トークパレット水曜日「ものめぐり」

2012年03月14日(水)
 いま、GOPANを超える人気のホームベーカリーがあります。オークセールという中堅メーカーの「siroca(シロカ)ホームベーカリー」というものなのですが、おととし2010年夏の発売以来、1年半ちょっとでシリーズの出荷累計が40万台を超えた。あの大ヒット商品「GOPAN」でも発売1年で16万台ですし、2~3年前まではホームベーカリー市場全体で年間50万台ほどの規模だったことを考えると、このシロカがホームベーカリーとしてどれだけ売れているかがわかると思います。

 売れている理由はズバリ値段です。安い。このコーナーで商品をご紹介する際に、「すごいいいけど、値段に見合うか・・・」という話を度々しますが、今回は値段を気にする事無くご紹介できる!なんとこのシロカ、最も安い機種が5980円。これまでのホームベーカリー、多くの機種が1万円台後半から2万円前後。(ゴパンは3万円以上)場合によっては炊飯器より高いので、「だったら買えばいいや」となりがちだった。しかし「6千円なら」という安さが受けて、消費者の心をガッチリ掴んだ。確かに6千円という値段ですから、2万円前後の中堅機種に比べて、便利な機能は削られています。ただ、味が良ければ十分という人もいるはず。ということで、実力のほどをチェックしました。


●まずは、味と焼きあがりの形。
 食べ比べると、中堅機種のほうが若干滑らかといいますか、きめ細かなものになっている。ただ、私はシロカでも、パンとしての仕上がりには何ら問題ないと感じられました。前回、ものめぐりでゴパンを扱った時に、比較対象で別メーカーの1万円の機種も用意しましたが、焼き上がりの形があまりよろしくなかった。しかし、シロカは、焼きムラはほとんど目立ちませんでした。「5000円台の割には悪くない」ではなく、ホームベーカリーとして合格点である、といえます。


●機能の違いによる手間、使い勝手は。
やはり2万円前後する中堅機種のほうが、便利で優れている点は多くあります。

・ドライイーストを自動で投入してくれる機能のあり/なし
 私はこの部分が一番大きな差に感じました。ドライイーストは、材料を内釜に入れるときに水に触れたりすると膨らみが悪くなるし、混ざり具合によってもけっこう仕上がりに違いが出てしまう。多くの機種で、ドライイーストは、小麦粉などと一緒に最初に内釜に投入することになっていますが、このときちょっと神経が要るんです。小麦粉をくぼませて、そこにドライイーストを入れる、とか。内ふたにドライイースト容器のある機種は、コツはまったく要らないので、室温などの外的環境が違っても、まず安定した焼き上がりになるのは強みです。

・レーズンやナッツを自動で投入してくれる機能のあり/なし
 中堅機種は、ドライイーストと同じように、パンにミックスさせるレーズンやナッツを入れる場所があるので、こちらも入れておけば、自動で投入されます。シロカにはその機能はありませんが、1時間ちょっとしたところで、ピーピーとアラーム音がなり「もし具剤を入れるんなら、今がタイミングですよ」と合図してくれます。なにも入れないなら無視する、という形です。

・音が静か/うるさい
 シロカは、最初の1時間くらい、断続的に生地をこねるときの音がします。ちょっと気になるレベル。手回しの充電器のような「シューン、シューン」というような音が続くので、例えば朝に焼きあがる設定にしたときに、キッチンから近い部屋が寝室だと、先ほどの具入れのアラームとともに、ちょっと煩い。中堅機種はこのあたりの対策もしっかりしているので、気にならないレベルになっています。


 こうやって比較すると、確かに便利さの点では劣っている点があります。また、1斤の焼き上がり時間にも少しだけ差がありました。シロカは4時間35分で、焼き上がりで30分ほど多く時間がかかってしまいます。一方、後片付け(掃除)の手間は、両者変わりません。シロカが大変とか面倒ということはなかった。


結論。

 値段の面では合格点。そのうえで、5000円台でこの焼き上がりなら、十二分に買いであると感じました。味も合格点です。確かに、静音性や使い勝手では2万円の機種にかないません。しかし、それが焼きたてパンを食べるといううえで、致命的な欠点にまではなっていなかった。ドライイーストを載せる場所さえちょっと気を配れば、あとは格段の手間もなく大丈夫でした。また、このシロカで面白いのは、ネットのクチコミがすごいこと。「シロカと相性のいいドライイーストはこれ」とか「小麦粉はこれを使うとうまく焼けた」とか、6千円のホームベーカリーを上手に生かして使おうという知恵をそこかしこで見つけられました。手間のかかるところを楽しく上手に乗り切ろうという消費者の「賢い声」の集まり、なかなか興味深かった。また、シロカの開発者の公式ブログもあって、レシピなども掲載されています。
 とかく日本の家電は、多機能高品質に走りがちですが、消費者の満足できる最低限のラインをクリアした激安機種、というものも必要とされている。こうした所に敏感に反応し、しっかりと作り上げた中堅メーカーの技が光る一品だと思います。

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