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「化学物質過敏症」を知っていますか?

森本毅郎 スタンバイ!

化学物質に過敏に反応してしまうことで起きる病気「化学物質過敏症」は、花粉症だけでなく、様々な病気と間違えられることがあります。間違えられることで、かえって、悪化してしまう病気でもあります。どんな病気なのか?3月13日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★シックハウス症候群もその1つ。

化学物質過敏症は、特定の化学物質に接触し続けた結果、限界を超えてしまい、発症する病気です。患者さんは、国内で100万人ともいわれますが、聞いた事がない方も多いかも。

でも、「シックハウス症候群」という言葉は、聞いた事があるのではないでしょうか?新築の家で体調が悪くなるのが「シックハウス症候群」で、昔、問題になりました。あれは、建材のホルムアルデヒドという化学物質に過敏に反応してしまう病気で、この化学物質過敏症の一種とされています。

化学物質過敏症の症状は、「頭痛」、「めまい」、「イライラ」、「肩こり」、「吐き気」、「呼吸困難」、そして皮膚の「湿疹」など様々です。問題は、ひとたび、ある化学物質で過敏症を発症してしまうと、その後、他の様々な化学物質によっても、症状が出てしまうケースもあるので、深刻です。

★原因となる化学物質は?

原因となる化学物質は、確認されているだけで、数十種類あると言われています。例えば空気中に漂うもので、建材のホルムアルデヒドのほか、香水、殺虫剤、排気ガス。また、肌に接触するものでも、化粧品、化学繊維、合成洗剤で洗った衣類、プラスチックなどもそうです。食べ物でも、防腐剤や着色剤などの食品添加物、わずかな農薬が、原因となります。

★他の病気と間違えて、どんどん過敏に

問題は、この化学物質過敏症は、ほかの病気と間違われる事が多いという事です。

例えば、ある女性は、新築の家に引っ越した途端、頭痛やイライラなど体調不良が起きてしまい、近くの病院へ行きました。すると、高血圧と診断され、血圧を抑える薬を飲む事になりました。ところが、薬を飲んでいるのに、症状がどんどん悪くなってしまい、今度は、物を食べると口内炎が出て、薬も飲めない状態になってしまったそうです。その後は、合成洗剤にも反応するようになってしまい、石鹸しか使えなくなりました。一度、化学物質過敏症になると、最初の原因となった化学物質以外にも、どんどん過敏に反応してしまうようになるのが、この病気の特徴です。そして、どうもおかしい、となって、病院を変えたところ、病気は高血圧ではなく、化学物質過敏症だとわかり、治療を変えて、回復していったということでした。

他にも、化学物質過敏症を別の病気と間違えるケースは多いんです。例えば、頭痛で検査をしても異常がないので、「自律神経失調症」だと言われたり、のぼせてほてりがひどいので、「更年期障害」だと言われる。また、疲れがなかなかとれず「慢性疲労症候群」など、中には原因不明とされる人も。特に今頃の季節は、花粉症と間違えられることも多く、またアトピー性皮膚炎など、特定物質に対するアレルギーだと診断され、間違った治療で悪化することもあります。

★一致しない原因と症状

化学物質過敏症を見つけるのが難しいのは、原因と症状が一致しないためです。花粉症なら、スギ花粉などで、鼻炎などの症状が出ることは決まっています。一方、化学物質過敏症では、人によって、発症する物質と症状の関係は様々です。同じ物質が原因でも、頭痛の人もいれば、目がかゆくなる人もいてわかりにくい。症状から原因が割り出せないので、診断が遅れてしまうことになります。この診断の難しさは、化学物質過敏症が発症するメカニズムにも原因があります。

★アレルギーと何が違うの?

化学物質過敏症と、花粉症などのアレルギーとでは大きな違いがあります。ある物質に反応してしまうという意味では、アレルギーも化学物質過敏症も同じですが、そのメカニズムは、全く違います。

アレルギーは、異物が体に入った時、それをやっつけようとする免疫反応で起きます。一方、化学物質過敏症の大半は、化学物質が自律神経系へ作用することで起こります。

このため、アレルギーの場合は、血液検査で明確な反応があります。しかし、化学物質過敏症は、自律神経の異常のため、血液検査では異常はみられない。だから、発見することが難しいんです。

特に、診断を間違えると、効かない薬を飲むことになり、薬は化学物質なので、それに過敏に反応してしまい、悪化する危険があります。

★専門外来へ

症状が疑われる場合は、専門の外来へ行くのがいいでしょう。

建築や工場などの仕事で特定の化学物質を浴びる状況にあったとか、新築の家に引っ越した、新築の学校に通うようになったとか、ある香りを嗅ぎ続けるような状況が続いたとか、化学物質に接する状況が長く、体調が悪くなったという方は要注意ということです。

さらに、血液検査が正常なのに、アレルギーのような症状がある場合は、化学物質過敏症を疑ってみるのもいいでしょう。

日本では、2009年から保険適用となっていて、少しずつ、専門外来も出ています。東京では、「北里大学 北里研究所病院」や、杉並区の「そよ風クリニック」、大阪では「ふくずみアレルギー科」、その他、国立病院機構盛岡病院、国立病院機構高知病院など、あります。気になる方は、こうした病院を受診してみるのがいいでしょう。

職場が原因で発症した場合には、労災が認められたケースもあります。ハードルは高いようですが、これも相談してみるのがいいでしょう。

★周囲の理解も必要な病気です

この化学物質過敏症については、社会の理解が進んでいないのも問題です。香水や柔軟剤の香り、整髪料など、強すぎると、具合が悪くなる方もいるので要注意です。

最近、「香りバス」というものが登場して、ニュースにもなりました。名古屋市の名鉄バスが去年11月から運営している、香りバス。夜行バスの乗客にリラックスしてもらおうと、アロマの香りが出る機械をバスに設置。この取り組みに対して、化学物質過敏症の患者団体が、先月、配慮を求めました。患者以外にとってはリラックスと感じるものも、患者さんにとっては、耐えられないほどの苦痛を感じるものです。

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170313080000

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