Life?

80年代。バブルの波に乗って、たくさんの「大きな文化」が生まれた。
それは、バブルが崩壊した後の不景気の時代、90年代の後半まで続く
爆発力を持った「メガカルチャー」の時代だった。

一方、その大きなうねりの下で、別の流れも生まれていた。
何か「人とは違う生き方」を求める人たちが、アンダーグラウンドから
水面に顔を出そうと、必死でもがいていた。
その力が生んだのが「サブカルチャー」の時代だった。

けれど、「サブカルチャー」は、世の中に大きな文化が存在していないと、
サブとしての役割を果たすことができない。
たくさんの人たちを惹きつけすぎたサブカルチャーは、いつの間にか、
自分自身が「大きな文化」になってしまった。

00年代の僕たちはいま、メガカルチャーからもサブカルチャーからも、
同じくらい離れたところにいて、その日の気分で、好きな方を選ぶことができる。
それはとても自由だし、素晴らしいことだと思う。
でも、結局のところ本当に好きなのはどっちなんだろう?

どっちも好き、と言えばそうだけど、
「本当に?」って訊かれると悩んでしまう。
多分その気持ちは、両方とも「ほんとう」。
でもそのことは言葉にはできない。
きっと僕たちは、「それとは違うんだ」って形でしか、自分のことを
表現できなくなってしまったんだと思う。

言ってみりゃそれは、メガカルチャーでもなくサブカルチャーでもなく、
いつも反転の像しか写さないネガの文化、「ネガカルチャー」。
否定形でしか語ることのできない「本心」であり、

好きと嫌いが、

冷静と熱狂が、

善と偽善が、

パクリとオリジナルが、

右と左が

矛盾なく同居する文化。

そんなシーンの中で、僕たちは自分の生活さえ、
コンピューターの向こう側でハックするようになって、
ログに残されたものばかり体験し、
バラバラになっていく自分自身をどこかで捉えきれないで
いるんじゃないか。
My Life on the Screen.
それだけでいいんだろうか。

Life?

なんとも表現しづらい感情を言葉にするために、
僕たちはラジオという場所を選んだ。
答えはおろか、まだ問いかけすらできていない僕たちの「Life」を、
なんとかして表現したい。
そして同じような気持ちでいる人たちと、それが何なのか確かめたい。
それだけのために、色んなことについて話そうと思う。

カーテンを閉めた部屋の中で、

くたびれた最終電車の中で、

昼休みの屋上で、

この声を聴いてくれるなら、僕たちはとても嬉しい。



文=鈴木謙介 写真=アラボシ



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