トークパレット木曜日「スタンバイ・ブックナビ」

2011年06月09日(木)
今朝は、文芸評論家の北上次郎こと、目黒考二さんにお薦めの本を紹介していただきました。



★今週も、ちょっと変わった小説。

★一番最初、タカハシ・シンイチくんという男の子が出てくる。大学卒業して3ヶ月だが、就職活動をことごとく失敗。
★大学卒業後に実家からの仕送りも途絶えて、春からは短期アルバイトや日雇い労働で しのいでいたが、そろそろ限界。そこで、もっと安い部屋に引っ越さないとやっていけないと、大学の学生課に物件を探しに行く。

★そこで、信じられない物件を見つける。家賃が月1万3000円。間取りは2K。敷金礼金なし。管理費なし。破格の家賃。中心部からは離れているが、特別、不便な立地でもなく、早速、尋ねていく。ここまでは、普通の話。

★そして、尋ねた先が「てふてふ荘」。管理人が出てきて、「じゃ、部屋を決めましょう」と話を進める。1階3部屋、2階3部屋の6部屋あるが、早速、部屋を決めましょう、、、というので封筒から6枚の写真を出される。

★6枚の写真には、老若男女6人の顔写真。管理人は、「高橋さんはこの中の6人の誰がいいですか」と変な事を聞いてくる。
★タカハシくんは「なんなんだろう、、、」と思いつつも、「これかなぁ」と一番若い女性を選ぶ。すると、管理人は、「では、部屋をどうぞ。お連れします」と1号室に連れて行かれる。

★ここで、最初の1ヶ月は家賃がタダという話。「これは凄い!」、とタカハシくんはすぐ引っ越しを決めてしまう。
★そして、引越の当日。疲れて寝たまではよかったが、、、目を覚ますと、足元に若い女性が正座。その女性が「ちょっとお寝坊さんじゃない」と声をかけられる。
★そして、「私、シラサキ・サヤカです。」「この部屋に住む地縛霊です。1号室を選んでくれてありがとう。これから、よろしくね。」と。
★タカハシくんはあわてて管理室に飛びこむ。すると、管理人はごく普通に「いや。1号室の幽霊です。だって、高橋さん、彼女がいいって言ったじゃないですか。」
★そして、その管理人はタカハシくんがサインした契約書をみせる。すると、そこに大きく、「部屋には幽霊がいます。実害はほぼありませんので、ご安心ください。」と。
★しょうがなく一緒に暮らす事になる。

★実は、各部屋にひとりずつ幽霊がいる。つまり、6部屋には老若男女6人の地縛霊。それぞれ何かがあって成仏できず、そこにいる。
★一方、そこに引越してきた6人の人間(これも老若男女問わず)も、こういう、いわくつきの安物件に手を出すには、何かの事情がある。
★つまり、6人の幽霊達はどうして成仏できないのか、それぞれの住人6人がどうしてここに住む事になったのか、どういう悩みを持っているのか、というそれぞれのドラマが語られていく、という連作集。

★例えば、1号室の高橋君の部屋には若い女性。高橋くんは最初「部屋を変えてくれ」と嫌がる。なぜ嫌がるか、というのは理由がある。ここは、物語の醍醐味を奪っちゃう事になるのでは言えないが、、、
★そして、2号室。ここはイダ・ミズキという女性が住むが、この部屋の地縛霊は60過ぎのおっさん。このおっさんは、昼間からビールを飲んでいる、なぜか、、、、

★いきなりの同居。最初は反発していても、段々とお互いを知るうちに、お互いが癒されていく。ただ、ポイントは、幽霊が成仏すろと消えてしまうということ。
★2人が癒されていくほど、2人の別れが近づく、という作り。果たして、全部が成仏して終わるのか、中には残る人もいるか、、、ここは言わないでおきます。

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