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タマフル10周年直前特集 ”知的エンタメラジオ”の最新形を見さらせ!

ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル

「タマフル」の愛称で親しまれる土曜の人気番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」が放送開始から10周年を迎える。これまでの苦労話から今後の展望まで番組パーソナリティの宇多丸にインタビュー

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悪口を言うだけのクソつまらない行為と一緒にしないでくれ、と。

――今や人気番組として定着した「タマフル」ですが、開始当初から確信を持って放送していたんですか?

utamaru8いや、右も左もまったく分からない状況でしたね。良くも悪くも既存のラジオ番組とは違うことがやりたかったので、最初の1年間は毎週番組のフォーマットを決めないでやってたんです。それがカッコいいと思っていたというか…。しかもその頃は企画も完全に僕の引き出しだけでやってたので、消耗戦ですよ(笑)。放送作家の妹尾(匡夫)さんをチームに入れたことで、ようやく「俺たちは海図も持たずに海に出ていたのか!」と気付いた(笑)。それが第2段階で、その次の転換は初代プロデューサの橋本吉史が番組を外れたこと。スタッフの入れ替えがあっても、うまくやっていけるのかという時期ですね。表には出せないことも含めて、実はこの番組、トラブルの連続でして、そういう荒波を乗り越えて、現状のチームができたんだと思います。

――今はその次のフェーズですか?

うーん、どうだろう…。あっ、でも最近は聴取率がいい(笑)。「これマズくない?」っていうぐらい数字が落ち込んでた時期も、そのたびに何か変えようっていう意識はあったんです。この番組は、構成的にもプレゼン型になりがちで、リスナーと絡む機会が少ない時期もあったと思いますけど、最近は投稿コーナーがちゃんと定着してきた。10年間、同じように見えてちょっとずつ変わってるんです。

――そんな中で、映画時評コーナー「ムービーウォッチメン」(旧「ザ・シネマハスラー」)は不動の人気を誇っています。影響力は他のメディアを含めても随一だと思いますが…。

世の中にいろんな映画評があるけど、良くも悪くも注目度は高い方かもしれないですね。でも、宇多丸=クソタマフル映画処刑人みたいな、そこばっかり注目されるのはすごく嫌で。口汚くののしっているように聞こえるかもしれないですけど、僕としてはその映画を最高に楽しんでいる状態を提示しているつもり。悪口を言ってもいい映画を見て、実際に悪口を言うというクソつまらない行為と一緒にしないでくれ、と。


――ただ、評として自分の考え方がさらされるわけで、毎週発表していくのは大変な労力だと思います。

utamaru5大変ですよ。自分なりの結論を導き出して意見を言ってるのに「それはおまえの意見だろ?」って批判はナシだろ、と思います。「えっ?何で俺の意見を言っちゃいけないの!?」って(笑)。まあ、ケナすにせよ褒めるにせよ、反響がいいのは熱が入ってるときですね。結局、情報より熱量が勝つっていうことかもしれないです。

 

――情報より熱量という意味で言えば、週替わり特集コーナー「サタデーナイト・ラボ」もそうです。宇多丸さんは番組をよく雑誌に例えられますけど、パーソナリティ=編集長として、どのように企画やゲストを選びますか?

utamaru4熱があるなら大抵のことは乗り切れる気がしますけど、ゲストの基準は、その人がこの番組じゃないと言えないようなことを言いたいというモチベーションがあるか。わざわざ番組に来てプレゼンしたがってる人で、「あれ?全然面白くない…」ってことは意外とないんです。もうひとつの基準は、この番組のラインを理解できるかどうか。リスナーが何を面白いと思うか察せる、ある種の常識というか、〝まとも〟な人じゃないと。エキセントリックがウリみたいな人を見ると、僕は「めんどくせーな!」って思っちゃうんで。この番組に来る人は、言ってることはとっぴに聞こえるかもしれないけど、不思議とみんなまともなんですよね。僕が感じる面白さに共鳴してくれる人たちなのかなって思います。

utamaru6――いつからか、宇多丸さんが「タマフル」以外の場所でも、“ラジオパーソナリティ”という肩書を意図的に使うようになったと思うんですけど、それはどのタイミングからでしたか?

09年にギャラクシー賞をもらってからですかね。これには、暗に「ラジオも聴いてね」っていう気持ちも入ってるわけですよ。この番組を聴けば僕のことが分かるから、と。この番組が始まる前は、もちろん本業してラップがあるんだけど、映画やアイドルが好きみたいな自分の興味の置きどころ、ひいては自分のアーティストとしての在り方みたいなのがバラバラだったというか、誰もトータルで僕のこと分かってくれてないんじゃないかとフラストレーションを感じていたんです。「タマフル」は何をやってもいいし、僕の興味の置きどころということで統一されているわけで、その全部ひっくるめて言わずとも分かってもらえる場所があるのは大きいですよね。

utamaru7―― 最後に、「タマフル」は今後どうなっていくのか、教えてください。

まずは今以上の聴取率をデフォルトにしていく。この番組の面白さが本当に届いている層の数は、まだまだ聴取率には反映されてないと思うので。そんな中で我々が圧倒的王者として君臨し、ニュースなどでも取り上げられ、メジャー層からの注目も適度に得て、美人の女優とかも「宇多丸の機嫌を損ねてはいけない」というあんばいになり、しかもアンダーグラウンド層からのリスペクトも絶え間なく失わず
…(笑)。まあ、番組が毎週続くレベルで実績をキープすることが何よりも大事。でも、ギャラクシー賞は早過ぎたよね。もう一回くれてもいいじゃんって感じ。だって、今の「タマフル」の方が絶対に面白いことやってるから。

※宇多丸のインタビューはTBSラジオPRESS2月・3月号に掲載しています。