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ジャズのスタンダード・ナンバー、「Speak Low」とは?

ジェーン・スー 生活は踊る

音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんがジャズのスタンダード・ナンバーを紹介する企画の第一弾。3月17日はSpeak Low編!

生活は踊る20170317

【高橋芳朗】
ジャズスタンダードを1曲ピックアップして紹介する新しい試み、これから不定期シリーズとしてやっていきたいと思います。記念すべき第一回に取り上げる曲は「Speak Low」。まずはどんな曲か知ってもらうために、「Speak Low」の代表的な名演を聴いていただきましょうか。女性ジャズシンガー、アニタ・オデイの1960年の録音です。

M1 Speak Low / Anita O’Day

【高橋芳朗】
1曲聴いていただいたところで、まずは「Speak Low」の基本情報を。タイトルは「小さな声で話して」みたいな意味ですかね。ユダヤ系ドイツ人の作曲家、クルト・ヴァイルが1943年にブロードウェイミュージカル『ヴィーナスの接吻』のために書いた曲になります。クルト・ヴァイルはナチスのユダヤ人迫害を逃れてアメリカに亡命してきたという背景がありまして。そして、その後にニューヨークに定住してミュージカルの曲を手掛けるようになります。代表作としては『三文オペラ』が有名でしょうか。

【堀井美香】
あー、そうなんですね。

【高橋芳朗】
昨年亡くなったデヴィッド・ボウイやレナード・コーエンといったロックミュージシャンにも影響を与えている偉大な作曲家です。で、なぜ今回「Speak Low」を取り上げたかというと、実は去年堀井さんから『あの日のように抱きしめて』という映画のDVDをいただきまして。2014年に公開されたドイツ映画。

【堀井美香】
好きなものを押し付ける癖があるので(笑)。

【高橋芳朗】
いや、めちゃくちゃうれしかったですけどね(笑)。その『あの日のように抱きしめて』の劇中歌として、「Speak Low」が大々的に使われているんです。映画のあらすじとしては「ナチスの収容所から生還した妻ネリーと夫ジェニーの裏切りが交錯する愛の物語」とのことですが……堀井さん、この映画はどんなきっかけで?

【堀井美香】
竹中直人さんが「すごくいいから!」っておっしゃっていたんですよ。で、この映画で初めて「Speak Low」という曲を聴いたんですけど……映画の最後に歌うんですよね?

【高橋芳朗】
あのシーンはスリリングですねぇ。

【堀井美香】
その主演のネリー役、ニーナ・ホスが歌う「Speak Low」がまたよくて。

【高橋芳朗】
あまり詳しく言うとネタバレになってしまうので控えますけど、あれは本当に切ない名場面ですね。DVDの帯では矢野顕子さんがコメントを寄せていて。「『Speak Low』は私の大好きな曲のひとつですが、これからこの曲を歌うときはネリーの紅い口紅が心に浮かんでくることでしょう」と。確かに、この映画を観ると「Speak Low」の聴き方がちょっと変わってしまうかもしれないですね。では、続けてまた別の『Speak Low』を聴いていただこうと思います。トニー・ベネットとノラ・ジョーンズのデュエットによる2011年のレコーディングですね。今回は実際に曲を聴いていただく前に、堀井さんに「Speak Low」の歌詞対訳を朗読してもらいましょう。ざっくり内容を説明すると、時はすぐに過ぎ去ってしまうから早く愛をささやいて、というちょっと切ないラブソングです。

【堀井美香】

恋を語るときは小さな声でささやいて
夏の日は瞬く間に色あせる
恋を語るときは声をひそめて
ふたりの大切なひとときは
海に漂う船のように
あっというまに流れていく

ダーリン 小さな声でささやいて
恋は一瞬の火花
すぐに闇のなかへと消えていく
明日は近づいたかと思えば
すぐに通り過ぎてしまう

時はあまりに早く 恋は短い
恋は純金で 時は泥棒のよう
ダーリン もう手遅れかもしれない
もうすぐ幕が降りて すべてが終わる

愛しい人よ 私は待っている
だから愛の言葉をささやいて いますぐに

【高橋芳朗】
では聴いていただきましょう。トニー・ベネットとノラ・ジョーンズで「Speak Low」です。

M2 Speak Low / Tony Bennett & Norah Jones

【高橋芳朗】
トニー・ベネットとノラ・ジョーンズで「Speak Low」を聴いていただいておりますが……もうさっきから堀井さんが悶絶しております(笑)。

【堀井美香】
やっぱりトニー・ベネットの喉の下の方から出す声がすごく素敵で。映像で観ると、いいい感じでエスコートして歌っていますよね。

【高橋芳朗】
そうですね。ノラ・ジョーンズとスタジオでデュエットしている映像はYouTubeにオフィシャルで上がっていますので、みなさんぜひチェックしてみてください。では最後にもう1曲、わたくしイチオシの「Speak Low」を紹介したいと思います。いままでの2曲は歌物でしたが、これはインストゥメンタルですね。ジャズピアニストのソニー・クラークによる「Speak Low」。1959年の作品です。ドナルド・バード(トランペット)、ジョン・コルトレーン(テナーサックス)、カーティス・フラー(トロンボーン)、ポール・チェンバース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)という錚々たるラインナップ。コルトレーンの演奏がとにかく素晴らしいのでそこに注目して聴いてください。

M3 Speak Low / Sonny Clark

【堀井美香】
うーん、いいですね! さっきのとはまたぜんぜん違いますけど。

【高橋芳朗】
ありがとうございます! この企画、ぜひ続けていきたいですね。リスナーの皆さんで取り上げてほしいスタンダード曲がありましたらぜひ番組までメール送ってください!

※Text by みやーん(文字起こし職人)

―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ―― ◇ ――
当ラジオ番組では「日々の生活に音楽を」をコンセプトに、音楽ジャーナリスト・高橋芳朗さんによる洋楽選曲を毎日オンエア(稀にかかる邦楽はディレクター選曲)。最新1週間のリストは以下です。

3/13(月)

(11:03) What You Need / INXS
(11:43) Addicted to Love / Robert Palmer
(12:17) Sledgehammer / Peter Gabriel
(12:51) Some Guys Have All The Luck / Rod Stewart


3/14(火)

(11:03) Take On Me / a-ha
(11:43) Things Can Only Get Better / Howard Jones
(12:17) Perfect Way / Scritti Politti
(12:51) Head Over Heels / Tears for Fears


3/15(水)

(11:03) In Your Room 〜恋の手ほどき〜 / Bangles
(11:43) Our Lips Are Sealed 〜泡いっぱいの恋〜 / Go-Go’s
(12:18) Message of Love / The Pretenders


3/16(木)

(11:03) Sexual Healing / Marvin Gaye
(11:44) It’s Our Own Affair / Ray Parker Jr.
(12:18) Feel That You’re Feelin’ / Maze


3/17(金)

(11:03) Rio / Duran Duran
(11:44) Turn Your Back On Me / Kajagoogoo
(12:12) It’s a Miracle / Culture Club
(12:23) Promises, Promises / Naked Eyes