トークパレット水曜日「ものめぐり」

2012年02月29日(水)
 今朝は、炊飯ジャー。今月発売になったばかりの、タイガー魔法瓶「タクック」、実勢価格は9800円。最大で3合までのご飯が炊けるという小型サイズの炊飯ジャーなのですが、ある機能がついています。ご飯を炊きながら、同時に炊飯ジャーの中で料理ができるというもの。ジャーのフタを開けると、内釜の上の部分に樹脂製のクッキングトレーが乗っかるつくりになっています。ここに料理の材料を入れ、ご飯を炊く熱と蒸気で調理される仕組みです。今回は、シーフードドリアふうのホワイトソース味の魚介ソース。冷凍のシーフードミックスを解凍したものと、野菜、それに市販のホワイトソース缶を使いました。で、樹脂製のトレーをはずすと、内釜の下部分ではご飯が炊けているという格好です。

 所謂手抜きクッキングですが、味もそこそこ。同じ釜の中ですが、味や匂いがご飯にうつることもありません。いくつか別の料理を試したが、いずれも大丈夫だった。おそらくトレーの形状などがうまくつくられているからだと思います。もちろん、調理時間はご飯だけを炊くのと同じ、45分くらい。1人暮らしの人、自宅で1人分のおかずをわざわざ作るというのは大変だと思います。私も学生時代や独身時代、そんな思いでした。この炊飯ジャーが本当に使いでのあるものなら、新年度が始まる時期、親が1人暮らしの学生や社会人にこれを贈るのもいいし、自分自身で買うのも、もちろんありだと思います。「いかにラクに作れ、また、どこまでおいしいか」、試してみました。

 まずこの「タクック」には、調理レシピが付いています。簡単なのは、鶏や魚の蒸し物。これは下味をつけて、あとはトレーに入れるだけ。どちらも手間なく簡単にできました。味もなじんでいます。同じ手抜きクッキングで言うと、電子レンジがありますが、それより味が一体化している印象。炊飯器の熱と蒸気を使って調理するものだけに、こうした蒸し物は思いのほかおいしい仕上がりです。ささっと手早く下ごしらえして、魚なり鶏肉なり野菜なりを蒸しあげるのには確かにいい。鍋などの洗い物が少なくなるのも、このタクックで調理する長所であると思います。

 本来焼いたり煮たりする料理に関しても、調理レシピ集として紹介されています。やはり直接火にかけるわけではないので、こちらのほうは、まあ、まずまず...という仕上がりです。例えば、ハンバーグとデミグラスソースを合わせるロコモコ丼、最初に試食していただいたシーフードドリア風の魚介のソースなど。それでも、電子レンジでつくるよりは味はしみているし、食感などは自然な出来上がりです。蒸気があって素材が乾かないことが功を奏しているからだと思います。忙しい毎日のなかで、出来合いのものを買うかわりに、素材にさほど手をかけない簡単料理を1品パパッとつくってしまう、という使い方に、このタクックは向いています。また、油を使いませんので、そういった調理ができることに魅力を感じる人もいると思います。

 気になる点もいくつかあります。トレーで調理すると、1合しかご飯が炊けない。1合といえば、ご飯茶碗で2膳分くらいです。1人なら問題ないでしょうが、例えば高齢の2人暮らしで足りるかというと、微妙なところ。トレーでつくれるおかずの量も、1人前ちょっとくらい。(トレーなしならご飯は3合までいけます)もうひとつ、このタクックの取扱説明書に書いてある注意書きなんですが、「付属している調理レシピ以外の調理はしないでください」と書いてある。汁などがふきこぼれる恐れがあるため、だそうです。

 ところが、この調理レシピにあるクッキングトレー用のメニューというのが26個あるんですが、そのほとんどがカフェ風のおしゃれなもの(キーマカレーとかホットサラダとかアクアパッツァとか)で、下ごしらえもレシピにある調味料の指示も、意外にけっこう本格派のものばかり。普段使いすることを考えると、シンプルな料理をもっとレシピに載せてほしかった。レシピにはありませんでしたが、かんたんに下味をつけただけの鶏や野菜も、分量をある程度考慮してトレーに入れれば、ちゃんと熱は通って、おいしく蒸しあがります。メーカーは、女性の1人暮らしをターゲットにしているということですが、これだけ本格的な料理となってしまうと、タクックでなくとも、となりかねません。


結論。

 これから1人暮らしをする人や、ちょうど炊飯ジャーを買い換えようと思っている人には、充分に選択肢です。今現役でバリバリ使える炊飯ジャーをわざわざ買い換えるほどではないかな、と思います。いま、1人暮らし用の3合炊き炊飯器は、大手メーカーのものでも5~6千円程度で購入できます。今回のタクックは、実勢価格で9000円台。おかずが作れて+4000円の価値が見いだせるかどうか。実は、こうした発想の調理器具自体は既にあって、既存の内釜にセットできるものがあります。3千円程度。ただ、こちらは「蒸す」という発想で作られているので、トレーではなく、穴あきの台になっています。こうした後付けの商品よりも使いではありますし、値段もさほど変わらない。なにより、鶏や魚の蒸し物は、レンジで作るより自然な仕上がりであると、私は評価します。「手抜きだけど意外と美味しい」、そんな調理をするのに向いた調理器具です。それだけに、先ほども話したように、よりシンプルな蒸し物のレシピもぜひメーカーは作って欲しい。この点だけがいささか残念ではありますが。

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