現場にアタック

2011年01月31日(月)

担当:大澤 瞳

 


先月末から今月にかけて、タイガーマスクの主人公、伊達直人を名乗った贈り物が、
相次いで全国の児童養護施設などに届き、社会現象となりました。
そんななか先週、インターネット上に「お願いタイガー!」というサイトが現れました。
どういったサイトなのか?
このページを作成したアビスタジオ・ドットコムの代表 阿比留康光さんにお話を伺いました。

 

 

福祉施設の事業をやられている法人さん達が、欲しいものですとか、
こういうボランティアに来て欲しいとか、そういう希望の条件を登録していただきまして、
寄附したい人が、それを見て、どこの施設でどういうものが求められているんだな
ということがわかって直接寄附をする、というサイトになっています。
通常寄附ということになりますと、NPO法人や財団法人を通すというのが普通だと思うんですけど、
いろんな所を通しちゃうとそこがブラックボックスになっちゃう、というのもありまして、
そういうのが個人的に好きじゃなかったので、直接取引出来る場がいいなと思って、作りました。

 

登録は無料
寄附も掲載先に直接連絡をとっていただくという形なので、利用料も無料です。
阿比留さんの本業がホームページ制作の会社ということもあり、ボランティアでやられています。
阿比留さん自身、今回のタイガーマスク運動を受けて、自分も何かできないかと考えたところ、
施設側の情報がすぐ見つからないという事に気付き、サイトの制作に至ったということです。
ただ、児童養護施設の理解を得るのが難しく、登録施設数はなかなか増えないと言います。

 

 


ツイッターとかで反響は大きいんですけど、登録がまだまだなくてですね、
いま10施設しかないんですけど、知り合いのほうとか、何十人規模で施設をやっているとか、
事業をやっている人に、声をかけてもらったんですけど、インターネットへの理解が薄い。
インターネットに情報を出して、なんか怖いことが起こるんじゃないか、
というふうに思われているケースが多くて、登録が進みませんでした。

 


情報を公開する分のリスクもあるから、施設側は慎重になってしまうそうです。。
ただその一方で、今、寄附をしたいと思っている人の多くは、
どこに出来るのかと、インターネットで検索することが多い。
でも、情報が見つからないので寄附ができない。
児童養護施設にお話を伺ったところ、とある寄附をされたときに、次のように言われたそうです。

 

 


寄附したくても、どこにしたらいいのかわからない、という声があるそうで、
もっと、いろんなところに情報を載せて、いろんな人の目につくように工夫すると、
もっと寄附の声も増えるんじゃないかと、助言を頂きました。

 

タイガーマスクの一件で、こういう寄附ならできるかも、と気づいた人がたくさんいましたが、
逆に言えば、こういったことがなかったから、寄附がされていなかった、とも言えます。
これを解消するためには、施設側も積極的に情報を出していくべきだと、
東洋大学の講師で、中小企業基盤整備機構リサーチャーの 西田亮介さんは、話してくれました。

 

 


今回の件で明らかになったことは、今日本人の心には助け合いの心なんて無いんじゃないかと思われていたのが、
実は、そういうメンタリティはあるんだけど、表に出てくる回路がなかっただけなのかも知れない、
今までの手法が使えなかったに過ぎないのかも知れないということが明らかになった
ということが一番重要なのかなと思います。
例えば、寄付をしたい人は自分で検索するだろうと思っても、いろんな情報にぶち当たってしまう。
なので寄付を受けたい側もこういうニーズがありますということを、
適切なアピールの仕方で、発信していかなければいけない。
寄付をする側も、受け取る側も、両方が同時にいろんな情報公開をやっていって
より良い方向につなげていくということが、重要だと思います。

 

先ほどの養護施設は「布団」と具体的な内容をホームページに掲載していたので、
寄附したいと思った人かインターネットの検索でたどり着くことができた、といいます。
一方で国も、人と人が助けあう社会を作っていくために、「新しい公共」という取り組みを
進めていますが、今回の件で動きが加速する可能性もでてきました。再び、西田さんのお話です。

 


人と人が助けあう社会を作っていくときに、批判の眼差しは必要なのですが、
国と、民間と、国民一人一人の動きが、連動すると強いインパクトを持つはずなんですね。
今、政治の中でもそういう流れがあって、「新しい公共」と呼ばれている取り組みがあります。
例えば、寄付税制の改革や、社会起業家の育成、なんかが議論にあがっているんですね。
こういう政治の取り組みと、民間の動きが、今まで連動することってあまり無かったんですね。
ただ、こういう民間の動きと、政治の盛り上がりというのが
今、どうやら噛み合いそうだという機運があるので、
これを応援していくというのは、一つの在り方として、注目すべきなのかなと考えています。


今回の取材で、幾つかの児童養護施設にお話を伺いましたが、報道がある時は寄附はあったけど、
なくなったら寄附がパタッとなくなった、というお話も結構ありました。
折角の機会なので、継続的に取り組めるようになれるといいなと思いました。

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