケートが悪いからとされましたが、
元教授は組合活動が原因と考えています。

この方は20年大学に勤めていましたが、ある日追い出し部屋に異動、
その後、解雇になっています。
では追い出し部屋、いったいどんな環境だったのか、再び元大学教授のお話です。



   私が入れられていた教職員研修室といっても、部屋ではありませんで、
   事務室の一角に机が設けられていまして、
   そこが「教職員研修室」って言われていました。
   そこの横のところがトイレに行く通路ですので、
   そこを通る人は、事務の人、あるいは外から出入りする工事の人も
   簡単に私が何をしているのかというようなことが見えるわけです。
   完全なさらし者にされていた、と言って良いかと思います。
   私自身はその攻撃が始まったときが学園に勤めはじめて
   20年経ったときだったのですけど、
   20年間のいままでの貢献に対する答えがこれなのか、
   と非常に悔しい気持ちになりました。


追い出し部屋への異動や解雇の理由について、
元教授が勤めていた大学に取材を申し入れたのですが、
「そういったたぐいのことは一切受けられない」として取材を受けてもらえませんでした。
こうして企業や学校でも広がる追い出し部屋ですが、
働く人たちは、この追い出し部屋をどう思うのか、街頭で伺いました。



   (女性)それは会社だったり、組織の体質でしょうから、
       そういうところにいても先はない気がしますよね。
       日本って解雇しにくいじゃないですか。
       だから辞めさせる方向に持っていくっていう方向に
       行かざるを得ない局面もあるのかなっていう風に思います。
   (男性)一般的な会社員でも、大学の先生でも、学校関係者でも、
       そこは一緒ですから、やり方としてはよくないんじゃないですか。
       そういうとこに行って辞めるに辞めれない人、再就職が厳しい人、
       いざるを得ない人が多いんでしょうし、
       いざ自分の身になるとちょっと怖いですよね。



組織の問題、自分の身に起こったら怖いとありましたが、
もし当事者になってしまったら、どう対応すればいいのか。
労働問題に詳しい板倉由美弁護士のお話です。



   なかなかひとりで問題解決するっていうのは難しいですよね。組織に対して。
   第3者に相談した方が良いと思うのですが、相談にあたって証拠を残しておくっていうのが
   必要ですので、嫌がらせの内容をメモで取っておくとか、あるいは会話を録音しておく、
   メールなんかを残しておくということも必要かなと思います。



追い出し部屋は「対組織」の問題。それだけにひとりで解決するのはなかなか難しいです。
いまやこの問題は会社だけでなく教育現場にまで波及しています。

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