現場にアタック

2011年06月29日(水)
★震災などを機に、いま再び「野宿」に注目が集まっています。その中でも、野宿の魅力を説く専門誌『野宿野郎』の編集長が面白いと話題になっています。2004年から不定期で発行、現在7号まで制作されている『野宿野郎』。気になる存在です。いま野宿界で最もアツい人、野宿歴15年、30歳の編集長・加藤ちあきさんにお話を聞いてきました。野宿のセミナーや講演もする加藤さん。まず『野宿野郎』を立ち上げた経緯などを伺ってみました。

『野宿野郎』は野宿の事に特化したミニコミ誌です。野宿をして褒められるのは大学生まで。社会人になると「いい大人が...」と言われてしまうんですね。しかも私は女だし。だけど、この雑誌を作っていると「雑誌を作っているから」と言い訳できるんです。最初150部から始まったが、今は1500部刷っています。7巻目にして10倍になりました。

★そう、加藤さんは女性。お会いすると華奢な女性で、とても野宿が趣味とは思えないんです。でも、いまも週一で野宿しているそう。加藤さんの野宿仲間は大学生から60代まで様々。団塊の世代には、学生時代に野宿での旅行を経験した人も多く、リバイバル野宿感覚で、再び野宿に手を出している人もいるそう。

★加藤さんの初めての野宿は高校生時代。国道一号線沿いの「側溝」で寝て、友人と野宿したのだそう。そこから野宿に魅せられて15年。日本国内専門で各地を回る。仲間には海外で野宿する強者も。そんな加藤さんに、関東地方の好きな野宿ポイントを聞いてみました。

都内だと、その公園に住んでる方がいる公園がいい。ちょっと寝てるくらいじゃ怒られない。プロの方の段ボールの使い方は参考になる。あと高尾山の山頂はおススメ。雨が降りそうなら多摩川の橋の下をキープする。横浜の山下公園も活用してます。八景島の野島公園も良さそう。意外と田園調布は良い。田園調布に寝ているという満足感。ミシュランを作りたいですね。

★公園を観ると「いけるな」と思うんだそう。お仲間と公園で酒を飲み、寝袋に入りそのまま寝る。起きた時に感じる若干の後悔と清々しさがたまらないのだそう。時にはイベントとして25人で集団野宿をすることもあるそうですよ。でも、まだまだ男女の比率では圧倒的に男性が多く、25人のイベントに女性が3人程度なのだとか。華奢な野宿ガールの加藤さん。これまで危ない目にあったことはないのか聞いてみました。

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朝起きたら雪が積もっていて「まずいことになったなぁ」と。まあ、寝られたからいいんですけどね。あとヤンキーたちが花火を始めて怖い思いをしたり、都内の公園で寝ていて起きたらまわりでラジオ体操が始まっていたり。都内の公園でも、案外しっかり寝られるものです。寝ているところを起こすのはお巡りさんくらいですね。職務質問。寝袋に入っていると性別が分からないようで、声をかけたら女が出てきて驚くんです。「あぶないから」と、警察署に3度泊めてもらったことがあります。申し訳ない...

★自由だ、自由すぎるぜ加藤さん。なんでこの人たちは、そこまでして野宿をしたいんだろう?雨は降るし、夏は蚊に刺されるし、不安だらけ。私も正直理解できないところがあります。そこで、加藤さんがなぜ野宿に魅せられるのか、野宿のどこに魅力を感じているのか聞いてみました。

陳腐な言い方すると「人と出会いたい」から野宿している感じです。普通のシチュエーションの中で、公園であった人と会話はしないです。あとは寝られるかどうかわからない場所の開拓も魅力ですね。大っぴらにおススメはしません。後ろめたさもあるし、オシャレでもないので。むしろ汚い。そういう複雑なところが魅力なんですよね。

★野宿をする方にも、何パターンかあって、単に宿泊費を浮かす目的の方もいるそうです。でも、加藤さんは「自然」や「出会い」も大事にしているようです。朝起きた公園でラジオ体操に参加し、他の参加者と会話したり。公園に散歩に来た人と話したり。近年失われつつある、一昔前では普通だったコミュニケーションを取り戻す...大げさに言えばそういうことでしょうか。

★いま偶然にも、震災や節電の影響、アウトドアブームなどもあり注目されている野宿ですが、加藤さんは、「山ガール」だと持ち上げられるミーハー女子とは一線を画している感じがします。加藤さんのセミナーには、ビシッとスーツを着た人や、年配の方もみえるそうです。その心理には、現代人が忘れかけた「会話」や「自然」を思い出そうという本能が見え隠れしていました。

レポーター:近藤かおり

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