トークパレット水曜日「ものめぐり」

2012年03月21日(水)
 今日はコンビニのお話、それもおにぎりを取り上げます。このところ、具材が2つ入ったおにぎりがやけに存在感を増しています。ふつうは、梅とか鮭とかエビマヨとか、ご飯にくるまれているのは1つの具材ですよね。それが、梅+おかかだったり、鮭+イクラだったり、2つの味が入っている、というもので、コンビニ大手がいずれも力を入れているんです。各社に話を聞くと、去年くらいから、具材2つという流れが本格化し、今年に入って、さらに多くの新製品投入が相次いでいます。

 何故、具材2つに力を入れているのでしょうか。ファミリーマートによると、ユーザーの声から「コンビニおにぎりの具材は、1つより2つがいい」というリクエストが多かったとのこと。消費者からしてみれば、1つ買うだけで2つの味が楽しめるのでオトクに感じますが、コンビニ側からしてみれば、2個買われるおにぎりが、1個になるかもしれない。それでも2つ入りのおにぎりに力を入れていくのは何故か。それぞれのコンビニのおにぎりに触れながら、紹介します。

 まずは、大手3社の「具材2つ」のおにぎりの最新商品について。
・セブン-イレブン「具たっぷり すき焼き風 玉子ソース」138円=3月上旬発売
・ローソン「贅沢 新潟コシヒカリおにぎり 紅鮭といくら」168円=3月上旬発売
・ファミリーマート「金芽米(きんめまい)梅明太子」170円=2月下旬発売

 それぞれ、中を割ってみると、これまでのコンビニおにぎりよりも具の分量が多いことがわかります。ローソンのものは、ご飯自体に鮭のフレークが混ぜ込まれていて、真ん中にイクラが入っています。で、食べてみると、具材以外にも、これまでのコンビニおにぎりと大きく違う点がありました。どれも共通して、ごはんがふっくらしています。

 私の印象では、家庭での手作りおにぎりほどの"ふっくら柔らか感"までは望めないものの、これまでのコンビニおにぎりよりはかなり進化していると感じました。実は各社とも、そもそも「ふっくらとしたおにぎりを作る」という目標が先にあったんだそうです。具材2つ、というのは、その開発過程で出来上がった副産物のようなもの。これまでのコンビニおにぎりというのは、型にご飯を入れたのをギュッと合わせる作り方でしたが、柔らかな仕上がりにするために開発を続け、ご飯で具材をくるむ製法に行き着いた。これにより、手で握るのに近い柔らかな仕上がりと、具材がたくさん入れるということを実現。

 また、これらのおにぎりの形はまあるい形。セブン-イレブンによりますと、具材をたくさん入れるには製法だけでなく形も重要で、まるい形にしたことで具材をより多く入れられるようになったといいます。しかも、2つの具材を、あらかじめ混ぜることなく、ご飯で包めるというメリットも生まれたそう。同社の「すき焼き風」のおにぎりは、中を割ってみると牛肉のしぐれ煮の周りを卵が囲んでいますが、これも、今回の製法によるもの。さらに、具材が押しつぶされないというのも大きなポイント。型にはめて作るのとちがって、比較的ふんわり仕上がるために、ご飯の中で具材が縮こまっていない。これは食感としてプラスで、ローソンのおにぎりにイクラが入っていますけれど、粒がつぶれない。中のおつゆがにじみ出ることもなく、ちゃんと入っていました。同社に確認するとやはり、新しい製法だから、イクラを無事な状態でおにぎりにできたといいます。なるほど、と思いました。また、副産物ではありましたが、「具材2つ」という流れは非常に面白い。

 セブン-イレブンは、今回取り上げた製法の具材2つのおにぎりは好評を呼んでいるため、さらにラインナップを拡大し、今後も定期的に販売していくということです。一方、ローソンは「具材2つのおにぎりというのは、なかなか家では作れない」という点に着目して、これまでの家庭で手作りするおにぎりの追求から、コンビニでしか味わえない形のおにぎりを目指す、発想の転換ともいえる考えにシフトしています。例えば、きのう新発売の「だし巻き玉子+明太子」(168円)。これが、おにぎりの限界ではないかと思うほど、具材が大きくて、中を割ったらサンドイッチかと思うほど大きなだし巻き玉子が入っています。これを家でつくろうと思ったら、かなり難しい。買ったほうが楽。

 また、各社の戦略を見ると、少しずつ違うことにも気づきます。セブン-イレブンは、120円台から130円台といういうさほど高くない価格帯で、ふっくら+2つの具材をアピールしている格好。一方のローソンとファミリーマートはプレミアム感の演出で、150円以上の商品が目立ちます。このほかファミリーマートは、ネットで消費者の具材のリクエストを募って、去年から商品化に着手。「焦がしネギ・マヨ・おかか」と、2つどころか、3つの味を合わせたおにぎりも期間限定で売っていました。

 コンビニおにぎり、一見成熟した商品市場に見えますが、こんなところにもまだまだ進化はあった。たかがおにぎり、されどおにぎり、コンビニの新しい潮流をそこに見て取ることができました。

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