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歯の矯正でトラブルが増加!拡大床とは?

森本毅郎 スタンバイ!

最近、歯の矯正で不適切な治療が増えています。本来、矯正歯科は専門的な研修や経験が必要なのですが、特に「拡大床」という矯正治療で起きるトラブルとは、どんなものか。3月6日(月)の松井宏夫の「日本全国8時です」(TBSラジオ、月曜あさ8時~)で解説しました。

 

★歯の矯正「拡大床」とは?

一般的には歯の矯正治療というと、歯の表面に器具をつけるイメージがあると思います。それは、歯の表面にだけ、器具をつけて、表から出っ張ったところを押さえ込んで矯正する治療です。

一方、今、増えてきているので、歯の表から出っ張った所を押さえ込むのではなく、歯の裏側から、顎を広げ、歯のへこんだところを広げるようにして、矯正する方法です。少し詳しく言うと、あごや骨を含んだ部分まで矯正する、というものです。歯が生えている床の部分を広げるので、床を拡大すると書いて「拡大床」と言います。

主に子供に使う矯正装置で、顎が狭くて歯がガタガタしたり、その場合に子供の成長を利用して顎を広げて、顎の成長をよくしたりする治療法です。見た目には、前から押さえるのと同様、歯の前にワイヤーが見えることもあります。ただ、食事の時には取外せるなど、メリットもあり、広がりを見せています。

★どんなトラブルが起きている?

日本矯正歯科医会のおよそ400人の会員の元へ助けを求めに来た患者さんのうち、不適切な治療の3分の2が、この「拡大床」でした。では、どんなことになってしまうのか、問題の症例を具体的に、3つほど挙げますと。

  1. 6歳から11歳まで拡大床をしたが、口元は出っ歯のまま治らなかった。
  2. 6年半、拡大床をしたが、装置を使うのをやめた途端、元に戻ってしまった。
  3. 8年半、拡大床をしたら、上の歯が外に広がってしまい、奥歯がかみ合わなくなった。

拡大床をすると治療を受ける前より、かみ合わせが悪くなった、というわけです。8年もかけて治療したのに、悪くなったということですが、本来は、8年もかかるものではなく、2~3年の治療ですので、それ自体が異常です。

また、拡大床は、歯を抜かずに、1ミリ動かすくらいの場合に使う、治療法です。歯の土台を動かす治療なので、うまくいかないと、土台にダメージを与え、元の形に戻すことも難しいという問題も起きてしまいます。

★中にはいい加減な歯医者も

なぜこういうトラブルが起きるのか?なんといっても、いい加減な歯科医も存在しているという問題があります。

矯正については、歯科医の免許を持っていれば、矯正もできることになっています。しかし、本当の矯正歯科の専門の人は、診断をする訓練を3年以上も受けています。ところが、たった1日の講習会で矯正歯科治療をやってしまう歯科医もいるんです。

日本に今、歯科医は10万人います。その内、矯正について、なんらかの研修教育を受けた人は、6600人。さらにその中で、矯正の認定医は、2500人程と言われています。しかし、厚労省調べでは、矯正歯科治療を行う歯科医は、3万人となっています。つまり、本当は矯正の認定は2500人しかいないのに、実際は、3万人が矯正を行っている、というわけです。

一般の歯科医師免許持つ人は、歯科、小児歯科、口腔外科、矯正歯科の4つの診療科目を掲げても良いことになっています。矯正治療の教育を受けていなくても、矯正を行うことが許されています。そして、その矯正治療は、基本的に自由診療。歯医者からすれば、虫歯の治療などに比べ、利益率が高いので、知識や経験が乏しいのに、中には、手を出してしまう歯科医もいるのです。

★拡大床は安上がり?

また拡大床については、患者の心理をついて、安易に勧める歯科医がいます。一般的な、歯を表側から抑える矯正の料金は、80万円から120万円かかります。それが、歯の裏側から広げる拡大床だと、装置を取り付けるのに1個10万円で済む。そうしたことで、患者さんのほうも、安易な治療に流れてしまう部分もあります。実際に、装置の販売は増えています。4年前は16万2千個、2年前は19万4千個と増えています。

★矯正歯科の選び方は?

そもそも、矯正治療は、命に関わるような、緊急性はそんなに高くありません。1回治療をスタートすると、元には戻せないので、治療を行う前に、色々な先生に意見を聞いて欲しいです。

そして、ポイントは、「受診する時期」と「治療開始時期」です。

一般的に、受診を始めるのは、7歳から9歳ごろと言われていますが・・・きちんとした、歯科矯正を行っているクリニックは、頭部X線写真検査など、それらを分析・診断し、治療計画や費用についてくわしく説明があって、ではこの時期に治療を始めましょうという、説明があるはずです。

また2~3年間の期間を必要とする治療なので、きちんとクリニックだと、将来どのようなことが起こるのか。引越しする際には、他の矯正歯科を紹介してもらえるかなどの説明があるはずです。

受診する場所は「矯正歯科クリニック」と書いているほうがベター。一般の歯科よりも5倍から10倍の症例数があると考えられます。紹介は、虫歯や歯周病などの治療を行う、一般歯科クリニックからしてもらいましょう。

 

 

日本全国8時です(松井宏夫)

解説:医学ジャーナリスト松井宏夫

 

松井宏夫の日本全国8時です(リンクは1週間のみ有効)http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20170306080000

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